茶箱
【感動で泣ける小説】おすすめの本15冊を紹介するよ
おもいっきり涙を流して心をスッキリしましょう!
- 『金の角を持つ子どもたち』
- 『まだ人を殺していません』
- 『9月9日9時9分』
- 『雲を紡ぐ』
- 『向こう岸』
- 『悲しみの夜にカピバラが教えてくれた大切なこと』
- 『わたしの良い子』
- 『犬がいた季節』
- 『声のありか』
- 『あめつちのうた』
- 『女神のサラダ』
- 『国宝 (上) 青春篇・国宝 (下) 花道篇 』
- 『クレイジー・フォー・ラビット』
- 『とにもかくにもごはん』
- 『朔と新』
『金の角を持つ子どもたち』
【著者】藤岡陽子
【出版社】朝日学生新聞社
泣ける度(5点満点)
★★★★★:5点満点(号泣まちがいなし)
*おすすめ:中学受験に興味のある人へ
連作3編からなる物語。
物語の軸になるのは、中学受験をしたいと言い出した小6の俊介。
俊介の頑張りに家族もどんどん変化していく様子が描かれる。
また、俊介の通う塾の講師36歳の加地の物語もがさらに感動もの。
人生を後悔している彼が、真摯に子どもたち(弟にも)に向き合う姿が描かれている。
今年いちばん号泣した物語です。
大人は必死に生きる子どもになにを伝え、教えることができるのだろうか?
受験を通して、気づかされる社会で生きていく楽しさや辛さ、自分のもつ力を発揮する勇気、大いなる力をもつものに課される役割を気づいていく子供たち。
だれもが未来を切り開くため今を一生懸命生きているを感じることができる。
そんな彼らの姿に号泣間違いなしの物語。
大人にも子どもにも読んでほしい一冊です。
茶箱
一生懸命生きるって素晴らいことなのよ
『まだ人を殺していません』
【著者】小林由香
【出版社】幻冬舎
泣ける度(5点満点)
★★★★:4点(ハンカチが必要なくらい涙する)
*おすすめ:子どもの気持ちがよくわからないと悩んでいる人へ
父が殺人者として逮捕されたため良世(亡くなった妹の息子)と暮らすことになった翔子。
翔子自身は自分の子どもを事故で突然亡くしたという過去をもっている。
掴みどころがなく何を考えているかもわからないうえに不気味な行動も多い良世と、子供を育てることに自信が持てず不安な翔子。
二人の生活は、すれすれの状態が続く。二人がお互いを信頼し、わかり合える日はくるのだろうか。
お互いに心に傷を抱えて、罪を背負っている翔子と良世。
痛いほど繊細な心を持つ二人は理解し合いたいと思っている気持ちが伝わってくるんだけど、なかなか相手にわかってもらえない。
特にナイーブな子どもの気持ちに胸が何度も締め付けられたわ。
子どもって大人が思いもよらないことで、悩んだり傷ついたりしているのよね。
茶箱
子どもは小さな大人なのよ
あまりにも子ども扱いしていると痛い目に合うわよ
『9月9日9時9分』
【著者】一木けい
【出版社】小学館
泣ける度(5点満点)
★★★★★:5点満点(号泣まちがいなし)
*おすすめ:家族に反発心がある人へ
バンコクからの帰国子女である高校1年生の漣は、父と母と離婚して実家に戻ってきている姉と暮らしている。
漣は高校入学後、廊下でとある先輩朋温(ともはる)に一目ぼれ。
が、彼はぜったいに好きになってはいけない人だった。
それでも朋温が好きな漣は、大好きな家族に嘘をつくようになる。
ドキドキする恋のあとに待ち受けた恋の行方は?
