『図書館がくれた宝物』
【著者】ケイト・アルバス
【訳】櫛田理絵
【出版社】徳間書店
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『図書館がくれた宝物』あらすじ
いまから80年くらい前の戦争中、イギリスの物語です。
えー、そんな昔の話で、しかも外国の話なんてむずかしそうだな~と思って、読まないと損しちゃいます!
3人のきょうだいが、協力しあい、助け合いながら、あたらしい本当の家族を探す物語です。
え!家族って自分で探せるの?
自分で選べるの?
って、思いますよね。
これには、理由があって、3人の両親は亡くなっていて、唯一の家族だったおばあちゃんも亡くなってしまい、3人はみなしごになってしまったのです。
かれらは、戦争悪化のため田舎へ避難する「疎開」をきっかけに、自分たちで、自分たちの家族を探そうと計画を立てます。
でも、携帯電話もない、インターネットもない、テレビも普及してないから、情報も得られないし。
まったく知らない田舎のまちで、まったく知らない人のお家で暮らすのは、それだけでたいへんなのに、そのうえ家族まで探すなんて。
3人のきょうだいを、家族にしてくれる人はうまく見つかるのかな?
さらに、疎開先では、いじめがあったり、貧しさに直面したり、やりたくないことをやらされたりと、たくさんのつらいことを経験するきょうだい。
つらい毎日のなかでの救いは、いつも図書館から見える一筋の光と、きょうだいたちの愛だけ。
さあ、3にんのきょうだいは、本当の家族をみつけることができるのでしょうか?
『図書館がくれた宝物』基本情報
● 2024年 第70回 青少年読書感想文コンクール<高校生の部>課題図書
● 主人公は3人のきょうだい
長男、12歳のウィリアム
次男、11歳のエドマンド
末っ子の少女、9歳のアンナ
● 舞台は、戦争中のイギリス。唯一の家族だった祖母が亡くなってしまった3人のきょうだいが、学童疎開に合流して田舎の村に行くことになる。その疎開先で、自分たちにピッタリなほんとうの家族をみつけようとする物語
● 戦争中の子どもたちの暮らし、罪のない子どもたちを襲った戦争が引き起こした悲しみが書かれている
● 辛い中でも、三人がそれぞれの個性を生かして、協力し合う姿がほほえましい
● 必死に生きる子どもたちのたくましさ、明るさがある
● まだ見ぬ、ほんとうの家族を想像し「希望」を強く胸に秘めた、きょうだいが愛おしくなる
● 3人は本好きなので、実際に存在する本がたくさん物語のなかにでてくる
本好きさんにはぜひぜひおすすめの一冊!
● 物語が二転三転と展開していくので、飽きることなく読める
● ページ数:384ページ
『図書館がくれた宝物』読書感想文のテーマ
『図書館がくれた宝物』の読書感想文のテーマになりそうなものをピックアップしてみました。
* 読書感想文の書きやすいものを選んでいます。他にもいろいろな視点から物語を読めますよ。
本を選ぶ時の参考にしてください。
実際に大人の私が読んでみて思ったのは、3人の過酷な運命が気になる!とにかく、物語がおもしろくて、読むのをやめられなかったです。
あっという間に、一気読みしてしまいました。
ただ、物語がおもしろくて(笑えるわけではない)感想文を書くとなると、わりと難しいかなと思います。
楽しく本を読んだ後、一番心に残ったシーンなどから、感想文に書きたいテーマを見つけてほしいです。
● 血のつながりだけが、家族なのかな?と考えてみる。自分の思う、ほんとうの家族ってどんな家族かな?
● 理想の家族について考えてみる。こんな家族がほしいなと思った気持ちと、それはなぜなのか?
● どんなときに「家族っていいな」と感じる?その時の体験、気持ちを書いてみる
● 3にんのきょうだいのうち、自分に似ているのはだれ?どんなシーンの、どんなところが似ているのかな?
● きょうだいのために、自分がしてあげたことなるかな?その時の体験や、気持ちを書いてみる
● 登場人物好きな人はだれ?どうして好きなのかな?
● 物語のなかで、戦争がひきおこした、人の悲しみはどんなものがあったか?それについてどう思ったか書いてみる
茶箱
自分が書きやすいテーマを選ぶといいね
テーマを組み合わせてみるのも、おすすめです
『図書館がくれた宝物』の感想
“うちの子たちは、まるで夜空に輝くお月さまのようね
(p.16)
お母さんは、子どもたちを、ピカピカに光る「明るく希望にみちた」宝物のように感じていたんだとわかる素敵な言葉。
感想文に選んだテーマ
● どんなときに「家族っていいな」と感じる?その時の体験、気持ちを書いてみる
● 血のつながりだけが、家族なのかな?と考えてみる。自分の思う、ほんとうの家族ってどんな家族かな?
人生は楽しみや幸せばかりじゃない。
辛い日もあれば、悲しい日もある。
失敗をして恥ずかしい思いをした日、友達とけんかした日、試合にまけて悔しい思いをした日、嫌がらせをうけたり、悪口を言われたりする日もある。
でも、そんな日に家に帰って家族が「おかえり」といってくれる。
「今日はどんな日だった?」と聞いてくれる。
顔をみて、笑ってくれる。
おいしいご飯をつくってくれて、一緒に食べてくれる。
ただそれだけのことで、うれしくなる。
家族って、自分をあっという間に「幸せ」にしてくれる人のことだと思う。
なぜ、家族は自分を幸せにしてくれるのかな?
それって、家族が自分を「好き」でいてくれるから。「大切」にしてくれるから。その気持ちが自分の心にビビッビと反応するんだと思う。
自分も家族から愛されている、大事にされていると思えるから、安心できる。そして、そんな愛されている自分が、愛おしくなる。
だから、家族って一緒に暮らしているとか、血がつながっているだけじゃないはず。
「愛」「好き」「大事」という気持ちがお互いにある人たちなら、気持ちで「心の家族」になれると思う。
家族が愛してくれる分、自分も自分自身と家族を愛していこうと思う。
紹介した本リスト
出版社の本紹介
1940年、ロンドン。
ドイツとの戦争が
始まったばかりの英国。
12歳のウィリアム、11歳のエドマンド、
9歳のアンナの三人きょうだいの
保護者がわりだった祖母がなくなった。
三人の両親は幼いころ亡くなっている。
遺産がのこされたが、未成年の三人は、後見人がいないと
遺産にも手をつけられない。
そこで、弁護士のエンガーソルさんが、
集団学童疎開に三人も参加することを
提案した。
空襲の恐れのある
ロンドンにいるよりは安全だし、
ひょっとしたら疎開先で、
後見人になってくれる人が
見つかるかもしれない…。疎開先では辛いことも多い。
厳しい疎開生活のなか、
3人の救いとなったのは、
村の図書館だった。ロンドンから疎開した
本の好きな3人きょうだいの
心あたたまる物語。
巻末に、物語中に登場する本のリストを収録。