2020年10月は、春夏の延期された映画を含めて、たくさんの映画が公開されます。
その中には小説が原作の映画も数多くありますので、どんな小説があるのか紹介しますね。
10月公開映画には、家族問題・家族の大切さを描いた作品が多かった印象があるよ。
- 『望み』
- 『スパイの妻』
- 『みをつくし料理帖』
- 『鬼ガール!! ツノは出るけど女優めざしますっ!』
- 『空に住む』
- 『朝が来る』
- 『罪の声』
- 『星の子』
- 『82年生まれ、キム・ジヨン』
- 『浅田家』
- 『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』
- 『小説の神様』
- 『小さなバイキング ビッケ』
- 『白痴』
『望み』
【著者】雫井 脩介
【出版社】角川書店
**映画情報**
●映画公開日:2020年10月9日公開
●キャスト:堤真一, 石田ゆり子, 岡田健史, 清原果耶ほか
東京に住む共働き夫婦は、高一の息子と中三の娘がいるごく普通の四人家族。
夫婦は、生活が荒れ始めていた息子を特に気にせず、変わりのないと思っていた夏休みが終わった9月、息子が帰ってこなくなり連絡が取れなくなってしまう。
そのとき息子の友人が殺害されたニュースが!
息子は犯人なのか?夫婦がとる行動は?
窮地に立たされた時にこそ、その人の本性があらわれる!
こんな緊急事態に陥っても、夫婦でも違った心情があることがミソ。
夫婦といっても違う人間、それぞれ考え方は違うのが当たり前。そこがおもしろくもあり難しい。
夫婦で読んで、お互い「どう思ったか?」をじっくり語り合ってみたいな。
『スパイの妻』
【著者】行成 薫 (著)
【出版社】講談社
**映画情報**
●映画公開日:2020年10月16日公開
●キャスト:蒼井優、高橋一生ほか
2020年6月にNHK BS8Kで放送された同名ドラマが映画化され小説にもなった。
舞台は1940年、太平洋戦争前夜の神戸。満州事変以降、日本内外には不穏な空気が漂っていた。
そんななか、貿易商の仕事で訪れていた満州で恐ろしい国家機密を偶然知ってしまった夫・優作。
満州から帰国後、人が変わったように見える夫だが、愛する夫を信じて、ともに生きることを心に誓う妻・聡子。
二人の夫婦の運命は!
そして夫・優作の知った秘密とは?
何が正義で、何が悪なのか?
今現在、自分の発言や意見を当たり前のように表現できる世の中になっているのか?
ドラマチックなストーリーとともに、考えることも多い本だった。
それにしても、戦時下の日本はこんなにも恐ろしかったのかと驚くよ。
『みをつくし料理帖』
【著者】高田郁
【出版社】角川春樹事務所
**映画情報**
●映画公開日:2020年10月16日公開
●キャスト:松本穂香、奈緒ほか
人気シリーズ(現在12巻)でドラマ化もされています。
『八朔の雪』は第一作目の作品です。
小さい頃(1802年の水害)で両親を亡くした大坂出身の澪は、で、江戸っ子たちには馴染みの薄い上方料理を出す江戸神田にある「つる家」の調理場で働く。
大坂と江戸の味の違いに戸惑いながらも、天性の味覚と負けん気で、どんな問題にも立ち向かう澪ちゃんを応援したくなる。
澪ちゃんの成長小説です。
巻末には作中に登場する料理のレシピ「澪の料理帖」付き
頑張り屋の澪ちゃんの人生をずっと見続けたくなるシリーズ本。
料理がおいしそうなのも、この本の魅力 。
作中に登場する料理は、著者の高田郁さんが実際に作り再現しているそうですよ!
『鬼ガール!! ツノは出るけど女優めざしますっ!』
【著者】中村航
【出版社】KADOKAWA
**映画情報**
●映画公開日:2020年10月16日公開
●キャスト:井頭愛海ほか
主人公は、鬼と人間の子どもの鬼瓦ももかちゃん。鬼バレで幼い頃にイジメられたので、入学する高校では、ツノを隠してフツーの女子のふりをすることに。
初日からイケメンと出会い映画部に入部するけれど、問題多発!
ドキドキするとツノが出ちゃうけれど平気かな?ももかちゃん
鬼瓦ももかちゃんがおもしろくてかわいすぎた!
