【京華中学校入試に出た本】『ふたりのえびす』(髙森美由紀)は「どんな本なのか」「小中学生向けの本なのか」「中学・高校受験生におすすめか」を教えちゃいます。
また『ふたりのえびす』と合わせて読みたいおすすめ本、中学・高校受験で出題された本から、同じ作家の本や同じテーマの本も紹介しています。
茶箱
伝統芸能を通じて、自分のキャラを演じて小学生活を送っている少年が成長していく青春物語です
「本当の自分で生きたい!」と悩む子どもへおすすめの本です。
『ふたりのえびす』
【著者】髙森美由紀
【出版社】フレーベル館
【文庫出版年】2022年
●全国学校図書館協議会選定図書
●2023年、第69回青少年読書感想文全国コンクール【高学年の部】課題図書
『ふたりのえびす』の中学受験出題情報
★2023年、京華中学校(第1回午後)の中学入試で出題されました
【出題箇所】
第3章「腹立つ」より
王子(優希)が、えびす舞いに挑戦することが教室で話題になるシーンから
太一が、えびす舞の練習のときに6年生から嫌がらせをうけるシーン
▼2023年中学受験で出題された本をまとめた記事も合わせて読んでみてくださいね
『ふたりのえびす』のおすすめポイント
●『ふたりのえびす』は小学生高学年以上向き
●長編小説
●児童書
●自分のキャラを隠して学校生活を送っている男子と、自分の勝手につけられたキャラから脱却したい男子、ふたりの青春物語
➡本当の自分で生きるたいへんさに共感できる
➡文章中に頻繁にでてくる、本当の自分を隠す辛さを表現する言葉や文章を理解できるようになる
●自分の弱さをあえてみせることでわかることがある
➡去っていく人もいれば何事もなかったように今までどおりつきあってくれる友達もいる
●青森県八戸市の郷土芸能「えんぶり」が物語にでてくる
➡郷土芸能、地元の伝統に興味がわく
➡大人から子どもへ伝承される伝統を考えるキッカケになる
●親子問題あり
親のせいで自分は不幸だと思ってしまったとき、親へ完璧を求めてしまう子どもが共感できる
『ふたりのえびす』のテーマ・主題
●成長・青春
●本当の自分で生きていく
●友情
●郷土の伝統
『ふたりのえびす』の主人公はどんな人?
◆小学5年生の太一
本当の自分を隠して小学生活を送っている
人が素手で触ったものが食べられない
◆太一のクラスメイト、大路優希
見た目からあだ名は「王子」
親の仕事の関係で東京から転校してきた
『ふたりのえびす』の対象年代
●小学生高学年
●2023年、第69回青少年読書感想文全国コンクール【高学年の部】課題図書に選ばれた
『ふたりのえびす』本の内容
長編小説
青森県八戸市の郷土芸能「えんぶり」のえびす舞の踊り手に抜擢された太一。クラスでは明るいおちゃらけキャラを演じているがその心は複雑。「王子」と呼ばれ女子から人気の高い、大路優希とふたりでえびす舞の練習をするなかでたがいの気持ちをぶつけ合う。キャラをあっさり捨てる優希、キャラにしがみつく太一……最後にふたりがつかんだものとは?
『ふたりのえびす』とあわせて読みたいおすすめ本
同じ作家編:髙森美由紀さん
『そしてぼくらは仲間になった』
【出版社】幻冬舎
*アマゾンに試し読みあり
●作家5人<小嶋陽太郎, 高森美由紀, 福島直浩, 虹山つるみ, 向井湘吾>の作品が集められた読みきり短編集
●児童書
●三人組をキーワードにした物語
2020年洗足学園中学校(第2回)の入試で出題されました。
出題された短編は、高森美由紀さんの「ブリリアントなサルビアを」です。
小学5年生の3人組(男子2人と女子1人)の物語
★「ズッコケ三人組」シリーズ40周年記念企画★
男の子、女の子、ロボット……こんな三人組、あり!?
