中年女性の生き方をたくさんの小説で書いている垣谷美雨さん。
華やかな物語の主人公になりにくい中年女性ですが、彼女たちには、若い頃とは違った悩みがたくさん!
垣谷美雨さんが、30~50代女性が年齢ごとに向き合うことになる問題を書いた小説9冊を紹介しますね。
- 久美子30代前半『 農ガール、農ライフ』
- 優子40歳『四十歳、未婚出産 』
- 夏葉子44歳『夫の墓には入りません』
- 女3人50代前半『子育てはもう卒業します』
- 頼子50代『ニュータウンは黄昏れて』
- 東洋子55歳『七十歳死亡法案、可決 』
- 望登子50代半ば『姑の遺品整理は、迷惑です』
- 千賀子57歳『うちの子が結婚しないので』
- 篤子50代後半『老後の資金がありません』
- 30~50代女の人生をリアルに描いた垣谷美雨の本9冊一覧
久美子30代前半『 農ガール、農ライフ』
【出版社】祥伝社
主人公は32歳の久美子
派遣切りにあった日、同棲して6年になる男から別れを切り出される
仕事も住むところも無くなった久美子
「農業をして生きていこう」と思い立つ
もちろんそれはカンタンなことではなかったが、農業の楽しさが久美子を変えていく
がんばれ、久美子!
ざっくり本の感想
★ 頼れるものは頼りつくせ
32歳という女性として中途半端な年齢。
後戻りはできないと思ったら、恥を忍んでも周りの人に頼りまくろう
32歳だからこそ、まだまだ知らないふりをして甘えてもいいことだってあるはず。
★ 農業は農作物を育てるだけではない
まったくの初心者・無関係者が農家になる、農業を始めるのは考えているよりもずっと難しい
作物は作るだけでなく売らないとお金にならない。一人でもくもくやる作業と思いきや、社交性も必要とされる仕事だ
★ 人生は人それぞれ
途中、婚活パーティーに行くことになる久美子。そこで自分とはまったく違った人生を歩んでいる人たちに出会う。
彼女、彼らの生き方を否定しない久美子がいいなと思った。
「農ガール農ライフ」垣谷美雨
— 茶箱 (@pooh70inu) 2020年10月6日
失恋からの農業転職
失恋は女の人生を変える
思ったより農業関連の話は少なく、女の生き方がメインになっている感じ
自分の意見とは違っていても、女でもと男でも、いろんな人がいて、いろんな考えがあって、いろんな生き方があることを改めて感じた#読書の秋 pic.twitter.com/zTvJkj908l
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優子40歳『四十歳、未婚出産 』
【出版社】幻冬舎
思いがけない妊娠
未婚40歳の優子は最後のチャンスかもしれない妊娠だ。
どうしても産みたいが。
だれが味方になってくれるのか?無事に出産できるのだろうか?出産後はどうなるのか?
どうなるの、心配だらけの40歳未婚女性の出産!
ざっくり本の感想
★ 父親のいない働きながらの子育て
難しいのはだれもが想像できる
でも決心したなら少しでも多くの仲間や助けを利用すべきだと思う
★ 働きながらの出産
働きながらの出産の大変さも書かれている。
迷惑をかけるのはもう仕方ないのだ。何を言われても動じない、自分の決めたことにまい進するほかない。(それが良いのか悪いのかはわからないが)
★ 家族での話し合い
「もう話してもムダ」と家族同士だと思いがちだけど。
妻はもちろん、親や兄弟とも話すべきことはとことん語り合うべきなんだな~と思った。
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夏葉子44歳『夫の墓には入りません』
【出版社】中央公論社
主人公は夏葉子44歳
ある日夫(46歳)が急死した
夫と生前、信頼感を築けなかった夏葉子は、悲しみよりもほっとしてしまうのだが。
結婚とは夫とだけの結びつきではなかった!
夫の親や親せき、さらに夫との関係を疑われる謎の女の登場によって、墓問題や介護問題などが続出する
そして、新たな恋も始まりそうな予感が。
どうするか夏葉子!
