濱野京子さんの『空と大地に出会う夏』の本を読みました。
「どんな本なのか」「子どもに読んでほしいか」を検証し、紹介します。
茶箱
「本当の自分はどうしたいのか」「自分はどんな人間なのか」と思っている子どもにおすすめしたい本よ
『空と大地に出会う夏』
【著者】濱野 京子 (著)
【出版社】くもん出版
【出版年月】2022年7月
『空と大地に出会う夏』のおすすめ度
2 読んでみよう
最初はさらっと読んだんだけど、もう一回読み直してみると、物語に奥行がある気がしました。
家族や友達のことを考えることで、自分自身を見つめなおしている主人公の姿が浮かび上がってくるのです。
自分はどんな人間で、他の人からはどう見られているのか、両親はどんな人なんだろうか、自分が仲良くしたい友達は誰なのかなどなど。
『空と大地に出会う夏』は、自分探しの物語なんじゃないかな~と思いました。
ただ読みやすい内容なのですが、登場人物の数が多く、人間関係が細かくいりこんでいてわかりにくかったです。
特に主人公の友達、大智(ひろと)君に関する人間関係がむずかしかったです。
あまり人間関係にこだわると、物語の本質がわからなくなってします。
大智(ひろと)君については、彼自身についても、わかりにくいのですが、そこがこの本のポイントのような気がします。
主人公の理一郎くんの感情は丁寧に書かれているので、わかりやすいので、読みやすいです。
本のテーマとなっている「家族」「友達」は、小学高学年生になると、気になりだし、悩んだりしがちなことなので、自分自身のように読めると子どもが多いと思います。
『空と大地に出会う夏』を実際に読んでみた主観的な判断ですので、参考にしてください。
*おすすめ度は三段階になっています
①おすすめ、ぜひ読んでみて
②読んでみて
③時間があれば読んでみて
本のテーマ・主題
●家族
●友達
主な登場人物
茶箱
あなたに似た子はいるかな?
◆佐合理一郎くん
主人公
小学校6年生
成績はかなりいいが、目立つたいぷではない。
理屈ぽいといわれてしまう。
◆堀川海空良(みそら)ちゃん
理一郎の同級生(同じクラスではない)
外見に特徴があるわけでもなく、スポーツができるわけではないのに目立つ。
空気が読めないマイペースな子として思われている。
◆中上大智(ひろと)
理一郎のもと同級生
特に仲が良かったわけではない
4年の二学期に転校してしまった
かなりおっとりしたマイペース型人間
◆木平亜梨子(ありす)
理一郎の同級生で幼なじみ
背が高く、いつも黒い服を着ていて迫力がある
スカートをはかない
◆佐合真彩(まや)
理一郎の姉
感情的なところがある
家を離れて染織の勉強をしている大学生
本の内容
長編小説
――「ここは、寄り道!」
佐合理一郎(リイチ)は、言葉できちんと説明できないことやムダがきらいな小学校6年生。成績も優秀、スポーツもピアノもそつなくこなすリイチだったが、親友の準也のようには、将来の目標がもてずにいた。
ピアノのレッスンの帰り道、同じ学校の海空良と出会ったリイチ。あきらかにウマがあわないタイプの女子・海空良に連れられてリイチがむかったのは、転校していった中上大智の家だった。4年生のときのある出来事がきっかけで、大智に会いたくないと思っていたリイチだったが、強引な海空良のペースにあわせているうちに、大智とも顔をあわせるようになって……
ムダがきらいな少年・リイチが、寄り道ばかりの海空良や大智といった多様な人々と出会うことで、自分の生き方を見つめ、周囲の人間との関係をとらえ直す、ひと夏のちょっとした成長物語。
読みやすさ
読みやすい
難しい言葉にはルビ・ふりがながついている
読める年代は?
小学校中学年くらいから読める
この本から気づけること
●多様な家族の形があること
●自分とは違う生活をしている子どもがいる
●話したことのない友達でも仲良くできるかも
●血のつながった親子でも理解できないことはたくさんある
●「家族」「友達」を通して、自分はどんな人間なのか、本当の自分はどうしたいのかを考えるキッカケになる
心に響いた言葉・フレーズ
家族だってこんなにちがうのだから、ひとりひとりちがう人間なのがあたりまえ
(p.126)
家族とたくさん衝突した経験を持つ、大学生の真彩(まや)お姉ちゃんの言葉です。
血の繋がった家族でさえわからないことだらけなんだから、学校の友達なんてさらにわからなくて当然ですよね。
茶箱
ちなみに私個人としては、利一郎ママと年の近い私が読んだからか、理一郎の母の娘や息子への愛情がわかるシーンに涙がでたわ
あわせて読みたいおすすめ本:同じ作家編
『空と大地に出会う夏』の作者、濱野京子さんは多数の児童書を書いています。
特におすすめなのは、2021年青少年読書感想文全国コンクール課題図書 中学校の部に選ばれている『with you』です。
あわせて読みたいおすすめ本:同じテーマ編
「家族」特に母親との関係に悩んでいるなら、魚住直子さんの『いいたいことがあります!』をおすすめします。
2022年女子美術大学付属中学校の入試問題で出題された小説です。
今まで話したこともないような、気が合いそうもないなと思う友達との物語を読むなら、高柳克弘さんの『そらのことばが降ってくる保健室の俳句会』をおすすめします。
2022年桜蔭中学の入試問題で出題された小説です。
まとめ
『空と大地に出会う夏』は、「家族」「友達」について考えることで、さらには「自分はどんな人間なのか」と考えるのにおすすめの一冊でした。
茶箱
気になったら、読んでみてね