茶箱
犬好きさんにおすすめの本よ
ペットはぬいぐるみじゃない、私たちと同じ生きもので、犬にも”その犬らしい”生き方があるのよね
近藤史恵『最後の毛布』
【著者】近藤史恵
【出版社】KADOKAWA
2019年の聖光学院中学校(第1回)の国語の入試問題として出題されました。
茶箱
この本の表紙が入試問題についていたら、うれしいのにな
かわいい犬を見ながらなら、緊張する受験も頑張れると思うわ
あらすじ・読みどころ
お金を払ってもらって犬を引き取り、犬を最期まで看取る老犬ホーム
預けられている犬にはそれぞれ理由がある
コミュニケーションが苦手な智美は友達の紹介でここで働くことになる。
老犬ホームのオーナー麻耶子にも、一緒に働く碧にも、それぞれ秘密があるし、智美の老犬ホームとの出会いにも実は……。
犬だけでなく人間にも、生きていればいろんな困難や、どうしようもないことがある。
老犬ホームの毎日を通して、人と犬の温かさが伝わってくる小説だ。
茶箱
ミステリー作家の近藤さんらしく、最初は匂わせておいて、あとから真相がぽつりぽつりとでてくる 飽きずに読んじゃう人間味、犬味あふれる小説だったよ
● 犬を飼う責任
● 犬にも人にも、それぞれの生き方、自分らしく生きる道がある
● 素直になれない親子関係
2019年聖光中学入試(国語)を解いてみた
茶箱
問題文章は物語の始めの方
老犬ホームで働き始めた智美はまだそれぞれの犬の事情がわかっていない
ホームでも若手の人懐っこい犬クロの飼い主に対して、いらだったのをオーナーの麻耶子に叱責されてしまうシーン
文章量は長め、というか長い
犬のかわいいしぐさのシーンもあり、文章は読みやすい。
大人の私が解いてみた!
● 自分に自信のない、コミュニケーションが苦手な智美の気持ちが問われる
● 智美がオーナーの麻耶子と本音で正面衝突した会話から、大人の女性であり雇い主でもある、麻耶子の気持ちも理解しなくてはならない
● 選択問題の選択文章も長い ボリューミーなのでテンポよく解いていく必要がある
茶箱
老犬ホームに預けられている犬の気持ちを読み解くよりも、大人の女性が仕事に対して、自分の意見を言い合うシーンを、中学受験生に理解できるかが問題になると思うわ
ちなみに、実は自分勝手だと思えるクロの飼い主にもクロを変えない事情があるんだけど、それは入試問題文章ではわからないのよ
残念だわ
気になる受験生もいたかもしれないから、問題の最期に、ちょっとだけ”クロの事情”を書いてほしかったわ(笑)
近藤史恵『最後の毛布』 役立つちょこっとメモ
中学受験生におすすめ度 ★(満点★3つ)
不倫の話し、犬の最期のシーンなどがあり。
(高校生くらいなら十分読めます)
中学受験生が読むときは、まず親が読んでから「読めるか」判断するのがおすすめです。
●主人公:コミュニケーションが苦手な智美
●舞台:老犬ホーム
●フリガナ:なし
●本の長さ:324ページ(文庫本)
●初版:2014年3月
●作者の近藤史恵さんは1969年生まれの推理作家さん
『最後の毛布』は2014年NHK-FM「青春アドベンチャー」で、オーディオドラマになっています。
茶箱
近藤史恵さんの『最後の毛布』は、老犬ホームが舞台になったおもしろい小説だったわ
私も飼っていた犬の最期を看取ったことがあり、もう10年も前のことなのに、ふと思い出すし、最期の時期にはもっと何かできることがあったのでは、といまだに思うことがあるの
ペットを飼っている、飼ったことがある人はもちろん、ペットとの生活体験がない人でも、生きものと暮らす楽しさと辛さが味わえる日々が伝わる物語よ
そしてペットだけでなく、子ども、恋人、妻・夫だって、自分の所有物ではなく、その人自身の生き方や個性があるってことに気づくと思うの
犬のはなし、親子関係の話し、生き方の話し、仕事の話し、男と女の話し、いろんな話題、事件や秘密がぞくぞくでてきて、飽きずに一気に読める本でした
*読みどころや試験問題の感想は、あくまでも私個人の意見です。
続けて学ぶための本は?
黒柳徹子さんの『まどぎわのトットちゃん』がおすすめ
トットちゃんと飼い犬のロッキーの仲良しさがうらやましくなる。犬って人間の気持ちをよむ天才よね。