2021年4月21日更新
小学6年生って微妙な年ごろ
親から独立したい気もするけれど、まだまだ甘えたい
この時でしか味わえない、みずみずしくもあり、いやらしくあり、もどかしい感情がたっぷり味わえます
朝比奈あすか『君たちは今が世界』
【著者】 朝比奈あすか
【出版社】角川書店
● 大人は小学校時代に感じたジレンマを思い出す
● 小学・中学生なら共感できる部分がたくさんある
● 自分の生きている世界の外にも世界はあることを感じたい
● 子ども・大人にもおすすめの本
茶箱
ざっくり本紹介するよ
★ 連作短編小説
小学校6年生のひとつのクラスの仲間たちがそれぞれ主役になり、その子の視線で物語がつづられる。
クラスの同じ事件ひとつにしても、ある子の視線でみればイヤなことでも、違う子の視線でみればイイことにもみえる。
第一章「みんなといたいみんな」
主人公:尾辻文也(クラスの人気者男子に逆らえない弱気な面がある男子)
第二章「こんなものは、全部通り過ぎる」
主人公:川島杏美(学校と塾では違う一面をのぞかせる優等生少女)
第三章「いつか、ドラゴン」
主人公:武市陽太(人よりも動作が遅れてしまい落ちこぼれ気味だが心優しい男子)
第四章「泣かない子ども」
主人公:見村めぐ美(クラスの女王を疎んじながらも離れられない、自分を上手く表現できない少女)
4つの短編を読み終えると、それぞれの子の強さや弱さが見えてくるようになっている。
★ 子ども時代は、家庭・学校・塾といった限られた場所が”すべて”だと思ってしまうことを上手く表現した物語。
大人はだれもが、「あ~小学校のときってこんな風に感じてたよな」と思い出してしまうはず。
ありのままの小学生が、本の中に現れる。
★ 大人になると思う。当時は楽しかったかもしれないけれど、あんなに不器用で人の目が気になる毎日はもう戻りたくないな(笑)
「君たちは今が世界」朝比奈あすか
— 茶箱 (@pooh70inu) November 10, 2020
小6クラスが舞台の連作短編集
小6、当時楽しくもあったが、学校では、他人の目ばかり気になり自分を演じていた気がする
みんなもそうだったのかも
いつか自分らしく生きられる時がくるよ、と当時の自分やみんなに言ってあげたい#読了#読書の秋2020 pic.twitter.com/H8lyLpPImX
【中学受験】中学入試出題小説
朝比奈あすか『君たちは今が世界』は、2020年の開成中学、海城中学など超難関校の入試で出題された小説として有名です。
2020年開成中学入試(国語)
出題箇所
第四章「泣かない子ども」
小学六年生の見村めぐ美ちゃんが主人公
親友女王カナをめぐる、女友達ゆなっちへのめぐ美の気持ち
クラスの女王カナに逆らえないめぐ美の気持ち
女王カナの自尊心の高さ
など小学校6年生のゆれる女心を読み解く問題
茶箱
男子校を受験する男の子に、同じ年の女の子のいやらしさ混じる気持ちを問うなんて
わりと意地悪な問題
2020年海城中学入試(国語)
出題箇所
第二章「こんなものは、全部通り過ぎる」
小学六年生の川島杏美ちゃんが主人公
保育園時代は仲良しだった杏美と香奈枝
お遊戯会での役決めのシーン
母親から美人な香奈枝と比べられる杏美の気持ち
保育園児なのに本当の気持ちを言えない、表現できない杏美の気持ち
幼い女の子の気持ち、その母親の気持ちを問う問題が出題されています。
茶箱
こちらも男子校ですが、女の子や母親といった女性の気持ちが問われます。
男子にわかるかな~?
子どもたちにぜひ読んでほしい!
文字量も多く大人が読むレベルの本ですが、内容は子どもでも十分理解できる本です。
というか、子どもの方が本の登場人物たちの気持ちを理解できると思います。
読むのはたいへんかもしれませんが、小学生高学年くらいから読めると思います。
次に読みたいおすすめ本 江國香織『こうばしい日々』
【著者】江國香織
【出版社】新潮社
中学女子ならではの、もどかしい気持ちがたっぷり味わえる小説です。
恋とは?愛とは?
中学生の女の子が姉や母、祖母、友達、友達の母の愛の形を目のあたりにしながら、見つけ出す自分の「愛」の形はどんな形なのか?
恋愛小説の達人?、江國香織さんの初期の頃の作品です。
1冊の中に2つの作品が入っています。
もう一つの作品「こうばしい日々」は、小学生11歳の男の子ダイが主人公。
11歳の男の子と12、13歳女の子の「恋」に対する気持ちを比べてみるのもおもしろいです。
「同じくらいの年齢でも男子と女子の差はかなり大きいな~」と微笑ましくなってしまいますよ。
紹介した本はこちらから