茶箱
暖かい部屋でぬくぬく、冬の寒さをわすれるくらい夢中になれる本をおすすめするわ
実際に私が秋から冬にかけて読んだ本のなかで面白かった本から選びました。
茶箱
出版されたばかりの本が多めよ
- 2021年冬 寒さを忘れるほど夢中になれる本13冊
- 明治~昭和初期のパワーあふれる女性の物語『らんたん』
- 明治時代ロシア留学した女性画家の人生『白光』
- 【短い人生を音楽に捧げた『滝廉太郎ノオト』】
- 【イギリスで今を生きる親子『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』】
- 【日本初地下鉄を作りあげるパワー『地中の星』】
- 【中学受験の見えない敵を書き出した『翼の翼』】
- 【いくつになっても目標をもちたい『金の角を持つ子どもたち』】
- 【息子からのカミングアウト『息子のボーイフレンド』】
- 【人権問題に挑む『やさしい猫』】
- 【レトロブームにのっかれ!『たそがれ大食堂』】
- 【一冊の本に関わる人の物語『本が繋いだ五つの奇跡』】
- 【親元を離れて気づく『母親からの小包はなぜこんなにダサいのか』】
- 【ちょっとした推理も楽しめる『本バスめぐりん』シリーズ】
- まとめ
2021年冬 寒さを忘れるほど夢中になれる本13冊
明治~昭和初期のパワーあふれる女性の物語『らんたん』
この冬イチオシの作品です。タイトルからして暖まりませんか?
恵泉女学園を創立した河合道さんと、道さんを支えた一色ゆりさんの物語。
明治時代から昭和(戦後)にかけて激動の時代を生きた道さん。
女性としてのやわらかな気持ちをもちながらも、彼女の決して揺るがない誇り高い志には心が熱くなります。
女性の幸せとは?とを考えてしまうのですが、それよりもなによりも読んでいて楽しいのがこの本の魅力。
史実を元に書かれた作品ですので、たくさんの著名人たちが登場するのもおもしろいです。
女性の自由な新しい生き方を切り開いていく人たちのパワーは、冬の寒さを吹っ飛ばしてくれます。
茶箱
柚木さんの書く女性たちの物語は共感度高いわ
明治時代ロシア留学した女性画家の人生『白光』
茶箱
波乱万丈の人生を強く生きる女性の姿に心が熱くなったわ
現在よりも女性の地位がずっと低かった明治時代に画家としてロシアに留学した女性”山下リン”の人生物語です。
宗教画家”山下リン”を知らない人にもぜひ読んでほしいです。
女性が自分の好きなことを必死に追い求め生きていこうとするパワフルさに心をうたれます。
茶箱
強いだけじゃない弱い部分や、わがままな部分もあり、完璧じゃない人間性あふれるリンは可愛くもあり、魅力的だったわ
【短い人生を音楽に捧げた『滝廉太郎ノオト』】
今も昔も、女性だけじゃなく男性も自分の好きなことを貫いて生きるのはたいへんなんだなとしみじみと感じた本です。
教科書で学ぶ日本の音楽家といえば、丸ぶち眼鏡が印象の滝廉太郎を思いうかべる人が多いはずですが、滝廉太郎ってどんな人なのか知っていますか?
人間としての滝廉太郎を書き出した小説がこの本です。
音楽という芸術の道で生きていくたいへんさ、他人の才能や運をうらやましく思う自分の性格の悪さにイラッとくる廉太郎。
廉太郎や仲間たちといった芸術を極めようとする人たちの葛藤、青春時代のみずみずしい感性があふれ出た物語です。
茶箱
ライバルがいてこそ、自分自身も高めていけるのよね~
【イギリスで今を生きる親子『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』】
現代のイギリス社会のリアルが読める本を続けて紹介します。王室や政治だけではなく、ごくふつうのイギリス人の暮らしが見えてきます。
第一弾『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』は大ヒットしました。
茶箱
青春と人種について色で表現しているようなタイトルがいいわよね~
2021年秋には第二弾が発売されたので、1作目をまだ読んでない人は2冊まとめて読むのがおすすめです。
父イギリス人、母日本人、息子の地元の元底辺中学に通うごく普通の毎日が語られています。
息子が不思議に思ったこと、ぶち当たった問題、その息子の問いに真剣に考え答える両親の姿は子育ての参考にもなります。
そしてニュースだけではわからない、イギリス社会の現実がみえるのも興味深いです。
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茶箱
どんな人でも、社会で生きるのはたいへんなのよね。
【日本初地下鉄を作りあげるパワー『地中の星』】
2020年の大河ドラマ渋沢栄一物語は予想外に人気があり、実業家の社会を生き抜く力は変わりゆく社会を生きる私たちに勇気を与えてくれました。
NHKドラマを楽しんだ人におすすめしたいのが、日本初の地下鉄銀座線をつくった早川徳次の物語です。
「自分の熱意を注げる事業をしたい」と思う早川の気持ちから物語は始まります。
地下鉄事業は、もちろん順風満帆に進むわけではありませんし、事業が大きくなればなるほど勃発する問題も増え、大きくなり、人の裏切りも数多くあり、想定外のことも起こります。
それでこそ、人生!
