茶箱
大人にも大人気の原田マハさん
原田さんの多感な人間の心を書き出す物語は、中学入試でも出題されることが多いわよ
中学受験生が楽しく読める【原田マハ】さんの本を紹介します。
●原田 マハさんは1962年生まれ
馬里邑美術館、伊藤忠商事、森ビル森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館に勤務後、2002年にフリーのキュレーターになる。
2003年に執筆活動を始めた。彼女の小説はキュレーターの経歴とも相まって、美術を題材とした作品が多い。
兄は小説家の原田宗典さん。
『生きるぼくら』
【出版社】徳間書店
*表紙の絵は、物語中にも出てくる東山魁夷の《緑響く》
2016年富士見中学校、2017年聖光学院中学校の国語の入試問題で出題されました。
● 今の行き止まりの人生から抜け出したい
● 孤独を感じている
あらすじ・読みどころ
麻生人生24歳 引きこもり生活中
そんななか唯一の家族母親が家出をしてしまった
これからどうやって暮らしていけばいいのか悩んだ人生は、別れた父親方の祖母が住む蓼科に向かう
だが久しぶりに会った祖母は認知症のため、人生のことを忘れてしまっていた。
どうする?人生!
読みどころ
温かい人間関係が最大の肥料!そこから生まれ育つ人間の生きる力
『生きるぼくら』は、ひとつの物語にたくさんの社会問題が詰め込まれた物語
いじめからの引きこもり、就職難、自意識の高さが邪魔する社会での生きにくさ、農業の担い手の少なさ、認知症への理解、孤独な老人や孤独な子どもの存在、片親家族の抜け出せない貧困など
中学入試問題にはピッタリのテーマ満載
難しく考えることなく物語を読みながらこれらの社会問題を知り考えるきっかけになる本よ
家族みんなで読み合いたいわね
『翔ぶ少女』
【出版社】ポプラ社
2015年清泉女学院中学校、鎌倉女学院中学、芝中学、2018年成城中学校の国語の入試問題で出題されました。
● 震災被害のその後が気になる
● 家族ってなんだろうと思っている
あらすじ・読みどころ
神戸を襲った大地震で両親を亡くした3兄弟は、偶然に町医者と出会い彼の養子になる
親がいないさみしさや、つらさもあるけれど、周りの人たちの温かい愛情を受けながら成長する三人の姿を描く
主人公は震災で足に障害を負った、3兄弟の真ん中長女の丹華(ニケ)
どうにもならない現実や、震災孤児への偏見、天災をだれかのせいにしてしまう人間の弱さ、リアルな震災後の被災地の姿がみえてくる
そして足が不自由な丹華(ニケ)には不思議な力が身に着く!?
読みどころ
家族を想う気持ちのすれ違いや難しさ
震災はその時だけでなく、何十年も人の心に残るものなんだと思う
さらにそれは建物を壊すだけでなく、愛する人たちの心も壊してしまうことすらある
人間の弱さを感じながら、助け合い生きていこうと思う人間の強さも感じられる物語
血のつながった「家族」だからこそ気持ちが絡み合ってしまう難しさ、血の繋がらない家族だからこそお互いを気遣うやさしい関係
家族の在り方って、それぞれなんだなと思ったわ
『スイート・ホーム』
【出版社】ポプラ社
● 家族の愛を感じたい
● おいしいケーキが好き
あらすじ・読みどころ
宝塚市周辺にある街の小さなケーキ屋さんスイート・ホームを舞台にした連作短編集
評判のおいしいケーキをつくる父と接客担当の母、そして二人の子どもの愛情たっぷりの物語がつまった本
またケーキ屋さんのお客さんの家族模様も書かれた短編もあり、浪人生の娘がいる家族、すれ違いの多い夫婦家族、母親の姿をみて成長した娘が暮らす家族など、いろいろな家族が登場する。
自分の家族と似た家族が登場するかもしれない!