ざっくり本の感想
★ 突然の夫の死
心情的には悲しむ人、内心ほっとする人がいるだろう
突然の死は残された問題をひとりで解決しなくてはならないのはみな同じ。
★ 誰かに頼ろう
一人で解決できないことも、ちょっとした一言からもらえるアドバイスで先が見えたり問題解決につながることも多い。
相談という大げさな形でなくても、自分が困っていることを素直に誰かに話そう
★ 人のことを考えすぎない
自分の決断したことが相手はどう思うのかを心配しすぎないもの大事
相手よりも自分を一番大切に思うことも時には必要だと思う
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女3人50代前半『子育てはもう卒業します』
【出版社】祥伝社
主人公は3人の女性。
彼女たちの大学入学から50代になり子育てを卒業するまでが書かれた物語。
三人の女性達は、大学入学した10代から、就職、結婚出産し、子供達が独立するまであれやこれやを相談し語り合ってきた。
が、それぞれ他の二人には言えない悩みもあるし、やっかみもあるし、秘密もある。
ざっくり本の感想
★ 人生には悩みがつきもの
結婚生活も、子育ても、嫁姑問題も多くの人は初めて経験することばかり
経験がないのだから悩みはつきない。
なんでも一人で上手くこなせると最初から思っていない方がいい
★ みんな結局は同じ?
「自分だけ悩んでいるのかも」
「うちの子だけなのかも」
と思ってしまいがちだけど、どの家庭も同じような悩みや心配でいっぱいなんだと思う
★ みんなまったく違う?
みんな同じような悩みがあると思っているのとは逆に、同じ世代のなかでもいろんな考え方を持った人がいるのも世の中のおもしろさのひとつ
だれもが同じではないし、どの家庭も同じではない。(だから比べてもムダです(笑))
★ 子は育つ
親が子育てにいくら悩んでも、案外子どもは勝手に育っていくんだよな~と、子どものたくましさを感じた
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頼子50代『ニュータウンは黄昏れて』
【出版社】新潮社
ニュータウンに住む一家織部家
妻頼子の団地組合の活動の話しと、娘琴里の結婚問題の物語が同時に進んでいく。
妻頼子50代は、憧れの終の住まいを手に入れたと思っていたのに、ニュータウンの組合に参加することで、山積みになっている問題に直面する
そして娘の琴里27歳はニュータウンに住んでいた中学時代の友達から巧みに引き継がれた男性と付き合いだすのだが。
なんだか彼って変?
ざっくり本の感想
★ 終の住み家
「ようやく手に入れた家が完璧なもの」と思えない人はたくさんいる。
自分だけが不幸だ、アンラッキーだなんて思って他人と比べるのは悲しい。
★ 自分にとっていい男とは
彼の弱点はなに?それはあなたにとって許せることなの?
結婚相手に望むことは人それぞれなんだな~と思う
★ 人生の正しい選択ってなんなんだろう
結局は正しい選択をしてきたのかは自分でしか決められないんだよね
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東洋子55歳『七十歳死亡法案、可決 』
【出版社】幻冬舎
「70歳になったら1か月後に人生を終わらせなくてはならない」
衝撃的な法案が可決された!
国民が残りの人生の年数を数え人生をどう生きるかを真剣に考え出す。
やりたいことをやる人、人生を諦める人、生に執着する人など
そんな社会の中で、介護一色の生活を送る嫁、55歳の東洋子が考えたこととは?
ざっくり本の感想
★ 介護は嫁の仕事なの?
嫁の介護生活のすさまじさもリアルに書かれていて、嫁の立場としては泣きそうになった。
介護は嫁の仕事、役目だと思いたくない!
★ 自分が寝たきりになったら
自分が寝たきりになったらどうするのか?認知症が悪化したらどうするのか?
