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中学・高校入試で出題された本を読む!小中学生におすすめ朝読書本探し

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【2021年中学受験(国語)】難関中が出題した小説本12冊を読んだ!2020年との比較あり

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2021年に難関私立中学入試の国語で出題された小説・エッセイ本12冊を読んでみました。

 

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2020年に比べて、大人向きの小説が多かった気がするわ

 

2021年に出題された小説と、2020年に出題された小説を比較して紹介しているので、参考にしてみてね

 

 

海城中学で出題『水を縫う』寺地はるな

 

水を縫う

 

【著者】 寺地はるな

【出版社】集英社

 

*市川中学、東邦大東邦中学などでも出題されました。

 

中学受験生へのおすすめ度★★★

 

主人公は清澄君、高校1年生

男の子だけど刺繡が好き

そのことがネックになり、友達もできにくいし、母親ともうまくいかない

彼だけでなく、彼の家族もそれぞれ自分らしく生きることに悩んでいる

そんな彼と彼の家族の成長物語

 

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 茶箱

性別も年齢も関係ない

好きなことは好き、イヤなものはイヤって言える自分が誇りに思えるようになれる物語よ 

絡み合った糸が、さらっとほぐれた感じが味わえるはず

 

中学受験生も親も、兄弟、おじいちゃんおばあちゃんにも、たくさんの人に読んでほしい本よ

 

2020年の海城中学入試で出題された小説は

 

 朝比奈あすか『君たちは今が世界』(角川書店)

 

6年3組の仲間たちがそれぞれ主役になり、その子の視線で物語がつづられる連作短編集

 

➡2021年も、引き続き現代作家さんの”今”らしい小説が出題されました。

 

 

ラ・サール中学で出題『朔と新』いとうみく

 

朔と新

 

【著者】いとうみく

【出版社】講談社

 

*浦和明の星中学、栄光学園中学、淑徳与野中学でも出題されました。

 

中学受験生へのおすすめ度★★★

 

バスの事故で目がみえなくなってしまった兄の朔(19歳)

事故にあったのは自分のせいだと思っている弟の新(高校1年生)

もともとの相性が悪いせいか、新と上手くいかない二人の母親

 

朔は新を伴走者としてブラインドマラソンに挑戦することを決めるが、母親の反応はイマイチ

朔の事故以来、本音で話すのが難しくなっていっている家族、兄弟の関係は良くなるのだろうか?

  

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 茶箱

家族だからこそお互いのことを想い合っていたとしても、それを言葉や行動で示せないもどかしさがグッと伝わる物語よ

 

目が見えなくなって一番辛い思いをしている朔が、家族のムードメーカーになり、家族や兄弟関係を変えていこうとする姿に、私は何度も号泣したわ

 

中学受験生にも親にも、読んでたくさんの涙をながしてほしいおすすめの本よ

 

2020年のラ・サール中学入試で出題された小説は

 

ささきあり『天地ダイアリー』

 

天文部の物語かと思いきや、中学生の栽培委員(植物・花を育てる)の物語です。

 

➡2021年も、引き続き現代作家さんの小説が出題されました。

 

 

駒場東邦中学で出題『あした、また学校で』

 

あした、また学校で (文学の扉)

 

【著者】工藤直子

【出版社】講談社

 

中学受験生へのおすすめ度★★★

 

小学校6年生の将人の弟(小学2年生)がみんなの前で先生に怒られた。なぜ怒られたかわからない弟は学校に行きたくないと言い出す。

これを事件といい兄の一将は、児童たちの集まり代表委員会の話し合いの議題とし、教師や親PTA、地域住民も巻き込んでの問題となっていく。

 

子どもたちの目から、親の目から、先生の目から事件を考えた連作短編物語集。

 

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 茶箱

自分の意見が正しいと思っていても、人から別の意見がでると「あれ?そんな考えもあるのか」と妙に納得しちゃう人もいるし、絶対に自分の意見を変えない人もいるし、そもそも自分の意見すらどうでもいい人もいる

 

この本は、特に自分のもつ正義に自信をもっている人に読んでほしい

中学受験生も親も、読むべき本よ

 

2020年の駒場東邦中学入試で出題された小説は

 

『YA! アンソロジー わたしを決めつけないで』短編「夜の間だけ、シッカは鏡にベールをかける」黒川裕子

 

