茶箱
ウフフ、恋なんじゃない、それって!
2021年の開成中の国語出題物語「糸」を読みながら、大人の私は登場人物の拓也と和子の二人を「可愛いわね」と思ってしまったわ
最上一平『銀のうさぎ』「糸」
【著者】最上一平
【出版社】新日本出版社
茶箱
残念ながら現在、本の入手は難しいみたいなの
でも図書館では見つかるはずだから、一度は読んでみてほしいわ
2021年の難関の人気私立中学校、開成中学校の入試で出題されました。
開成中といえば、毎年東大進学率1位を誇る学校として有名です。
茶箱
開成中学では、昨年(2020年)は現代作家朝比奈あすかさんの『君たちは今が世界』が出題されたので、2021年の出題物語にはビックリしたわ
現代っ子たちに、この物語の世界観が想像できるのかしら?
あらすじ・読みどころ
東北地方の小学生拓也が主人公
拓也の家の暮らしは豊かではない
拓也の家の隣家には、歴代”教職”を務める一家が住んでいて、その家の娘は拓哉と同じクラスの和子だ。
和子は優等生で生意気なことを言ったりするが、「家柄的にそんなもんだろう」と拓哉は思いながら和子と接していた。
遠足が近づくにつれ、拓也は自分の破れたズック(靴)が気になりだした。
遠足までに新しいズック(靴)がほしいと親に伝えているのだが買ってもらえるだろうか?
遠足の後、ズック(靴)をめぐって拓也と和子との関係がちょっぴり変化する。
茶箱
昭和の半ばあたり(戦後だと思うけれど)の物語
当たり前だけど、携帯電話やテレビなどの電気製品はまったく物語にでてこないわ
あ!”いろり”はでてきたわ
”いろり”知っているかしら?
昭和後半生まれの私ですら、体験したことのない世界が広がっていたわ
物語の内容は読みやすいけれど、登場人物は方言を話すし、この時代背景や物語の雰囲気を現代っ子たちは想像できるかしら?
● 拓也と両親の親子関係
● 人をやっかむ・人と自分を比べてしまう気持ち
● 拓也がふと気づく乙女こころ
2021年開成中学校の入試問題を解いてみた
文章問題はかなり長め
物語自体は読みやすいが、現代っ子たちには見たことのない世界が広がっています
茶箱
出題された部分は物語の真ん中あたりから最後まで
拓也が母親に新しいズック(靴)を買ってほしいとせがむシーンから、物語の最後の拓也と和子との会話シーンまでよ
●母親との会話から主人公拓也の母への想い
●幼なじみの和子との会話から拓也の気持ちの変化
主に、拓也の気持ちを読み取ることが問題になっています
茶箱
私は物語の始めから、和子の拓也に対する恋心をビシビシ感じたわ!
拓也はまったく気づいていなそうだったけれど(笑)
茶箱
最後の問題は「あなたの考え」を問われていたわ
物語から読み取った拓也の気持ちを、自分なりの言葉で書くことが要求されているのよね
最上一平『銀のうさぎ』「糸」 役立つちょこっとメモ
茶箱
どうでもいいけれど、主人公の拓也という名前が気になったのよね
今どきの名前だと思っていたので驚いたわ(笑)
●主人公:小学男子の拓也
●舞台:学校・家庭・川
●難しい漢字にフリガナあり
●本の長さ:短編36ページ(単行本)
●初版:1985年
●作者の最上さんは1957年山形生まれの作家さん。
『銀のうさぎ』で、1985年第18回日本児童文学者協会賞新人賞を受賞しています。
2001年『ぬくい山のきつね』で第41回日本児童文学者協会賞、第19回新美南吉児童文学賞受賞。2010年『じぶんの木』で第21回ひろすけ童話賞受賞。
近年では2019年『たぬきの花よめ道中』で第24回日本絵本賞受賞と、これまで多数の賞を受賞しています。
現在でも現役で活躍している作家さんです。
【参考:Wikipedia】
茶箱
最上一平さんの短編物語「糸」は、子ども時代を卒業して大人への階段を一歩を踏み出している拓也の成長物語でもあるのよ
拓也は、自分の家の状況や親の気持ちを、言葉からではなく状況から読み取るようになっているわ
さらに拓也は、家族の気持ちだけでなく、和子の恋心・乙女こころにも気づけるようになるのよ!
「糸」は、拓也と和子の、ほのかな恋物語でもあるのね
最後は「拓也がんばれ」と、そっと応援したくなったわ(笑)
*読みどころや試験問題の感想等は、あくまでも私個人の意見です。
続けて学ぶための本は?
2020年の開成中で出題された朝比奈あすかさんの『君たちは今が世界』
▼▼本がおすすめ
「糸」最上一平とはまったく違う、現代小学生のとあるクラスの物語。
クラスの子供たちが順番に主役になる連作短編集になっています。
「君たちは今が世界」朝比奈あすか
— 茶箱 (@pooh70inu) November 10, 2020
小6クラスが舞台の連作短編集
小6、当時楽しくもあったが、学校では、他人の目ばかり気になり自分を演じていた気がする
みんなもそうだったのかも
いつか自分らしく生きられる時がくるよ、と当時の自分やみんなに言ってあげたい#読了#読書の秋2020 pic.twitter.com/H8lyLpPImX