『ぼくはうそをついた』
【著者】作/西村すぐり 絵/中島花野
【出版社】ポプラ社
『ぼくはうそをついた』あらすじ
出版社の本紹介
広島に住む小学校5年生のリョウタ。同居する祖父から、原爆で亡くなった祖父の兄ミノルの話を聞く。平和学習で資料館に行き、戦争は怖い、二度と繰り返してはいけないと思っていた一方、どこか遠い昔の出来事のようにも感じていた。しかし、祖父の話から興味を持ったリョウタは、亡き大おじミノルの足跡をたどろうと思う。 リョウタが憧れる女子バレー部のキャプテン、レイは共働きの両親にかわり育ててくれた曾祖母のことが好きだった。原爆で子どもをなくしている曾祖母は、時おり記憶がまだらになり、我が子を捜し始める。近所の子どもたちからも変人扱いされている曾祖母の姿を見るのは辛く、なんとか彼女を救いたいと思うレイだが――。 平和のために、今、私たちは何ができるのだろう――すべての人が幸せに生きられる世界へ、祈りをこめた物語。
お知らせです!
— 花野|5/26 コミティア G48b (@KanoNakajima) May 8, 2024
イラストを担当した書籍『ぼくはうそをついた』が、第70回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書(小学校高学年の部)に選ばれました👏
広島が舞台の、平和への願いがこめられた物語です。この機会に世代を問わず沢山の方に読んでもらえたら嬉しいです。https://t.co/xj1x0bgBow pic.twitter.com/tUclYy41nF
『ぼくはうそをついた』基本情報
● 2024年 第70回 青少年読書感想文コンクール<小学校高学年の部>課題図書
● 舞台は、戦争中に原爆が落とされた現代(2005年・被ばく60年目)の広島
● 主人公は小学5年生の男の子
● 遠い昔に感じている戦争や原爆を身近に感じるのにおすすめ本
● いろんなひとたちの、大事な人を想う気持ちがあふれた本
● 古くて暗い内容ではなく、すてきな女子の先輩が登場したり、部活に熱中したりと、小学生の生活にリアル感があるので読みやすい
● 本書の「あとがき」より①
作者の西村さんは、お母さんの戦争体験を書き残したいと思いこの本を書いた
● 本書の「あとがき」より②
作中にでてくるミドリ先生は、第二次大戦の終戦前後に代用教員として勤め、戦後、広島で小学校の先生をしていた西村さんのお母さんがモデル
● 難しい漢字にはフリガナつき
● ページ数:174ページ
『ぼくはうそをついた』読書感想文のテーマ
『ぼくはうそをついた』の読書感想文のテーマになりそうなものをピックアップしてみました。
* 読書感想文の書きやすいものを選んでいます。他にもいろいろな視点から物語を読めますよ。
本を選ぶ時の参考にしてください。
実際に大人の私が読んでみて思ったのは、読書感想文を書くという前提で読むとするなら、「戦争・原爆・平和」を主にして読むか、「人を思いやる気持ち」を主にして読むのかを決めて読んだ方が、読みやすい気がしました。
本のタイトルからすると、人の気持ちについて考えてみる方が、感想文を書きやすいかなと個人的には思います。
もちろんどちらも大切なテーマなんですが、どちらかに気を取られると、物語の本質が見えにくくなってしまう気がします。
● レイちゃんやリョウタのように、だれかの気持ちに寄り添うことをしたり、または、タヅおばあちゃんのように、だれかに寄り添ってもらった経験があるか思い出して書いてみる
● うそをつくのは、すべて悪いことなのか考えてみる
● じぶんが主人公のリョウタだったら、タヅおばあちゃんにうそをつくか、どうしたか?
● 主人公のリョウタとおなじように、広島・長崎に落とされた原爆について調べてみて、その感想を書く
● おばあちゃん・おじいちゃんなど、戦争を体験した人から戦争の話を聞いて、知ったことや伝えたいこと、感想を書く
● 戦争が残した心の傷について考えて書く
茶箱
自分が書きやすいテーマを選ぶといいね
テーマを組み合わせてみるのも、おすすめです
『ぼくはうそをついた』の感想
”かならず生きとると、しんじてさがしたんよ”
【p.154】
ー原爆で息子を亡くしたタヅおばあちゃんの言葉ー
原爆被爆してから60年たっても、口にださずとも、見つからなかった息子のことを、ずっと心で想っているんだろう、探しているんだろうと思うと、涙がでてきた。
人を想う気持ちは、人の心にズシっときます。
感想文に選んだテーマ
● レイちゃんやリョウタのように、だれかの気持ちに寄り添うことをしたり、または、タヅおばあちゃんのように、だれかに寄り添ってもらった経験があるか思い出して書いてみる
● 戦争が残した心の傷について考えて書く
この物語に登場する人みんなが温かい。
だれもが、だれかのを想い、行動し、言葉を紡いでいる。
私は最近、大切な友達からもらった「一言」に胸がいっぱいになり、うれしくなった。
それは「真実」ではないかもしれない。
もしかしたら「うそ」になるかもしれないけれど、わたしにとっては「宝物」のような言葉になっている。
友達の「一言」は、私を想っての言葉であるのが、伝わってきたからだ。
だれかを想って、行動することや、発した言葉には重みと温かさがあると思う。
『ぼくはうそをついた』の登場人物たちは、人を傷つける戦争という恐ろしい生活のなかでも、だれかを想う気持ちを捨てていなかった。
人を想う気持ちって強いな~と思う。
醜い悲惨な戦争中でも、だれかを想うやさしい気持ちをもった人が大勢いて、戦後もその気持ちをもち続けていた人がたくさんいることを忘れてはいけないと思った。