茶箱
中学入試問題で田辺聖子さんの作品ってびっくりよ!
田辺聖子『夕ごはんたべた?』
【著者】田辺聖子
【出版社】新潮社
2021年の難関私立中学校、早稲田中学校の国語入試問題として出題されました。
あらすじ・読みどころ
物語の刊行は1975年9月、45年前の作品です。
兵庫県尼崎の下町で皮膚科を開業する中年医者、三太郎
彼は何を考えているかわからないようなところがあり、家族から半分、仙人「半仙」と言われている
妻は山崎豊子の『白い巨塔』を面白いという玉子
子どもは長女の丸子、長男の長太20歳、末っ子の大吉19歳と息子の3人
学園紛争の後遺症で、いまだに内ゲバにまきこまれたりするし、高校を中退してシンナー遊びに走ったりと問題ばかりを抱えている息子たちに、三太郎夫婦の悩みは尽きない。
三太郎夫婦は、子どもが憎たらしくて仕方ないときもあれば、ちょっとした仕草や行動が可愛いときもあるし、気を許しちゃって、また裏切らたりするのだ。
茶箱
昭和時代(1970年ごろ)の物語なうえに、会話文は大阪弁でかなりの長編物語
東京で育った令和時代の小学生にとって、1冊読み切るのは、かなり困難だと思うわ
● 親子の関係(父と息子・母と息子の関係の違い)
● 自分の子どもといえども、思い通りにはいかない親の悩み
● 夫婦の関係、考え方の違い
2021年早稲田中入試(国語)の入試問題を解いてみた
問題の文章量はそう多くないのですが、会話文は大阪弁ですし、子どもたちには読み慣れていない文章ではと思います。
茶箱
おばちゃんが読むには、面白くてぐいぐい読んじゃう物語なんだけどね
出題された部分は物語のちょうど真ん中あたり
茶箱
物語の問題になっている部分だけ読むと、人間関係もあいまいなんだけど、要のところは父と息子の関係性が重要なので、細かな人間関係はあまり気にしないでいいわよ
父親である三太郎の、息子大吉への気持ちの変化を読み取るのが主な問題になっています。
●父親と息子の関係
茶箱
中年の父親の気持ちを読み取る問題よ
受験生の小学生には、昭和のお父さん、半分仙人のようなユニークな医師の気持ちを読み取るのは難しい気もしたけれど、問題部分の三太郎の気持ちは、しごく真っ当な父親の気持ちという解釈で大丈夫だったわ
大人の私が解いてみたところ、選択問題は素直に答えればよかったんだけど、記述問題は物語全体から解答を導きださなくちゃならない問題があり、難しかったわ
田辺聖子『夕ごはんたべた?』役立つちょこっとメモ
●主人公:医師の三太郎
●舞台:家庭
●フリガナなし
●本の長さ:617ページ(文庫本)
●刊行年月:1975年9月刊行
●作者の田辺さん(1928年- 2019年)は、日本の小説家、随筆家。恋愛をテーマにした小説や大阪弁を用いた方言文学の制作に取り組んだ。1987年から2004年まで直木賞の選考委員を務めた。
【参考:Wikipedia】
茶箱
田辺聖子『夕ごはんたべた?』は、子どもよりも大人が読んでおもしろい小説よ
高校紛争、ゲバくずれなど、今どきにはよくわからない世界が広がっているんだけど
でも、現代の親子にも共通するのは、子どもは親の思い通りにはならない生きものなんだなということだったわね
早稲田中の出題がきっかけで、久しぶりに田辺聖子さんのユーモアあふれる文章を楽しめたわ、ありがとう、早稲田中!
ちなみに、本は絶版のようなのでKindle版で読むのがおすすめ
*読みどころなどは、あくまでも私個人の意見です。
続けて学ぶための本は?
2019年の早稲田中の国語で出題された物語は?
▼▼有川浩さんの『明日の子供たち』です
児童養護施設を舞台に繰り広げられる物語です
2019年の入試問題でも、養護施設に転職した新人職員(大人)の気持ちを問う問題が中心となっています。