茶箱
ダメ男が賢い女を育てるのか?賢い女がダメ男をつくるのか?
『ははのれんあい』
【著者】窪美澄
【出版社】角川書店
● 母親の強さがわかる
● いろんな家族の在り方
あらすじ
僕の家には、僕の家族には、恥ずかしいことなんて何ひとつない。
長男の智晴(ちはる)を産んだ由紀子は、優しい夫と義理の両親に囲まれ幸せな家庭を築くはずだった。しかし、双子の次男・三男が産まれた辺りから、次第にひずみが生じていく。死別、喧嘩、離婚。壊れかけた家族を救ったのは、幼い頃から母の奮闘と苦労を見守ってきた智晴だった。智晴は一家の大黒柱として、母と弟たちを支えながら懸命に生きていく。直木賞候補作『じっと手を見る』の著者が描く、心温まる感動の家族小説。
【amazonあらすじより】
[ははのれんあい]窪美澄
— 茶箱 (@pooh70inu) 2021年4月30日
男の子って優しいな 女の子ならほかの女性のもとに逃げた父親は許せないと思うから
父親はエネルギッシュな母、女から逃げた男、自分勝手な最低男にしか思えなかった
私には妻であり母親である由紀子の味方!
母親って強いな#読了#読書好きな人と繋がりたい pic.twitter.com/kUFOrzZCYt
第一部
母親の由紀子が主人公
第二部
息子(長男の高校一年生)が主人公
とにかく由紀子さんの旦那さんが、物語をとおして「男としてちっちゃい男、ダメ男」だなと思う
逆に、おとなしい由紀子さんが母親になり強くなっていく、エネルギッシュになっていく姿は、同じ女として「頑張って!」と応援したくなる
仕事を失いそうなのに自分のプライドが高い旦那
自分の目の前になる現実を直視できない旦那を目の前にしても、旦那を見捨てることなく子育てにも家族の維持にも奮闘する母親
始めの頃は私も由紀子さんと同じように、この旦那さんは、寡黙で口数の少ない男で自分を上手く表現できない不器用な男だと思って、ちょっとは許してあげていたんだけど
タイ人女性との浮気が始まってから気づいたのよ
この男の人って、自分より弱い立場にいる人とそばにいることで、自分という存在が安定する男なんじゃないかしら
結婚する前、結婚したての頃は、妻の由紀子を自分がいなくちゃダメな女だと思っていて
仕事や夫婦関係が上手くいかなくなったら、社会的に自分より弱い立場のタイ人の女性といることで安心するようになる
女からみると、ダメ男の代表メンバーよ
もう途中から、この旦那の悪口ならいくらでもいえる気がしてきたもの
上野千鶴子さんや田島陽子さんと一緒に、男の弱さについて語りたいわ
由紀子さんが”でき過ぎ妻”だったのかしら?
物語の途中で旦那が「俺は裁縫の仕事を続けたい」と言い出すところで、ちょっと旦那のやる気を期待したけれど、期待した私がバカだったわ。
もちろんのごとく旦那はなんの努力もせず、どうにかすることも考えることもなく、浮気が始まる。
ここも私のブチ切れポイントだったわ
さらに私が「理解不能」だったのは、なぜか子ども(双子の男の子のひとり)は父親が好きで仕方ないこと
父親と一緒に住みたいとまで言い出した時は、椅子から転げ落ちるほどビックリよ
女と男の違いなのかしら?
私が子どもなら、妻と子どもと別れて、違う女性の元へ行ってしまった父親になんかぜったいに会いたくない
しかも、別れた旦那の父親についても見捨てない由紀子さんと息子たち(特に長男)
離婚したら他人なのに、由紀子さん″でき過ぎ”だよね
ここも私の苛立ちポイント!
旦那は、別れた妻に「もういいから」と一声かけて、現在の妻に頼むべきじゃない?
物語は、家族のかたちを変えつつも、みんなが繋がりながら、新しい家族の形を作っていく
でも、自分がこの家族の一員だったら、子どもだったら、母親だったら、祖母だったらと考えると、正直にいえば、とにかく父親だけは許したくない
【窪美澄】『ははのれんあい』は、久しぶりに「男」に対してイラッとした物語だったわ
それは私が女だからなのか?
男性はどんな感想をもつのか気になるわ
男を見る目を鍛えるべきだったのか、環境によって変わった男を母親のような大きな心で包んであげるべきだったのか
ダメ男が賢い女を育てるのか?賢い女がダメ男をつくるのか?
自分が由紀子だったらどこからやり直すだろうか?
中学受験生に読んでほしい?
「はい」であり「いいえ」
● 離婚家庭内の母親的存在になる長男
● 離婚した父親が恋しい息子(双子の一人)
彼らの気持ちを考える問題は作りやすいと思うので、「第二章」は注目して読むのがおすすめ
でも、純粋な心をもつだろう中学受験生に、男のいやらしく弱い心は知らないでいてほしいな