茶箱
いい人ってどんな人だと思う?
自分はいい人だと思う?
『いい人ランキング』吉野万里子
【著者】吉野万里子
【出版社】あすなろ書房
2020年、湘南学園中学校(B)、神奈川学園中学(A午前)の入試問題(国語)で出題されました。
あらすじ・読みどころ『いい人ランキング』吉野万里子
主人公は中学校2年生の桃
母が再婚して裕福な男性と再婚したばかりで、新しい名字に慣れていない。
桃はのんびりマイペースな女の子で、人を疑うことをしない、天然といわれるほど”いい人”と思われている。
そんな桃はクラスで行われた「いい人ランキング」で一位に選ばれた。
それから桃を取り巻く環境は、露骨ではなくひっそりと、でも確実に変わっていく。
いじめられていると気づいた桃はどうするのか?
いじめを相談した同じ年の男子、尾島圭機のアドバイスとは?
茶箱
いい人、幸せな人へのモヤモヤした気持ちってわかるわ
『いい人ランキング』吉野万里子 中学受験生へのおすすめ度
★★★(3点満点中)
ルビもあり、中学受験生が自分のリアルな学校生活とリンクできるストーリーで読みやすい
茶箱
自分に似た登場人物(生徒)がいるんじゃないかな
2020年湘南学園中学校(B)の入試問題(国語)を解いてみた
出題された部分
第3章「作戦」より
中学生の桃は、2年1組の「いい人ランキング」で一位に選ばれた後、クラスから疎外され、確実にいじめられていると感じた。
同じく2年4組の「いい人ランキング」一位に選ばれた尾島圭機にそのことを相談するシーン
気になるフレーズ
圭機が「いい人ランキング」の裏事情を桃に話した後の一言
初めて、人間の悪意に出会ったかい?
茶箱
二人とも”いい人”なのに、ぜんぜん違うタイプの”いい人”なのよ 圭機君の中学生とはおもえない”策士”的な考えにビックリ
こんな問題だった
● 文章問題量はふつう~多め 読みやすい文章
● 慣用句を問う問題あり
● いい人の違いを見分けるのがポイント
➡桃、鞠(桃の妹)、圭機の「いい人ランキング」一位に選ばれた後の3人の対応
● 会話文が多い 文章の順番を問う面白い問題あり
➡誰の会話なのか?誰について話しているのかを見分ける必要あり
● 桃の天然具合についていけるか
➡今どき信じられないくらいピュアな桃が、人の持つ”悪意”に気づいていく 桃の気持ちの変化を読み取る
茶箱
ピュアな物語じゃないのが面白いわ
この先が気になる問題文章よ
2020年神奈川学園中学(A午前)の入試問題(国語)を解いてみた
出題された部分
物語最後の章「決意」より
母と再婚したての義父とまだ馴染めていない中学2年生の桃
義父の仕事先の病院で義父の今まで知らなかった一面を見るシーン
気になるフレーズ
義父が桃に「大切にしてほしい」ということ
いろいろ『それどころじゃない』ときにも、日常生活を続けていく強さ
茶箱
義父が”いい人”一辺倒で生きていくよりも、自分を大事に毎日を生きてほしいと話すアドバイスが「ふかいのわ~」
義父の言葉はさらにとってもステキ
自分でも気づかない長所、見つけてくれる人ってありがたいな。
人間って、自信のことは何でもわかってるつもりで、存外視野が狭いんだ
茶箱
こんな素敵なセリフを言っちゃう義父は、大病院の次期院長なのよ
さらに素敵さが増すわね(笑)
こんな問題だった
● 文章問題量はふつう~多め 読みやすい文章
● 解きやすい問題
● 登場人物の名前と立場を理解しておく必要あり
➡お母さん(愛子)、お父さん(昇留)ではなく名前ででてくるので注意
ちなみに妹は鞠 お父さんは義父
● 会話文が多い
➡誰が話しているのかを見分ける必要あり
● 再婚したてでまだ馴染んでいない義父と桃との関係
➡知らなかった義父の姿を見たり、義父から頑張り屋の桃へのアドバイスなどから、桃の義父への気持ちの変化を読み取る
茶箱
大人の私としては、母と義父がどんなふうに知り合って結婚することになったのかが知りたくなったわ
*読みどころや試験問題の感想は、あくまでも私個人の意見です。
続けて読みたい本は?
森絵都『クラスメイツ』
クラスメイトのみんなはそれぞれの日常を生きているんだと気づかせてくれる クラス全員が主人公になった連作短編集
椰月美智子『14歳の水平線』
中学2年生のさわやかな青春を描いた物語 映画『スタンド・バイ・ミー』のようなストーリー