貧乏人の家の子と、金持ちの家の子じゃあ、受けられる教育だってちがってくるし
(p.157)
▶▶父親が「世の中は不公平だ」という悠人にかける言葉
茶箱
”みんな同じようには生きられない”ことに気づくのが大人の第一歩よ
『with you ウィズ・ユー』
☝画像をクリックするとアマゾンへ
【著者】濱野京子
【出版社】ポプラ社
2021年 第67回 青少年読書感想文コンクール課題図書<中学校の部>
『with you ウィズ・ユー』読書感想文のテーマ
濱野京子『with you ウィズ・ユー』の読書感想文のテーマになりそうなものをピックアップしてみました。
*書きやすいものを選んでいます。他にもいろいろな視点から物語を読めますよ。
本を選ぶ時の参考にしてください。
● ヤングケアラーの問題
● 家庭の経済的な不平等さの問題
● 優秀な兄への劣等感
● 自分らしく生きるとは?
● 家族の気持ちがすれ違ってしまう家族関係の問題
● 相手を思いやるやさしさ
茶箱
自分が書きやすいテーマを選ぶといいわね
感想
家族のこと、受験のことでモヤモヤした毎日を過ごしていた悠人は、誰にも言えない、どうにもならない悩みを抱えている朱音(あかね)に恋をする。
そうそう、不幸そうな子を好きになっちゃう人っているのよねと、ちょっと意地悪な大人目線で読んでしまった。
もし朱音が家族のことで悩んでなかったら、キラキラした毎日を過ごしていたら、悠人は朱音を好きになったのだろうか?
悠人は自分のゴタゴタした家庭のほうが、朱音の家よりマシだと思わなかったか?
「好き」って、なんだろうなと大人になっても考える。
悠人はやさしい
「好き」がわからない大人の私にも、それはわかった(笑)
朱音にも、自分への愛情が薄いと感じる母親にも、コンプレックスの源である兄にも、家を出ていった父親にさえも、やさしい。
残念ながら、”やさしさ”は自分を犠牲にしてしまう危険もある。
悠人には、そのやさしさで自分らしい生き方を見失わないでほしいと思う。
世の中の不平等に気づいた悠人は、大人の階段を登り始めている。
大人の仲間入りをするのは、もう少しだ。
悠人がどんな大人になるのか楽しみだなと思いながら、本を読み終えた。
茶箱
意地悪なことを考えたが、この後、悠人と朱音が自分らしく生きられるようになっても、二人が仲良くしていけるといいわね
『with you ウィズ・ユー』基本情報
● 2021年 第67回 青少年読書感想文コンクール <中学校の部>課題図書
● 10代向け(小学高学年~中学生)
● 難しい漢字にはルビあり
この物語で取り上げられる問題はヤングケアラーです。
ヤングケアラーとは
18歳未満で家族の世話や家事をしている子どものこと
DVや、貧困問題に比べて報道も少ないため、まだ知らない人も多い
一般に、本来ならば大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子どもとされています。
【参考:厚生労働省のホームページより】
茶箱
私もヤングケアラーって言葉、初めて知ったわ
家事をするのと、お手伝いをするのは全然違うのよね
あらすじ
主人公は中学三年生の悠人。
優秀な兄や、家を出ていった父親、直人にばかり大きな期待をかける母親、といった家族のなかで、自分の存在意義を見出せない悠人
悠人は、夜のランニングの途中の公園で、どこか影のある表情の朱音に出会い、次第に惹かれていく。
朱音が、病気の母親の介護や幼い妹の世話、家事をひとりで背負う“ヤングケアラー”であることを知った悠人は、彼女の力になりたいと考えるようになる。
次に読みたいおすすめ本
『朔と新』
朔(兄)と新(弟)は兄弟
一昨年、事故で失目してしまった優秀な兄が盲学校から自宅に帰ってきます。
ぎこちなさがのこる兄弟、家族
そんななか、朔がブラインドマラソンに挑戦したい、新に伴走をお願いしたいと言い出します。
2021年2月、あちこちの私立中学で入試問題に出題され話題になっている本です。