自分の行く末も考えたほうがよさそう
★ 生への執着
なんだかんだ人間の生への執着も書かれていて、人間のエゴや弱さが見えるのがリアルだった
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望登子50代半ば『姑の遺品整理は、迷惑です』
【出版社】双葉社
突然、姑(70歳後半)が亡くなった
嫁の望登子(50代半ば)は残された大量の姑の遺品を整理するうちに、今まで知らなかった姑の姿や生き方が見えてきた
自分の母の方が姑より立派だと思っていた嫁の望登子だったが。
実際はどうだったんだろうか?
ざっくり本の感想
★ 嫁の立場からすれば
嫁からすればたいては姑とは理解できない生き物であることが多い(笑)
お互いムダに接しないようにするからか、実はどんな人なのかお互い知らないまま人生を終えてしまうかもしれない。
まあ、それでもいいし、あえて知ってみるのもいいかも
★ 持ち物は遺品と思え
人はいつ死ぬかわからない
だから今自分が持っているものはすべて遺品になると思って生きていた方がよさそうだなと思った
★ 姑の立場ならわかってほしい
嫁を理解するのはかなり難しい
諦めも肝心ですね
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千賀子57歳『うちの子が結婚しないので』
【出版社】新潮社
主人公は千賀子57歳
年ごろの娘友美28歳の行く末が心配になってきた。
千賀子は夫とも相談し、娘と3人での婚活が始めることに。
さっそく千賀子は親婚活パーティに参加してみるのだが!
結婚の壁は厚かった
どうなるの、千賀子&友美親子!
ざっくり本の感想
★ 結婚は意志をもってするものだ
「気づいたら結婚を決めてました」
「運命の人が突然現れました」
といった結婚なれそめ話しを信じて待っているだけでは結婚できないことも多い(笑)という現実を知っておこう
★ 家族での価値観の一致
家族で結婚に対する価値観を合わせておくのも大事
例えば「親婚活」だって夫や妻、当事者の子どもが嫌ならやるべきではない気がする
★ スポーツみたいでおもしろい
第三者的に見ると「親婚活」って家族一丸になってスポーツみたいだった(笑)
作戦をたてて、相手の心理を読んだり、自分をウソのない程度に飾り立てたり、さらには結婚後のことまで考える
家族がチームになっていた
「うちの子が結婚しないので」垣谷美雨
— 茶箱 (@pooh70inu) 2020年11月11日
H30の作品
令和はマッチングアプリ全盛期だが
「親婚活」も続いているのだろう
作戦をたて相手の心理をよんだり、家族同士で新たな一面を発見しあったり
家族3人が一丸となって結婚に向かう姿はスポーツチームみたいでおもしろかった#読書の秋2020 #読了 pic.twitter.com/41oD6j8aOE
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篤子50代後半『老後の資金がありません』
【出版社】中央公論社
主人公は後藤篤子
夫(定年まで3年)、娘、息子の4人暮らし
夫婦間の娘の結婚に対する価値観の違いから始まり、夫の親の葬式や老人ホーム問題、夫の仕事の問題、結婚した娘のDV疑惑などなど
次から次へと問題は起こり、そしてお金も減っていく
どうする篤子!
ざっくり本の感想
★ お金が必要な時は重なる
子どもの巣立ちと親の見送りは同じ時期に起こることが想定される!
人生のなかで、お金が羽をつけて飛んで行ってしまう時はダブっていることが多い
★ お金あるある話
お金の恐ろしいのは、去っていくときは「さあ~~~」とあっという間に大量にいなくなってしまうこと(笑)
★ お金の話は下品じゃない。
夫婦間、親子間、家族でお金問題にどう向き合っていくかを面と向かって話し合えるようにしておくのって大事。
「お金は恥ずかしい話でも、下品な話しでもないのだから!」
どんな仕事をしていても、自分の仕事が誰かを喜ばせることを感じられるのが大事だなと思う。
★ 人と比べたらダメ
なんでもそうだけど、身近な人と自分のお金状況を比べてしまうのが人間の性。
でも、比べても仕方ないと割り切っておくことが必要
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30~50代女の人生をリアルに描いた垣谷美雨の本9冊一覧
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