[スイート・ホーム]原田マハ
— 茶箱 ℂℍ𝔸𝔹𝔸ℂ𝕆 本とお菓子を愛する (@pooh70inu) 2021年5月3日
スイートホームというケーキ屋さんを中心に繰り広げる短編集
あったかい気持ちとおいしさがたっぷりの家族物語
家族みんながよい距離感を保ちつつお互いを尊敬しあって想いあう
何があっても家族のもとに帰れると思うと安心できるってステキだな#読了 pic.twitter.com/wTekYxAcjE
読みどころ
家族しかわからない、家族でもわからない家族同士の気持ち
『スイート・ホーム』を読むと、「家族っていいよな」「こんな家に帰ってきたい」と思う
このケーキ屋さん家族のキーパーソンは、特にコレといって活躍はしないけれど父親
家族があれこれ悩んでも父親がどっしりと構えている それがこの家族の芯なんだと思ったわ
家族には、だれでもいいから頼りになるキーパーソンがいるといいわね
『奇跡の人』
【出版社】双葉社
2016年浦和実業中学校の国語の入試問題で出題されました。
● うまくいかない毎日に悩んでいる
● 前向きに生きる力がほしい
あらすじ・読みどころ
明治20年日本
アメリカ留学帰りの去場安(さりばあん)は「盲目で、耳が聞こえず、口も利けない少女」の教育係として青森県弘前の名家に向かい、その少女、介良れん(けられん)に出会った。
使用人たちや家族にも「けものの子」のように扱われ、暗い蔵に閉じ込められていたが、れんの姿に驚くものの、安はれんのモノを感じとる強い力を感じる
想像を絶する大きな苦難を背負った少女れんと、彼女のの可能性を信じて彼女の教育に献身する女教師安の、女ふたりの長い闘いがはじまる
大人が読むと「あれ?」ちょっと飛躍しすぎかなと思う点も多々あるけれど、感動作であることは間違いなし!
読みどころ
想像を絶する障害を乗り切ろうとするパワー
「あ~、もうこれ以上はダメ、頑張れない」と弱音をはきたくなったら、この本を読んでみてほしい
どんなことにも諦めない安の姿と、それについていこうと必死なれんの姿に、自分の弱さがちっぽけに思えるのよ
二人からは努力や苦しみ、喜びのほかにも、とにかく大きな愛を感じるの
この愛がこの物語の魅力なのよね
子どもも大人も夢中で物語の世界に入りこんでしまう本よ
『総理の夫』
【出版社】実業之日本社
● ドラマのようなおもしろい本を読みたい
● 読書の楽しさをしりたい
あらすじ・読みどころ
相馬凛子は史上最年少、史上初の女性総理に指名される
42歳女性、第111代内閣総理大臣の誕生だ
凛子は曲がったことが大嫌いな正義感溢れる女性(しかも美人!)
腹の探り合いは苦手で、何でも直球勝負
グレーゾーンが多い政界をどう生き抜いていくのだろうか?
そんな凛子を陰ながら支えようと思っていた鳥類学者の夫・日和は、相馬政権の安泰のため、「理想の夫」「理想の家族」を体現するための〈ファースト・ジェントルマン〉として広報となってしまう
凛子の奮闘の日々が、夫・日和の日記を通じて語られる形式の物語。
読みどころ
ドラマをみるようなおもしろい物語展開
大人が読むと「ありえないよね、そんなこと」で終わっちゃう物語も、ドラマのようにグイグイすすむ物語展開のおもしろさに、子どもが読むと夢中で読みきっちゃうと思うわ
『総理の夫』はテレビドラマを楽しむように、読書が楽しめる体験ができる本だと思うのよ
本を読むのが苦手な人におすすめです。
中学入試で人気の原田マハ作品は?
物語として中学受験生が読みやすい本以外に、実際に中学受験で出題されている原田マハさんの小説も紹介しておきます。
『常設展示室』
【出版社】新潮社
アートと小説を結び付ける原田マハさんが描く6つの短編集
アートとの関りの深い生活を送る女性たちの物語、アートのもつ不思議な力がストーリーの鍵となっている
短編「群青」が2020淑徳与野中学の入試問題(国語)で出題されました。
『リーチ先生』
【出版社】新潮社
2019年光塩女子学院中等科、2020年立教新座中学校の入試問題(国語)で出題されました。
英国人陶芸家、バーナード・リーチの生涯を描いたアート小説。
若き日本人芸術家との友情、そして親子でリーチ先生と親交を温める亀之助と高市。
明治、大正、昭和にわたる壮大な物語
茶箱
この2冊『常設展示室』『リーチ先生』は、実際に読んでみると、全編を通して「中学受験生が楽しく物語を読めるかな?」と思うレベルの小説よ
大人が読むと文句なしに面白いんだけどね
【原田マハの小説】中学受験生に読んでほしいおすすめ本7冊を紹介しました。
茶箱
【原田マハ】さんの本は、想像以上の展開が繰り広げられるから、物語の楽しさを思う存分感じられるものが多いわ
紹介した【原田マハ】さんの小説5冊は中学受験生が楽しく読書ができるおすすめの本よ
余裕があったらプラス2冊も読んでみてね
▼2021年難関中学受験で出題された本(小説)を読んだ記事はこちら