計画が計画どおりにすすむことなんてないんですよね
自分の熱意を最初から最後まで通しぬく難しさ、物事に頑固になっていく姿、早川の人間臭さが加わり、余計に胸が熱くなります。
寒い冬に熱い男の物語をどうぞ
茶箱
想像もつかないものをやり遂げるは男のロマンなのよね~
【中学受験の見えない敵を書き出した『翼の翼』】
冬になると受験シーズン到来ですね。
そんな冬に、読んでほしいような読んでほしくないような受験リアル小説が『翼の翼』です。
物語は中学受験をする小学校2年生の翼君から始まります。
受験への考え方の違いからおこる母親同士の葛藤、両親や祖父母をも巻き込んだ受験への価値観の違い、塾にかかるお金問題などなど。
受験までの紆余曲折、受験にまつわる問題が次から次へとふってきます。
受験はなぜするのか?誰のためのなのか?
受験の敵はライバルたちなのか、親なのか、自分なのか?
第三者的にみれば「大変なんだな~」と中学受験の世界に驚き、当事者、当事者になる人たちからみると「わかるわ~」と共感をもって読める本です。
茶箱
現代の”中学受験”という世界を知るのにおすすめの本よ
【いくつになっても目標をもちたい『金の角を持つ子どもたち』】
続けて中学受験がテーマになった本を紹介します。
こちらは中学受験を決めたのは小6のときという俊介君の物語です。
なので1年間たらずの短期決戦となります。
俊介君を中心に、中学受験を決めた少年の母親の物語、少年の受験への葛藤物語、少年の通う塾の講師の物語、3つの連作短編集となっています。
いろんな方向から中学受験をみつめると、受験ってその子だけががんばっているわけじゃないんだな~と思います。
受験生をフォローする人たちだれしもが、受験生に負けず、人生という戦いに前向きに闘っている姿が書かれています。
そんな彼らの生き方には涙してしまうくらい感動しました。
茶箱
受験が終わっても長い人生の戦いは続くのよね
【息子からのカミングアウト『息子のボーイフレンド』】
男とか女とか”性”に対する認識が大きくかわりつつある現代社会。
性への偏見は自分の頭で理性ではわかっていても、実際に自分が当事者となったらどうなるのでしょうか?
愛する可愛い一人息子から突然ファミレスで「ボーイフレンドに会ってほしい」と言われる母親。
ここから物語はスタートします。
息子のこの発言をめぐって、母親、息子自身、息子のボーイフレンド、母親の友達、そして父親の目線から「息子のボーイフレンド」問題について語られていくのです。
けっして深刻なものではなく、それぞれが前向きにこの発言をとらえようとしていて、そして何よりもこの問題に対するみんなの態度がコミカルに書かれているので、クスっと笑いながら読んでしまいます。
そして、息子のボーイフレンドが、頭も良くて性格も良くてカッコいいのです。
これで性別さえちがっていたらと思う家族の気持ちが、ちょっとわかるような気もするのでした。
茶箱
親だからと言って子どものすべてがわかっているわけじゃないのよね
【人権問題に挑む『やさしい猫』】
なかなか知ることのない在日外国人の問題について書かれた小説をおすすめします。
母子二人暮らしだったマヤちゃんは、お母さんがスリランカ出身の外国人と再婚したことで問題にまきこまれていきます。
彼は家族を守ろうとした結果、違法滞在として逮捕され入管管理局に収容されてしまいます。
必至に訴えてもすべて悪い方向へ動き出してしまう。
わかってもらえないんじゃなくて、わかろうとしてもらえない
いつこの家族に幸せはやってくるのだろうか。
ニュースでは断片的にこの入管問題を取り上げていますが、まだまだ一般的に大きな波にはなっていません。
でも中国の人権的問題をこれだけ大きく取り上げているのだから、この入管問題だって日本が対処すべき大きな問題として取り上げられるのは時間の問題だと思うのです。
ひとつの家族が闘ってきた物語、ひとつの家族の愛情たっぷりの物語として読めるので、難しい問題がテーマになっていますが、読みやすいのもおすすめするポイントです。
茶箱
どこの国で生きるとしても、人が人として生きていく権利は認められているはずよね
【レトロブームにのっかれ!『たそがれ大食堂』】
最近はレトロ喫茶店がブームとなっています。
インスタでは固めのプリンや、ナポリタンといった昭和懐かしメニューがたくさんアップされていますよね。
そんなレトロ喫茶ブームに興味のある人におすすめの本です。
物語の舞台は、東京から少し離れた地方都市の駅前デパートマルヨシ百貨店にある大食堂です。
「なつかしい!」と思った人、「なにそれ?」と思った人、世代が別れそうですね。
どのデパートも家族がそろって楽しめる和食、洋食、中華、そしてデザートがそろった大きな食堂があったんですよ。
いまとなっては懐かしい大食堂が残っているマルヨシ百貨店でも、ここにきて大食堂が消滅のピンチに!