トラ柄パンツを自作するお父さんもおもしろい
お友達になっておうちに遊びに行きたくなったよ(笑)
『空に住む』
【著者】小竹正人
【出版社】講談社
**映画情報**
●映画公開日:2020年10月23日公開
●キャスト:多部未華子、岩田剛典ほか
作詞家・小竹正人の同名小説
小さな出版社に勤める直実。
突然両親を亡くした直実は喪失感いっぱいのまま、渋谷のタワーマンションの高層階で猫のハナと暮らすことに。
そんななか、マンションのエレベーター内で偶然、人気俳優の時戸と出会う。
彼との夢のような逢瀬の結果は?直実はこれからの人生は?
人生にはいろんな偶然が重なっている。
自分では予想できないものだし、自分ではどうにもならないこともたくさんある。
そんな時に助けてくれるものは何なのかな?誰なのかな?
自分も誰かを助けられるようになれるかな?
『朝が来る』
【著者】辻村 深月
【出版社】文藝春秋
**映画情報**
●映画公開日:2020年10月23日公開
●キャスト:永作博美、井浦新ほか
栗原清和と佐都子の夫婦は不妊治療をしたが子どもはできなかった。
夫婦はその後、特別養子縁組により男の子(朝斗)を迎え入れ幸せにくらしていたが。
6年後、朝斗の産みの母親から「子どもを返してほしい。それが駄目ならお金をください」という電話が!
不妊治療をしても子どもを産めなかった人、事情があって望まなくとも出産せざるおえない、子どもを手放さなければならない人
それぞれの人生は続いていくのだ。
そして家族とは?血の繋がりが大事なのか?
*第13回(2016年)本屋大賞第5位の作品
子どもがどうしても欲しい人がいる一方で、望まない妊娠をしてしまう人がいるなんて。
ほんとうに神様は意地悪だなと思ってしまう。
でも、家族をつくることは”血”だけでは作れないよね。
『罪の声』
【著者】塩田武士
【出版社】講談社
**映画情報**
●映画公開日:2020年10月30日公開
●キャスト:小栗旬、星野源ほか
バブル社会に飛び込む日本の昭和末に起きた「グリコ森永事件」が元になった小説。
神戸でテーラーを営むごくごく普通の男性が、自宅でカセットテープを見つける。
そこから彼は自分があの昭和最大の未解決事件に関係しているのではないかと、と不安に思い始める。
あの事件の真相は?
第7回山田風太郎賞を受賞
中年世代には記憶に残る恐ろしい事件”グリコ森永事件”
事件展開が現実とは思えなほどドラマティックだったなあ。
のに、小説では「え~!」実はこんな情けない目的なの?こんな単純な計画なの?と驚かされるストーリーになっている。
でも実際は本当にこんなもんなのかもしれない。
あの事件の真相は本当はどうなんだろうか?
『星の子』
【著者】今村夏子
【出版社】朝日文庫
**映画情報**
●映画公開日:2020年10月9日公開
●キャスト:芦田愛菜、岡田将生ほか
ちひろは両親から大切に育てられ、両親が大好きだった。
が、ちひろの両親はあやしい宗教に深い信仰を抱いていた。
中学3年生のちひろに、家族に関わる事件がぞくぞくと起こり、ちひろは両親が生きる信仰の世界と、外の世界での違いに思い悩むように。
これから、ちひろは両親をどう思っていくのだろうか?
第157回芥川賞候補
「子どもは親を選べない」し、信仰の問題は奥深いし。
悩ましい問題多発の小説。
結局「信じる」ということはどういうことなのかな?
『82年生まれ、キム・ジヨン』
【著者】チョ・ナムジュ著/斎藤真理子訳
【出版社】筑摩書房
**映画情報**
●映画公開日:2020年10月9日公開
(韓国映画)
韓国では、キム・ジヨンという名前は1982年生まれに一番多い名前だそう。
韓国のごく普通の平凡な女性の人生を通して、韓国の現代女性の生きづらさを描いた小説。
1982年に生まれたジヨン。33歳、3年前に結婚し1年前に女の子を産んでいる
生まれてからずっと、女だからこそ男性にイヤな思いをさせられたり、就職活動でも、就職しても、結婚しても、育児でも、あらゆる人生のあらゆる局面で女性の生きづらさを感じるジヨン。
あなたが女性なら、ジヨンと自分が似ていると共感できる?
また男性はジヨンの気持ちを理解できる?
正直に言えば、何かあれば「女性だから」と思っているジヨンにもちょっと疲れました。
女性であることを生きにくいと思っている人は多くいますが、それは男性も同じなんじゃないかな~?