子ども時代に「ズッコケ三人組」の洗礼を受けた作家たちが、「三人」をキーワードに現代ならではの友情を描く、読み切り競作集。
夏祭りの夜、ひょんなことから苦手だったクラスメイトと迷子の面倒を見たり、犯罪者を捕まえることになる「夏のはぐれもの」(小嶋陽太郎)、泥だらけで学校にきたり、教室で居眠りをするクラスメイトの少女を、男子二人で放課後尾行し、彼女といっしょにサルビアの種を植えることになる「ブリリアントなサルビアを」(高森美由紀)、ネットでつながった見ず知らずのゲーム友だちが、偶然にも現実世界で協力して事件を解決する「ドラゴン退治はスニーカーで!」(福島直浩)、クラスの空気を読むことにつかれた少女が、空気の読めない、というより最初から読もうとしていない二人組と心を通わせる「生きもの仲間」(虹山つるみ)、VR(ヴァーチャル・リアリティ)ゲームの中にしか存在しないロボットを修理するために冒険する「子どもでも大人でも、男でも女でもない」(向井湘吾)、以上5編を収録。
同じテーマ編:伝統芸能
茶箱
祖父母と暮らす家族が少なくなった今、伝統や伝承を大人から子供へ伝えていくことが難しくなっています
だからこそ、物語の中から、伝統や伝承の大切さや意味、面白さを知るキッカケになればいいなと思います
天川栄人『おにのまつり』
●連作短編集(児童書)
●岡山県に伝統踊り「うらじゃ」を通して友情を深めていく青春物語
●主人公は悩みを抱える男女5人の中学生
【出版社】講談社
2023年、学習院中等科(2回目)の入試で出題されました。
毎年8月に岡山で行われる、よさこいの一種「うらじゃ」。コーチ役として地域の踊り連への参加を頼まれた中3の由良あさひは、学校では関わることのなかった“問題児”ばかりの4人の同級生と出会う。踊りの練習を重ね、温羅(うら)伝説について知るうち、5人は少しずつ理解し合い、それぞれの抱えるトラウマを乗り越えていく--。
〈第9回児童ペン賞「少年小説賞」受賞〉
八束澄子『ぼくたちはまだ出逢っていない』
●長編小説(児童書)
細かく章が別れているので、朝読書時間で読むのにおすすめ
●日本の伝統「金継き」を題材とした青春物語
●主人公は二人の中学生
母親の再婚で岡山から京都に移り住んだ中学2年の美雨
イギリス人の父親を持ち、外見の違いからイジメを受ける中学3年の陸
【出版社】ポプラ社
2022年10月発売本 中学入試で出題はまだありません。
イギリス人の父親と日本人の母親を持つ中3の陸は、バスケ部の豪大から何かと絡まれ、暴力を受けている。
一方、母親の再婚を機に岡山から京都に引っ越してきた中2の美雨は、学校にも、家にも、居場所がなく、京都の町をさまよい歩いては時間をつぶす毎日。いつものようにさまよい歩いていたとき、ショーウインドウに飾られた器が月明かりに一瞬きらめくのを見た美雨は、その美しさに心奪われる。そのときの胸の高鳴りが、美雨を思わぬところに誘っていく……。
それぞれに自分のアイデンティティを探すなかで辿り着く、「漆」がつなぐ陸と美雨、ふたりの出逢い。
京都を舞台に、伝統工芸の「漆」「金継ぎ」を扱いながら、子どもたちを取り巻く社会問題をも描いた青春小説。
⾕瑞恵『神さまのいうとおり』
●連作短編集
●曾祖母の昔ながらに伝わる「おまじない」が物語のキーになる
●会社を辞め専業主夫になっている父親が、「農業をやりたい」と言いだし、家族そろって母方の曾祖母の住む田舎に引っ越してきた家族4人
主夫の父、働く母、高校生の姉、中学生の弟、ひとつの家族それぞれが主人公になっていく
【出版社】幻冬舎
2022年、城北中学校、栄東中学校、ラ・サール中学校の入試で出題されました。
城北中学校・栄東中学校で出題
短編「猫を配る」
おとなしい性格の中学生の弟、拓也君の物語
ラ・サール中学校で出題
主夫の父が恥ずかしい高校生の姉友梨ちゃんの物語
「会社を辞めて農業をしたい」。父親が突然宣言し、高校生の友梨は曾祖母の暮らす田舎に引っ越すはめに。主夫となった父親や同級生との関係に悩む友梨に曾祖母が教えてくれたのは、絡まってしまった糸をほどくおまじないだった。最初は、疑心暗鬼な友梨だったが……。代々伝わる暮らしの知恵、忘れかけていた大切なことを思い出させてくれる物語。
紹介した本のまとめ
茶箱
気になったら、朝読書の時間に読んでみてね
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