大切な人には、頼ってほしいものなんです。我儘を、言ってほしいんです。大切な人からあなたには関係ないって言われるのが、いちばん堪えるんです
<中略>
誰にも頼られぬ者は自分もまた、誰かに頼ることができない。
(p.171)
▶▶暴力をふるう元夫と一人で会おうとした桐子へ芯輔がかける言葉・想い
『ミナトホテルの裏庭には』
☝画像をクリックするとアマゾンへ
【著者】寺地はるな
【出版社】ポプラ社
茶箱
自分に自信がもてない、ダメな自分と思っている人はぜひ読んでみて
そんな自分だからこそ、誰かのためになれる
人とのつながりが温かく思える物語なのよ
感想
だれかの思いをだれかが引き継いでいく
それが人が生きた証にもなるんだ
恋愛や仕事への情熱がうすい男、芯輔
カギと猫がみつからない男、湊
暴力をふるう元夫から子どもと一緒に逃げる女、桐子
夫を亡くし精神が不安定になり、妹を亡くしたことを自分のせいと強く感じてしまう女、陽子
お金で処理された失恋から立ち直れない女、花岡
人には、自分一人じゃどうにもならないことがたくさんある。
でも誰かの小さな親切や、手助け、温かい言葉、そっとした見守り、そんなたわいのないことが、自分を助けてくれる。
同じように、自分はすごい力やお金を持ってなくても、ちょっとした気遣いや行動で誰かを救えるかもしれない。
いや、救えるはず。
人と人との関係が濃厚である必要なんてない
要は気持ちがどこに向いているのかが大事なんだ
人と人との繋がりが弱くても薄くても、自分がだれかのためになれると思うとうれしくなる
でも逆に、自分の行動、言葉が、はかない関係や会ったことのないくらい希薄な関係な人をカンタンに傷つけることもあるんだと思った。
茶箱
自分の辛さがあるからこそ誰かに優しくなれる 人とのつながりを温かく思える物語だったな
印象に残った言葉
● 芯の祖父の友達美千代さんの言葉
夫婦っていうのはね、家の中でじーっと顔をつきあわせていると、かえって仲が悪くなってしまうのよね
(p.34)
● 「塾にいけるほどの金がない、親が塾を必要としていない」という理由で塾に来られない子がいる塾で働いていた湊に、「そんな家、日本にある?」と言った芯への湊の言葉
自分が見たことがないからこの世に存在しないわけじゃないんだよ
(p.90)
● 亡くした妹を想って陽子の考えたこと
全部を手に入れることは、できない。なにかを失うことと、なにかを得ることとは、常に手を繋いでやってくる
(p.223)
茶箱
奥深い言葉が心にズシっときたわ
あらすじ
25歳の木山芯輔(しんのすけ)は恋愛にも仕事にも、何に対しても情熱が薄い男。
ある日祖父に頼まれて、祖父の友人が経営していた”ミナトホテル”の庭の鍵を探すことになる。
鍵といなくなった猫を探すうちに、芯輔は人の絆や人を想う気持ちを大事に思うようになっていく。
自分の辛さがあるからこそ誰かに優しくなれる、人とのつながりを温かく感じる物語
次に読みたいおすすめ本
『金木犀とメテオラ』
北海道に新設されたばかりの中高一貫の女子校。
東京からトップの成績で中学に入学した宮田佳乃と、成績優秀で新入生総代に選ばれた地元生まれ美少女、奥沢叶。
まったく違う環境で育った女子二人の学園生活を中心に繰り広げられる、自分だけが孤独と感じている少女たちの青春・成長物語。
「金木犀とメティオラ」安檀美緒 #読了
— 茶箱 ℂℍ𝔸𝔹𝔸ℂ𝕆 本とお菓子を愛する (@pooh70inu) February 9, 2021
北海度の中高一貫女子高に通う優等生二人の物語
二人とも孤独を抱えているがそれをプライドで覆い隠している
誰かと比べて自分の存在を確かめるなんてさみしいのはわかってる
もっと自分を好きになればいいだけなのに、それが難しいんだよね pic.twitter.com/9e7kIgbFzH