”自分らしく、私らしくいたい”ともだえる、ブラジルと日本の二つのルーツをもつ女子中学生の物語

 

➡2021年も、引き続き現代作家さんの”今”らしい小説が出題されました。

 

 

渋谷教育学園渋谷中学で出題 『はとの神様』関口尚

 

はとの神様 (集英社文庫)

 

【著者】関口尚

【出版社】集英社

 

中学受験生へのおすすめ度★★

 

前編は小学生の3人の物語

学校・家庭にも居場所のない小学5年生みなと、クラスメイトの悟、はとがきっかけで知り合った少女ユリカ

はとのレースのため、3人の北海道への旅が始まった

 

後編は大人になった悟とみなとの、はとが繋ぐ男の友情が書かれている

 

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 茶箱

友情が主になる物語だけど、私には悟くんのお父さんがすごく魅力的だったわ 

男同士の親子関係としても読みごたえある本よ

やさしいだけが、いいお父さんとは限らないのよね

 

2020年の渋谷教育学園渋谷中学入試(第1回)で出題された小説は

 

星新一『城のなかの人』短編「城のなかの人」

 

豊臣秀頼を題材にした短編時代小説です。

 

➡2021年は、現代作家さんの男の友情・親子をテーマにした小説が出題されました。

 

 

聖光学院中学入試で出題 『月まで三キロ』「山を刻む」伊予原新

 

月まで三キロ

 

【著者】伊予原新

【出版社】新潮社

 

中学受験生へのおすすめ度★★

 

理系男子の作者らしく、どの短編にも理系知識がちょいちょい出てくる物語になっています

 

出題された短編「山を刻む」は、大事な日にもかかわらず、家族に内緒で趣味の山登りにきた主婦が主人公

山登りで出会った大学の先生と助手の生徒に出会い、会話を交わすうちに、主婦はあることを決心する。

 

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 茶箱

物語にちょいちょい登場する、理系知識が物語にマッチしていて、おもしろいのよ

 

ちなみに出題された短編よりも、中学受験生たちには「月まで三キロ」「アンモナイトの探し方」「エイリアンの食堂」の方が、読みやすく面白いはずよ

 

伊予原新さんは、今後もチェックしておきたい小説家ね

 

2020年の聖光学園中学入試で出題された小説は

 

木皿泉『さざなみのよる』

 

43歳、病気で亡くなったナスミに関わる人たちの物語が連なる短編集

 

➡2021年も、引き続き現代作家さんの小説が出題されました。

 

 

2021年雙葉中学で出題 『偶然の祝福』「キリコさんの失敗」小川洋子

 

偶然の祝福 (角川文庫)

 

【著者】小川洋子

【出版社】KADOKAWA

 

中学受験生へのおすすめ度★★

 

『偶然の祝福』は7つの連作短編集

小さな息子と、犬と孤独な日々を暮らす小説家である”わたし”が、子ども時代から今に至るまでに失ってきたモノや人たちについて書かれた物語集

 

出題された短編「キリコさんの失敗」は、主人公の”わたし”が子どものころ(11歳から12歳)にお世話になった家政婦さん、”わたし”が失ったものを、さらっと取り返してくれる名人のキリコさんの話し

 

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 茶箱

小川さんの書く文章って、淡々としてどこかヒンヤリした中にかくれた、不思議さや温かさ、おもしろさがあるのよね

 

中学受験生なら、「失踪者の王国」「キリコさんの失敗」あたりなら、なんなく読めるはず。

 

中学受験生よりも、むしろ大人がおもしろくて読んじゃう一冊よ

 

2020年の雙葉中学入試(第1回)で出題された小説は

 

なし

 

出題されたのはノンフィクション評論文 武田邦彦さんの『二つの環境』のみ

 

➡2021年は、小説と説明文の2つが出題されました。

 

 

海陽中学校(特給)で出題 『しろいろの街の、その骨の体温の』村田沙耶香

 

しろいろの街の、その骨の体温の

 

【著者】村田沙耶香

【出版社】新潮社

 

中学受験生へのおすすめ度★

 

主人公は、自意識の高さがハンパない結佳ちゃんの物語(前編は小学生4年~5年生編、後編は中学2年生編)

 

自分が育った新興住宅の街が嫌い、そして学校が嫌いな結佳ちゃん

学校では目立たないように、友達や親にも本心を隠して毎日を過ごす彼女が、たった一人だけ本当の自分を見せられると感じた男の子がいた

 