どうにかして大食堂を残そうと試行錯誤が始まります。
舞台はレトロでも、物語では現代的な問題がおこり、その問題解決のキーが今風のアイディアだったりと、かなり読みやすいです。
茶箱
おいしい料理がどんどん出てくるので、お腹がすくこと間違いなし
冬の寒さよりも空腹がつらいかも
【一冊の本に関わる人の物語『本が繋いだ五つの奇跡』】
本好きさんにおすすめしたいのが、1冊の本をつくるまでに関わる人たちのそれぞれの人間模様が書かれた短編集をおすすめします。
寒い冬だからこそ、人の温かさが身にしみる物語集です。
本は編集者がいて、作家がいて、装丁家がいて、販売する人がいて、読者がいて成り立ちます。
同じように人間もだれかの助けがあって生きていけるんだな~と、しみじみと感じてしまうストーリーでした。
特に親子関係の物語が多いので、帰省の時期になる冬におすすめの本です。
茶箱
自分の好きな本も、私の手元に届くまでにいろんな物語があったんだろうなと感慨ぶかくなったわ
【親元を離れて気づく『母親からの小包はなぜこんなにダサいのか』】
冬は帰省のシーズンだから、親子関係についての本を読むのがピッタリですね。
ふだんはそれほど連絡のない両親から、ふと食料や実家に届いた手紙類などがはいった小包が届くことがありますよね。
たいていはその中身に「またか~」と思うものです。
でもその小包って、とっても愛情の詰まったモノで、それをうらやましく思う人もいるんですよ。
両親からの小包って”幸せの印”なんだと思える物語(短編集)でした。
この本を読めば、帰省できなくても、両親のことを考えながら過ごせる冬になります。
茶箱
私の親からの小包には、必ず私の好物の地元名産おせんべいがはいっているわ
【ちょっとした推理も楽しめる『本バスめぐりん』シリーズ】
寒い冬は家のなかにいるだけじゃ退屈。ちょっとしたミステリーがほしくなります。そんな時におすすめしたいのがこの『本バスめぐりん』シリーズ(2冊)です。
3000冊の本をのせて町をめぐる移動図書館”めぐりん号”で働く、65歳の新人運転手テルさんと図書館司書ウメちゃん、年の差40歳のでこぼこコンビが活躍します。
巡回先でふたりを待ち受けるのは、移動図書館利用者と本を介した不思議な謎です。
殺人事件はないけれど、なんだか気になる謎をふたりは解決していきます。
解決の糸口は、町のなかで繋がる人と人、人と本。
ウメちゃんの元気いっぱいの若さと、テルさんの落ち着いた安心感ある性格も、そして町の人たちの温かい繋がりが、問題解決には欠かせません。
茶箱
登場人物がみんな、あったかい人たちなのよ
まとめ
2021年冬 寒さを忘れるほど夢中になれる本13冊はいかがでしたか?
自分では体験できないことを教えてくれる本の魅力がつまったものを紹介しました。
●『らんたん』
明治~昭和初期のパワーあふれる女性の物語
●『白光』
明治時代ロシア留学した女性画家の人生
●『滝廉太郎ノオト』
短い人生を音楽に捧げた男の青春
●『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』
イギリスで今を生きる親子
●『地中の星』
日本初地下鉄を作りあげるパワー
●『翼の翼』
中学受験の見えない敵を書き出した
●『息子のボーイフレンド』
息子からのカミングアウトにオロオロする家族の物語
●『やさしい猫』
人権問題に挑む
●『たそがれ大食堂』
レトロブームにのっかれ!
●『本が繋いだ五つの奇跡』
一冊の本に関わる人の物語
●『母親からの小包はなぜこんなにもダサいのか』
親元を離れて気づく
茶箱
寒さを吹きとばすくらい、本の世界に入りこんじゃうわ本ばかりよ