いとうみくさんの本『バンピー』を読みました。「どんな本なのか」「子どもに読んでほしい本か」教えちゃいます。
また『バンピー』と合わせて読みたいおすすめ本、中学受験で出題された本から、同じ作家の本、同じテーマの本も紹介しています。
茶箱
「我が家ってありえない」「親って選べないよな」と家族の在り方に悩む子どもにおすすめしたい本よ
『バンピー』
【著者】いとうみく (著)
【出版社】静山社
【出版年月】2022年10月
*朝日中高生新聞の連載作に加筆したもの
アマゾンに試し読みあり
『バンピー』のおすすめ度
3 時間があれば読んでみて
母親もいないのに、父親は行方不明。妹三人の面倒をみながら、家事をすべてこなす高校生の男の子。
最近話題のヤングケアラーの物語です。
この主人公は、父親の不在を深く悩むことなく、仕方ないと諦め、淡々と目の前の現実を受け入れ、毎日を過ごしているです。
もっと大騒ぎしないものだろうか?とも思うのですが、実際にその環境に慣れてしまうと、騒いでも仕方ない、生きていくほかないと諦めの境地にもなってしまうのかもしれません。
にしても、新しく起こる衝撃の事実にも淡々と受け入れていく姿には、あまりにも不思議な感覚を覚え、なんだか物語に入りこめませんでした。
まあ、良い風に考えれば、行方不明の父親も、父親であるまえに一人の人間として生きているということ、それを家族(子どもたち)が受け入れているということなのかもしれませんね。
子どもたちは読んで、「お父さんがいなくてたいへんだな」と思うのか、「いろんな家族の形があるしな」「子どもだけでも本人たちが幸せならいいんじゃないか」思うのでしょうか?
大人の私は、ありえないし、このお父さんは人間としていい人でも、彼の生き方には賛同できませんでした。
それに子どもたちも、子どもだけで生活するたいへんさをもっと声をだして、苦しんでみてもいいんじゃないかなとも思いました。
『バンピー』を実際に読んでみた主観的な判断ですので、参考にしてください。
*おすすめ度は三段階になっています
①おすすめ、ぜひ読んでみて
②読んでみて
③時間があれば読んでみて
本のテーマ・主題
●ヤングケアラー
●いろいろな家族のスタイル
主人公はどんな人?
◆高比良成くん
高校2年生
小5、小4、小1と3人の妹がいて面倒をみている
母親は亡くなっている
父親は5か月前にふらっと家を出たっきり行方不明(生活費は送られてくる、月1電話はある)
本の内容
長編小説
母を病で亡くし、頼りの父は5か月前にふらっと家を出たきり行方不明。生活費だけは送られてくるものの、上から順に小5、小4、小1の妹たちの面倒を見ながら学校に通う、高校2年生の成。ある日、見知らぬ番号から着信が。それは近所のスーパーからで、妹が……えーー!? 不運、不幸、孤独、将来、不安、親ガチャ? ーーそれぞれにさまざまな思いをかかえながらも、人生のでこぼこ道を歩きだした若者たちへ、そしてすべての人へ、いまもっとも注目の児童文学作家が贈る応援歌。
読みやすさ
読みやすい
難しい漢字にはルビ・ふりがながついている
読める年代は?
小学校中学年くらいから読める
この本から気づけること
●いろいろな家族のスタイルがあることを知る
●人生にはいろんなことが起こる
心に響いた言葉・フレーズ
いい悪いでは、はかれないのが人生なのかも。
(p.169)
良成くんが悟る言葉
茶箱
う~ん、父親の行方不明を高校2年生の男の子が「いい悪い」もないと思ってしまうのってどうなんだろうか?諦めなんだろうか?
あわせて読みたいおすすめ本:同じ作家編
『バンピー』の作者いとうみくさんはたくさんの児童書を書かれています。
『糸子の体重計』で日本児童文学者協会新人賞(2013年)
『羊の告解』でうつのみやこども賞(2019年)
『朔と新』で野間児童文芸賞(2020年)
『きみひろくん』でひろすけ童話賞(2021年)
『あしたの幸福』で河合隼雄物語賞(2022年)
『つくしちゃんとおねえちゃん』で産経児童出版文化賞(2022年)
と賞もたくさん受賞しています。そのほか、『かあちゃん取扱説明書』『チキン!』『カーネーション』『ぼくんちのねこのはなし』もおすすめです
特に『朔と新』は2021年多数の難関私立中学で入試問題として出題された本として有名です。
ペットを飼っている人には『ぼくんちのねこのはなし』もおすすめです。可愛いイラストで、読みやすいのですが、生きものを飼うなら必ず知ってほしい「死」について書かれた本です。
あわせて読みたいおすすめ本:同じテーマ編
「ヤングケアラー」の本なら安田夏菜さんの『むこう岸』をおすすめします。
第59回日本児童文学者協会賞受賞作品で、多数の中学入試で出題された小説です。
まとめ
『バンピー』は、いろいろな家族の在り方、スタイルを考えさせる物語でした。
当たり前の価値観では図れない、何が幸せな家族のスタイルなのか?をいまいちど家族で話してみるキッカケにもなりますよ。
茶箱
気になったら、読んでみてね