漣の恋の決断に心が痛みまくりました。
その選択をさせる親にも憤りを感じたけれど、実際に漣の家族になって当事者にならないとわからないことばかり。
感情だけでは決められない難しい問題です。
「9月9日9時9分」一木けい
— 茶箱 ℂℍ𝔸𝔹𝔸ℂ𝕆 本とお菓子を愛する (@pooh70inu) June 5, 2021
高1の漣 好きになった人は姉のDV元夫の弟だった 家族から反対される恋の行方は悲しい でもその結末にだれが幸せになるのだろうか?と第三者的には思った 結局は当事者にしかわからない気持ちが辛い 表面から見えないこともたくさんあるのだから#読了#読書 pic.twitter.com/edJCYPnxY2
茶箱
家族が喜んでくれるのはうれしいけれど、それだけでは生きていけなくなる日がくるのよ
『雲を紡ぐ』
【著者】伊吹有喜
【出版社】文芸春秋社
泣ける度(5点満点)
★★★★★:5点満点(号泣まちがいなし)
*おすすめ:親子関係が上手くいかない人へ
血を分けた親子なのになぜか分かり合えない母と娘と、母親を愛するあまり父親の愛情を素直に認められない息子と父。
親子3代にわたる「心の糸」の物語。
いじめが原因で学校に行けなくなった高校生の美緒は、母と口論になり、岩手県盛岡市の祖父(ほとんど会ったことのない!)の元へ家出をしてしまう。
美緒は、ホームスパン(羊毛を手仕事で染め、紡ぎ、織る)の職人である祖父と一緒に暮らし、ホームスパンを教わることになる。
親子だから言葉にせずとも伝わるなんて思っていたら大間違いなんだなと痛感します。
近すぎてわからないこと、見えないこともあります。
わかってほしい、理解してほしいという努力も必要なんですよね。
● 第163回直木賞 候補作
*2021年、都立高校入試や、私立中学入試で出題されました。
茶箱
親子だって相性があるのよね~
『向こう岸』
【著者】安田夏菜
【出版社】講談社
泣ける度(5点満点)
★★★★:4点(ハンカチが必要なくらい涙する)
*おすすめ:貧しさを知らない人へ
有名進学校で落ちこぼれ公立中学に転校した、裕福な家庭で育った少年、和真。
かたや父を事故で亡くし、母と妹と三人、生活保護を受けて暮らす少女、樹希。
まったく違う環境で育った二人は、お互いを疎ましく思っていた。
しかし、お互いことを知るにつれて、自分だけが現状の環境に苦しんでいるわけではないと、相手を思い合えるようになる。
そして二人は「貧しさゆえに機会を奪われる」ことの不条理に立ちむかっていく。
子どもにとってみれば選択の余地のない貧困。
でも貧しさは、将来をあきらめる理由になんてならないのだと強く感じます。
今を生きるだけではなく、将来を見られるような生活保護の在り方を考えるきっかけにもなります。
● 第59回日本児童文学者協会賞受賞作品
● 貧困ジャーナリズム大賞2019特別賞受賞作品
● 2019年、国際推薦児童図書目録「ホワイト・レイブンズ」に選定
*2021年、私立広尾学園中学の入試で出題された小説です。
茶箱
大人の私ですら、自分の見ている世界なんて、ほんの一部の世界なんだと頭をガツンと打たれた気持ちになったわ
『悲しみの夜にカピバラが教えてくれた大切なこと』
【著者】瀧森古都
【出版社】SBクリエイティブ
泣ける度(5点満点)
★★★★:4点満点(ハンカチが必要なくらい涙する)
*おすすめ:最近、心がヒンヤリしているなと感じている人へ
母親に捨てられた(と思われる)名前もない少年は、縁あって動物園の園長兼児童養護施設の園長(この後小学校の校長になる)のお世話になり成長する。
少年は、加比原譲二(かぴばら・じょうじ)と名付けられた。
30年後成長したカピバラさんは、 動物園の清掃員とその隣にある小学校の用務員として働いている。
カピバラさんは完璧な人間ではない、どちらかといえば、苦手なことが多い人間だが、人を疑うことのないピュアなカピバラさんは一緒にいるだけで、愛や家族、本当の正義について教えてくれる不思議な人なのだ。
*カピバラさんを中心に3つの親子の形が書かれた連作短編集
人を思いやる気持ち、人を助けようと思う気持ち、人を許す気持ち、人を愛しいと思う気持ち、その気持ちを持ち続けていれば、人生は捨てたもんじゃない。
(p.20)
茶箱
”裸の大将”山下清さんのようなカピバラさんの純粋さに感動すらおぼえたわ
『わたしの良い子』
【著者】寺地はるな
【出版社】中央公論社
泣ける度(5点満点)
★★★★:4点満点(ハンカチが必要なくらい涙する)
*おすすめ:子どものことがよく分からない人へ
子どもを実家において新しい男と家をでた妹のかわりに、妹の子ども・朔と暮らすことになった椿。(朔は自分の置かれた状況を把握している)
結婚もしていないし子育て経験ももちろんない会社勤めの椿は、子育てにてんやわんやになる。
しかも朔は、勉強が苦手で内にこもりがちで自分の感情を外にださない《育てやすく》はない子どもなのだ。
お互いに気をつかいながら、ときにはぶつかり合いながら椿と朔は家族になっていく。
椿だって懸命に朔を育て、愛を注ぎますが、本当の親に甘えたいと思うはずの朔の小さな心はどんな想いでつまっているのだろうか?
小さな朔が、自分の立場を理解して、気持ちを押し殺し、いろんなことを我慢しているだろうと思うと泣けてきました。
茶箱
朔はほんとうに良い子よ~
『犬がいた季節』
【著者】伊吹有喜
【出版社】双葉社
泣ける度(5点満点)
★★★★★:5点満点(号泣まちがいなし)
*おすすめ:人には言えない悩み・思いを抱えている人へ
ある日、高校に迷い込んだ子犬コーシローは、12年間高校で暮らし、生徒と学校生活を送ってゆくなかで、見て触れた数多くの18歳の青春。
昭和から平成、令和へ時代が変わっても、変わらぬ青春のきらめきや切なさは変わらない!
