2021年4月21日更新
自分の家族が犯罪者になったら
自分のこれからの未来を心配をする?
犯罪者となった家族を信じる?
被害者や被害者家族を思いやる?
考えたこともない局面に向かい合ったとき、私たちはどう対応できるのだろうか?
「絶対に自分には起きないこと」とは絶対に言い切れない。
『羊の告解』いとうみく
【著者】 いとうみく
【出版社】静山社
● 家族が犯罪者になるというショッキングなストーリー
● かなり重いテーマだが、絶対に自分には起こらないと言い切れないだろうテーマ
● 加害者家族を中心に描かれている
● いろいろな立場で、もし自分だったらと考えさせられる
ざっくり本紹介するよ
★ 中学校3年生の涼平。ごく普通の朝、それは突然起こる。
父が警察に逮捕され「殺人を犯した」というショッキングな事実が明らかに!
父は本当に殺人者なんだろうか?これから自分たち「加害者家族」はどうなっていくのだろうか?
涼平の心はかき乱される。
★ 家族が犯罪者になるという重いテーマだが、涼平の家族を想う気持ち(父を含めて)が頼もしくも感じる。
★ 犯罪者の息子になった涼平と弟の周平、犯罪者の妻となった母。そして犯罪者の親戚になる祖父母。さらには犯罪者の息子の友達になった中澤くんや美夏ちゃん。
そして当事者の父。
だれに寄り添って本を読むかを選ぶのもおすすめ。
★ 犯罪者家族の向き合う現実がみえる。
「羊の告解」 いとうみく
— 茶箱 (@pooh70inu) 2020年9月4日
突然、父が殺人者として逮捕されてしまう‼️
ショッキングなストーリー
殺人者の父、その息子たち、妻であり息子の母。さらに息子たちの祖父母、息子たちの友達
あらゆる人たちの立場から、感情移入をして読めた
児童書だが、あらゆる世代にオススメしたい本#読書 pic.twitter.com/rLvAV0574B
もし自分なら
自分が加害者家族になってしまうというショッキングな小説。
何度も「もし自分なら」と思ってしまった。
母の今の生活から離れる手段を選んだ気持ち。
涼平のどこか父親を信じたい気持ち。
祖父母のこれからのことを考えて心配でたまらない気持ち。
弟の周平のどう対応していいかわからない気持ち。
涼平の友達、中澤君の涼平は涼平で、友達は友達という気持ち。
どの人たちの気持ちも、心に痛かった。
最後に涼平は「被害者家族」がいることに気づかされる。
自分や自分の周りのことばかりしか考えていなかった涼平。
でもだれが彼を責められるだろうか?
もし自分だって涼平の立場になったら。
そう考えるのは恐ろしくもあるのだが、「絶対にない」とはいいきれないのである。
「絶対にない」
これは本の中で弁護士の川端さんが涼平にいう言葉。
父の犯罪を信じられない涼平が「父さんはそんなこと絶対に」との発言に対して発する言葉だ。
「絶対ってないんだよ」
この一言が、涼平を現実にガツンと向き合わせてくれたと思う。
次に読むなら東野圭吾さんの名作『手紙』
【著者】東野圭吾
【出版社】文芸春秋社
映画にもなっているので、ストーリーを知っている人も多いかもしれません。
兄が強盗殺人者を犯し刑務所に入っているという、大きな荷物を肩に背負っている弟。
彼はそれが原因で人生の多くの歯車が狂ってしまう。
彼は兄を恨むのか?
そして、これからどのように生きていくのを選ぶのか?
涙なしには読めないストーリー
東野圭吾さんの書くストーリーは、読みやすくグイグイ引き込まれてしまいます。