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 茶箱

小中学生の物語なんだけど、けっこう際どい内容を含んでいて、大人の私が読んでも、かなりドキドキしたわよ

 

純真な心を持った小学生がこの本1冊丸ごと読むのは、危険な気がするわ

中学受験生が読むなら事前にご両親が確認してから読んでもらいたい本よ

高校生や大学生、20代くらいの若者におすすめの本です

 

2020年の海陽中学(特給)入試で出題された小説は

 

木内昇『茗荷谷の猫』短編「てのひら」

 

戦後の東京 大人の母娘の親子関係を書いたもの

 

➡2021年は、ナイーブな小学生の心(女子)が出題された

 

 

桜蔭中学入試で出題 『あしたのことば 』「あの子がにがて」森絵都

 

あしたのことば

 

【著者】森絵都

【出版社】小峰書店

 

中学受験生へのおすすめ度★★★

 

『あしたのことば』は「言葉」がテーマになった8編の短編集

 

それぞれの物語の主人公は、小学校5・6年生の男の子と女の子(リスが主人公の物語がひとつあり)

言えない言葉、言えなかった言葉、言いたい言葉、言おうとする言葉、いい表すのが難しい言葉、理解できない(通じない)言葉、いろいろな「言葉」が出てきます。

 

出題された短編「あの子がにがて」の主人公は小学校5年生の水穂ちゃん

 

水穂は同じクラスの真紀ちゃんが苦手で、いつも真紀ちゃんの一言一言にイラっとしちゃう。 

塾仲間のミーヤンに真紀ちゃんとのことを相談してみると、思いがけない言葉を教えてくれた!

 

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 茶箱

言葉ってカンタンに発することができるけれど、心にずっと残ることもある

そんな言葉の魅力をたっぷり味わえる本よ

 

何回も読んで、ゆっくりと言葉のひとつひとつを味わって読みたくなる、言葉をかみしめながら音読したくなるような文章なのよ

 

中学受験生はもちろん親も読むと心が安らぐのはず

おすすめの本よ

 

2020年の桜蔭中学入試で出題された小説は

 

 まはら三桃『思いはいのり、言葉はつばさ』

 

 中国・湖南省に実際に伝承されてきた文字をテーマにした、10歳から女書(ニュウシュ)を習う女の子の成長物語

 

➡2021年も、現代作家さんの”言葉・文字”がキーポイントとなる小説が出題されました。

 

 

女子学院中学入試で出題 『好きになった人』「風船スケーターの不条理」梯久美子

 

好きになった人 (ちくま文庫)

 

【著者】梯久美子

【出版社】ちくま書房

 

中学受験生へのおすすめ度★

 

著者の梯さんの忘れられない人々について、東京での生活、家族との思い出を綴る、3つのテーマが入ったエッセイ集です。

 

出題されたエッセイ「風船スケーターの不条理」は、家族との思い出を綴ったエッセイのひとつで、梯さんが子どものころ「あれ?」と思った、大人の不思議な言動に関するものです。

 

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 茶箱

最後の家族がテーマのエッセイ集は小学生でもカンタンに理解できる、おもしろい内容よ

梯さんのファンになっちゃうわよ

 

あと2つのエッセイ集は、興味がない人だと大人でも読み進めるには、じっくりと腰をすえて読む必要ありレベルだったわ

親子で一緒に頑張って読んでみる?

 

2020年の女子学院中学入試で出題された小説は

 

阿 純章『「迷子」のすすめ 』

 

著者は、天台宗圓融寺の住職、仏教の思想を元にした新感覚の仏教エッセイです。

 

➡2021年も、引き続きエッセイが出題されました。

 

 

麻布中学入試で出題 『サキの忘れ物』「河川敷のガゼル」津村記久子

 

サキの忘れ物

 

【著者】津村記久子

【出版社】新潮社

 

中学受験生へのおすすめ度★

 

『サキの忘れ物』は9編の短編集

 

読者が選んだことでストーリーが変わるゲーム形式のような物語あり、町の名所案内になった物語あり、ユニークな物語が入った短編集です。

 

出題された「河川敷のガゼル」は、Q町の河川敷に突然現れたガゼル周辺の警備アルバイトをしている大学休学中の私が主人公。

毎日の生活にもガゼルにも興味がわかない私は、ガゼルを見にくる小学生の少年が気になるようになる。

 