『浅田家』
【著者】浅田政志 (著)
【出版社】徳間文庫
**映画情報**
●映画公開日:2020年10月2日公開
●キャスト:二宮和也、妻夫木聡ほか
写真家本人を含めた4人家族が、さまざまな仮装をして写真を撮るユニークな”浅田家”
写真家として順調にスタートした政志だったが。
東日本大震災の被災地で、自分の在り方について考えてしまう。
そんな政志を変えてくれたのは!
家族の大切さが伝わってくる小説です。
世の中にはいろんな家族がいるね。
写真って、見るだけでその時の気持ちがよみがえってくる不思議さがある。
魔法みたい。
自分の家族写真が見たくなる小説だよ。
『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』
【著者】くさば よしみ (編集), 中川 学 (イラスト)
【出版社】汐文社
**映画情報**
●『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』
●映画公開日:2020年10月2日公開
●ムヒカ大統領と日本の知られざる関係を描いたドキュメンタリー
ムヒカからみた日本の姿はどんなふうだろうか?
質素な暮らしぶりで「世界で最も貧しい大統領」とも言われた第40代ウルグアイ大統領ホセ・ムヒカ。
2012年の環境問題を話し合う国連会議では、先進国の大量消費社会を優しい口調ながら痛烈に批判したムヒカ大統領。
絵本『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」では、ムヒカさんの質素な暮らしぶりや、この会議での演説が描かれています。
*ムヒカさんについて書かれた絵本を紹介しています。この本が映画になったわけではありません。
ムヒカさんの言葉は心に響く
それはムヒカさんが損得なしに、自分を含めてみんなの「幸せ」を求めて行動をしているからだと思う。
ムヒカさんを参考にした幸せな生き方をしたいな。
『小説の神様』
【著者】相沢沙呼
【出版社】講談社
**映画情報**
映画公開日:2020年10月2日公開
●キャスト:佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS)、橋本環奈ほか
中学生で作家デビューしたが、発表した作品を酷評され売上も伸びない高校生作家・千谷一也。
ある日、同じ年の人気作家・小余綾詩凪と出会う。
彼女との出会い・共同執筆によって一也の意識は変わり、「なぜプロとして小説を書くのか?」という問いに向き合うようになっていく。
二人の青春物語です。
作家にせよ、なんにせよ(どんな仕事でも)、何かを創り出すのって大変!
特に、これから本を読むときは作家さんの気持ちが強く感じられるようになりそう
『小さなバイキング ビッケ』
【著者】ルーネル ヨンソン (著), エーヴェット カールソン (イラスト)
【出版社】評論社
**映画情報**
●映画公開日:2020年10月16日公開
●名作児童文学「小さなバイキング」シリーズをオリジナルストーリーで描いたCGアニメーション
海賊の息子だけど、暴力が嫌いな小さな平和主義な少年ビッケ。
映画では、そんなビッケが魔法で黄金に姿を変えられてしまった大好きな母を探し救うために、海賊長の父と船員たちとの大冒険に出発します。
小説では、知恵をもつビッケ、だれに何を言われても自分の意見をもっているビッケがとってもかっこいい!
ユーモアある物語が楽しめます。
シリーズ化していて全6巻ありますよ。
ちなみに、2018年の大学入試センター試験にアニメ「小さなバイキングビッケ」に関する問題(舞台はどこかという設問)が出題されましたよ。
知恵があって、考えもしっかりしているビッケと友達になりたいな。
たくさんのステキな挿絵も魅力的。
親子で回し読みしたくなる本だよ。
『白痴』
【著者】坂口安吾
【出版社】新潮社
**映画情報**
●映画公開日:2020年10月31日公開
●キャスト:浅野忠信ほか
●1999年制作公開作品をデジタルマスター版でリバイバル公開
作家・坂口安吾の代表作「白痴」
戦争が延々と続くなかでも、終戦が近く敗戦が色濃い戦時下で、すさんだどんより感が漂う日本。
テレビ局のADとして働く伊沢も、戦意高揚番組と安直で低俗な番組ばかりの仕事に幻滅していた。
そんなある日、隣に住む木枯の妻で白痴の女性サヨが伊沢の部屋に忍び込んでくる。
そこから2人の奇妙な共同生活が始まる
奇妙で不気味な、不思議な小説だった。
なんだかワイドショーでみた少女監禁事件を思い出したよ。
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