高校生と犬のコーシローが物語をつむぐ連作短編集。
平成時代が青春だった人たちは、自分の青春時代と照らし合わせて、まるでその時代に戻ったような気分になれます。
時代は変わっても青春を過ごす高校3年生のもつ姿は変わりません。
いつの時代も彼らの心の中は、現状への不満、将来への不安と期待、モヤモヤする気持ち、何かに熱中する気持ちであふれているのです。
*2021年本屋大賞第3位
茶箱
青春って本人たちは辛いのに、大人から見るとキラキラしていいものなのよ
『声のありか』
【著者】寺地はるな
【出版社】KADOKAWA
泣ける度(5点満点)
★★★:3点(ティッシュが必要なくらい泣ける)
*おすすめ:言いたいことが言えない人に
いつの間にか自分の考えを持たない、自分の意見を言えない人間になってしまっていた希和。
夫にも、小学四年生の息子にすら大事なことが言えない。
そんな希和だったが、民間学童『アフタースクール鐘』で働きはじめたたことがきっかけで、マイペースな経営者や、学童の子どもたち、家族、ママ友に振り回されながらも自分自身の言葉を取り戻していく。
SNSやママ友、家族にふりまわされていると思うのは、自分自身にも責任があるんですよね。
希和の姿に共感できることが多くて、希和のように”自分”に自信がもてるようになりたいなと思える本でした。
茶箱
大人の女性だって成長できるんですよね!
『あめつちのうた』
【著者】朝倉 宏景
【出版社】講談社
泣ける度(5点満点)
★★★★:4点(ハンカチが必要なくらい涙する)
*おすすめ:自分に自信の無い人へ
主人公は絶望的な運動神経の持ち主・雨宮大地。
自分とは正反対の弟、運動神経なしの大地など相手にしない父へのモヤモヤした気持ちから逃げるように大地は、実家を離れ、東京から大阪の甲子園のグラウンド整備を請け負う阪神園芸へと入社する。
負け犬精神のある大地は、成長し日本最高のグラウンドをつくりだすグラウンドキーパーになれるのか?家族とは理解しあえるのか?
大地と一緒に働く仲間や、高校時代のチームメイトなどの生き方も、読みごたえのある物語です。
華やかな表舞台で活躍している人だけでなく、そこに行きつくまでの人や、その裏で懸命に働いている人たちにも、それぞれのドラマがあります。
野球のもつ熱気、本音のぶつかり合い、誰かを想う気持ち。
あちこちに熱い心がほとばしり、物語にぐいぐいと引き込まれてしまいます。
茶箱
自分に自信をもてるようになる初めの一歩は、自分の殻を破ることなのね
『女神のサラダ』
【著者】瀧羽麻子
【出版社】光文社
泣ける度(5点満点)
★★★:3点満点(ティッシュが必要なくらい泣ける)
*おすすめ:農業に興味のある人へ
農業に関わる女性を描く8つの短編集。
東京の会社でストレスをためてしまいレタス農場に転職した女性、定年退職した頑固なおじさんと働く女性、思わぬ展開で田舎の農家の嫁になってしまった女性など、農業に関わるさまざまな年代の女性たちの奮闘物語。
野菜をとおして生まれる、人と人との絆に心がほんわりあたたかくなります。
さらに前向きになれて、おいしいサラダが食べたくなる物語です。
「女神のサラダ」瀧羽麻子
— 茶箱 ℂℍ𝔸𝔹𝔸ℂ𝕆 本とお菓子を愛する (@pooh70inu) December 10, 2020
農業・野菜がテーマになった物語の短編集8編
どの作品でも泣ける、人が温かいのよ❤
何かを作るって、誰かに喜んでもらうためなんだな
人とのふれあいに飢えていたら、ぜひ読んでほしい
私は「本部長」の話が一番好き。泣いて笑えた#読了#読書垢さんと繋がりたい pic.twitter.com/AtuD2PBC0u
茶箱
野菜を食べる時に、その野菜が我が家にやってくるまでのストーリーを勝手に想像してみたわ
『国宝 (上) 青春篇・国宝 (下) 花道篇 』
【著者】吉田 修一
【出版社】朝日新聞出版
泣ける度(5点満点)
★★★★★:5点満点(号泣まちがいなし)
*おすすめ:人生っていろいろあるよなと思っている人へ
極道出身と梨園出身という生い立ちが違う若者二人が、芸の道に青春を捧げていく物語。
1964年元旦、極道の一門に生まれながらも立花喜久雄は歌舞伎の世界へ。
彼と共に歌舞伎役者の道を歩む梨園出身のお坊ちゃま”俊ぼん”こと俊介。