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 茶箱

『サキの忘れ物』では、表題にもなっている短編「サキの忘れ物」や「王国」は、中学受験生でも読みやすいと思うわ(おもしろいかは別として)

 

とはいっても、大人の方がおもしろいと感じる本だと思うわね

ちなみに大人の私はいろんなSさんが登場する「Sさんの再訪」がおもしろかったわ

 

2020年の麻布中学入試で出題された小説は

 

宮下奈都『つぼみ』「まだまだ、」

 

「華道」を通して、自分の生き方を探る女子高校生の物語

 

➡2021年も、引き続き現代作家さんの小説が出題されました。

 

 

早稲田中学入試で出題『夕ごはんたべた?』田辺聖子

 

夕ごはんたべた? (新潮文庫 た)

 

【著者】田辺聖子

【出版社】新潮社

 

中学受験生へのおすすめ度★

 

何を考えているかわからない、家族から半分、仙人「半仙」と言われている中年の開業医師の三太郎が主人公

 

学園紛争問題に巻き込まれたり、高校を中退してシンナー遊びをする息子たちに、三太郎夫婦の悩みは尽きない。

三太郎夫婦は、子どもが憎たらしくて仕方ないときもあれば、ちょっとした仕草や行動が可愛いときもある。

子どもに気を許しては、裏切られる、その繰り返しの毎日なのだ。

 

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 茶箱

まず「田辺聖子さんの小説が、受験問題になるのか~」と驚いたわ

 

45年前に出版されたもの。物語は、1970年ごろの設定、会話文は大阪弁で、かなりの長編物語 

本を丸ごと1冊読むのは、中学受験生には大変よ

 

田辺聖子さんのおもしろさがわかるのは、おじちゃんおばちゃんになった中年以降だと思うのよね

 

今年この問題にぶつかった子どもたちが、中年になったときに読んでみてほしい本よ

 

2020年の早稲田中学入試で出題された小説は

 

安岡 章太郎『愛犬物語』

 

作者安岡さんが犬コンタと暮らした15年を綴った、コンタへの愛情がつまったエッセイ集(1998年出版)

 

➡2021年は、昭和時代1970年ごろが設定の小説が出題されました。

  

  

開成中学入試で出題『銀のうさぎ』「糸」最上一平

 

銀のうさぎ (新日本少年少女の文学 23)

 

【著者】最上一平

【出版社】新日本出版社

 

中学受験生へのおすすめ度★★

 

短編「糸」は、東北地方の小学生、拓也が主人公

歴代”教職”を務める一家の娘、和子は優等生で生意気なことを言ったりするが、「家柄的にそんなもんだろう」と拓哉は思いながら和子と接していた。

 

ズック(靴)をめぐって、親と拓也の関係、和子と拓也の関係が書かれた物語。

 

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 茶箱

短編「糸」は、昭和の半ばあたり(戦後だと思うけれど)の物語

携帯電話やテレビなどの電気製品はまったく物語にでてこないわ

 

昭和後半生まれのおばちゃんの私ですら、体験したことのない世界の物語よ

 

物語は読みやすいのよ、でもなんだか「教科書ぽい」物語だったわね

 

2020年の開成中学入試で出題された小説は

 

朝比奈あすか『君たちは今が世界』

 

6年3組の仲間たちがそれぞれ主役になり、その子の視線で物語がつづられる連作短編集

 

➡2021年は、昭和時代のストーリーで、教科書に載っているような物語が出題されました。

 

 

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 茶箱

2021年の難関中学入試で出題された小説・エッセイ13冊を読んでみたら、大人の私でもおもしく読めるものばかりだったわ

 

昨年2020年に比べると、昭和感の強い作品が目についたけれど、やはり現代作家さんの最近出版された小説も多く出題されていたわよ

 

中学受験生だけでなく、親子で一緒に読んでみるのがおすすめ 

時間に余裕のあるうちから、ぽつぽつと読んでみてほしいわ

 

*あくまでも個人の感想です。
 
紹介した本リスト

●海城中学校

●ラ・サール中学校

●駒場東邦中学校

●渋谷教育学園渋谷中学校

●聖光学院中学校

●雙葉中学校

●海陽中学校(特給)

●桜蔭中学校

●女子学院中学校

●麻布中学校

●早稲田中学校

●開成中学校