茶箱
読めば読むほど、だれが正しいのかわからなくなってくる本だったわ
正義って何なのかしらね?
工藤純子『あした、また学校で』
【著者】工藤純子
【出版社】講談社
2021年の難関私立中学校、駒場東邦中学校の国語入試問題として出題されました。
『あした、また学校で』駒場東邦中学の入試問題に採用いただいたようです。これを機に、多くの人に読んでいただけたら幸いです。 #講談社 #中学入試2021 https://t.co/E9wGqP3q3B
— 工藤純子 (@junku2011) February 2, 2021
あらすじ・読みどころ
事件は11月に起こった
大縄跳び大会の朝練に出なかった将人が先生にみんなの前でかわいそうなくらい怒られたという
茶箱
どうでもいいんだけで、なんで冬に縄跳びってやるんだろう
冬の寒い乾燥したときに、縄が足に当たるとすごく痛いのよね
その現場を見た正義感の強い咲良は、将人の兄、一将にそのことを伝え、これは見逃せないことだという
この事件を咲良と一将は、児童たちの集まり代表委員会の話し合いの議題とするが児童たちの反応は薄い
その場にいた教師が発した言葉は「学校はだれのものかって かんがえたことはありませんか?」という問いだった。
事件は児童のみならず、教師や親、地域住民も巻き込んでいくのだが、「学校はだれのものか」に答えはでるのだろうか?
事件を、子どもたちの目から、親の目から、先生の目から考えた物語が組み合わさった本になっています。
茶箱
だれもが「あれ?」と思ったことのある問題に、ガツンとぶつかった児童たちの物語
ひとつの事件に対して、当事者たちの考え、第三者の考えはまったく違うものになるし、事件のとらえ方も異なる
考えれば考えるほど、だれが正しいのかわからなくなるわ
いろいろな人たちが集まる学校は、毎日がサバイバルなのよ!
● 児童同士、児童と教師、児童と両親、両親と教師といった学校を取り巻く人間関係
● 正義とはなにか
● 学校に対するそれぞれの考え方の違い
2021年駒場東邦中入試(国語)の入試問題を解いてみた
文章問題はかなり長め
物語自体は読みやすくわかりやすいのですが、問題文量をみると圧倒されちゃいます
茶箱
出題された部分は第5章の「PTA運営委員会」まるまる一章分
「事件をきっかけに不登校になってしまった弟将人について、母親がどうにかしようと行動を起こす」という内容の部分よ
出題部分の物語の主人公は、将人の母親祥子
茶箱
大人同士の気持ちを読み取る問題よ
ピュアな子どもには、わかりにくい面もあるかもしれないわね(笑)
●祥子とPTAに参加する人たちとの関係
●祥子と学校の先生たちとの関係
●祥子と息子との関係
茶箱
大人の私が解いてみたところ、自分の考えを書かせる問題が多いので「文章を書く」に慣れていないと難しいと思ったわ
選択解答については、読みやすい文章をさらっと読んで、自分なりに想像して解答を導き出しちゃうと危険だと感じたわ
私は選択問題で結構悩んだわ
工藤純子『あした、また学校で』 役立つちょこっとメモ
●主人公:主に小6の一将、咲良、小2の将人
●舞台:学校・家庭
●難しい漢字にフリガナあり
●本の長さ:188ページ(単行本)
●初版:2019年10月
●作者の工藤さんは人気の児童文学作家。たくさんの人気シリーズ本などを書かれています。
茶箱
工藤純子『あした、また学校で』は、子どもも大人も読みごたえのある本だと思ったわ
親子で一緒に読み合える本よ
大人の私は読んだ後、自分のもつ考えや正義が、もしかしたら安易に人を傷つけているんじゃないかと、ちょっと怖くなったわ
*読みどころや想像の世界は、あくまでも私個人の意見です。
続けて学ぶための本は?
工藤純子さんの書いたほかの児童書は?
▼▼本『となりの火星人』がおすすめ
問題を抱えた「困っている」子どもたちが主人公の物語集です