喜久雄と俊介ふたりの生き方が描かれる。
技をみがき、道を究めようともがき続ける男の姿、信頼と裏切りが繰り返されるドラマチックな物語。
人生ってきれいごとばかりじゃないよな、としみじみと感じてしまいます。
スタートラインだって人それぞれちがうし、汚れることもあるし、どん底に落とされること、想像つかないことが起こるかもしれない。
でも、自分の人生を生きられるのは、結局自分だけ。
それはだれにも平等に与えられています。
* 芸術選奨文部科学大臣賞、中央公論文芸賞をW受賞
「国宝」上下 吉田修一
— 茶箱 ℂℍ𝔸𝔹𝔸ℂ𝕆 本とお菓子を愛する (@pooh70inu) July 5, 2020
想定以上の小説
華やかで芸を極める歌舞伎役者の生涯だけではない
家族、友情、女の生き方、梨園のドロドロ、血の繋がりがなくても生まれる信頼、人生のすべてが描かれる
ドラマチックなストーリーに引き込まれて、この土日で読了
当分この物語の余韻浸りたい#読書 pic.twitter.com/gi9yrQSmSc
茶箱
懸命に生きる男の姿に号泣したわ
『クレイジー・フォー・ラビット』
【著者】奥田亜希子
【出版社】朝日新聞出版
泣ける度(5点満点)
★★★:3点(ティッシュが必要なくらい泣ける)
*おすすめ:友達関係に息苦しさを感じている人へ
小学生から30歳を過ぎた、ひとりの女性の成長を描く連作短編。
愛衣は小さなころから、隠しごとの「匂い」を敏感に感じてしまうため、人間関係が築きにくいと自分では思っている。
友達をつくらなくちゃと思ったり、友達との距離の取り方に悩んだり、ちょっとしたことで仲間外れになったかもと思ったり。
女の子ならだれもが経験する友達の悩みが書かれた物語。
大人になると、どうしてあんなにも友達が必要だったんだろうか?と思ったりする。
もう名前すら思い出せないような友達すらいるのに。
でも、集団から外れることに勇気がいるあの学校生活を生き抜くには、友達って必要不可欠だったんだよな。
茶箱
「友達ってなんなんだろう」と大人になった今でも思うわ
『とにもかくにもごはん』
【著者】小野寺史宜
【出版社】講談社
泣ける度(5点満点)
★★★:3点(ティッシュが必要なくらい泣ける)
*おすすめ:おいしい食事に飢えている人へ
子ども食堂を取り巻くひとたちの連作短編集。
午後5時開店し午後8時閉店する「クロード子ども食堂」には、働く人も、ご飯を食べる人も、子どもも大人も集まる。
だれもが、それぞれの人生を生きている。
みんないろいろあるけれど、あたたかいごはんを食べれば元気になれる。
やさしさで包まれたおいしい物語。
ごはんを食べることで幸せな気持ちになれるのは当たり前だと思っていたけれど、その幸せの有難さに気づいてますか?
当たり前の幸せは当たり前じゃない。
一緒にごはんを食べる人、ごはんをつくってくれる人、ごはんをおいしいと思える心に感謝したくなりますよ。
茶箱
おいしいものを食べて、イヤなことも辛いことも忘れちゃおう
『朔と新』
【著者】いとうみく
【出版社】講談社
泣ける度(5点満点)
★★★★★:5点満点(号泣まちがいなし)
朔(兄)と新(弟)は兄弟
物語は朔が盲学校から自宅に帰ってくるところから始まります
一昨年、二人の兄弟が乗った高速バスが事故にあい、兄の朔は失目してしまったのです。
その事故にあった原因が自分にあると思い続けている弟の新は、久しぶりに兄と顔を合わせます。
ぎこちなさがのこる兄弟、家族。
そんななか、朔がブラインドマラソンに挑戦したい、新に伴走をお願いしたいと言い出します。
人間の性(さが)がみえる物語です。
盲目になった少年の成長物語が物語のメインではなく、彼を中心とした周りの人間たちの、簡単には目にはみえない、真実の姿が見えてくるのがおもしろいですよ。
大人だって、子どもだって、強い人間、完璧な人間なんていない、弱い面や、いやらしい心、自分勝手ないやらしい面をもっているのが明らかになっています。
● 2020年野間児童文芸賞受賞
*2021年の難関私立中学校の、ラサール中学、栄光学園中学、浦和明の星中学、淑徳与野中学の国語の入試問題として出題されました。
*おすすめ:高校生くらいから
茶箱
自分が辛い時や弱っている時に見えるものこそ、その人の本当の姿なのよね