茶箱
令和時代の新しい家族のかたちが見えてくる小説13冊を紹介するよ
新しいかたちでも、家族には変わらず愛があるんだ!
- 『お父さんはユーチューバー』
- 『生きるぼくら』
- 『カーネーション』
- 『昭和40年男 オリンポスの家族』
- 『with you ウィズ・ユー』
- 『ははのれんあい』
- 『昨夜のカレー、明日のパン』
- 『サードキッチン』
- 『そしてバトンは渡された』
- 『わたしの良い子』
- 『9月9日9時9分』
- 『星の子』
- 『ヤングアダルト パパ』
『お父さんはユーチューバー』
お父さんがYouTubeで人気者になる
【著者】浜口倫太郎
【出版社】双葉社
顔出しで有名になる目的はお金だけじゃなかった
小学5年生の海香は、宮古島のゲストハウス「ゆいまーる」を経営する父親の勇吾と二人暮らし。
父には商売のセンスがなく経営は苦しい。
そんなある日、父親が「俺はユーチューバーになる!」と宣言する。
あれよあれよと人気者になっていく父親だったが、人気とともに動画をめぐる問題も多くなっていくのだ。
と、ここで物語は終わらず。
いっきに新たな展開に突入する。
実は父親がユーチューバーになったのには、お金だけが目的ではない特別な事情があったのだ。
*おすすめ:中学生くらいから
茶箱
お父さんの最初の印象は”おちゃらけた”人だったけれど、物語がすすむと、お父さんの優しさが全開になる
一気に感動の物語に変化するわよ
『生きるぼくら』
家出をした母と引きこもり息子の家族
【著者】原田マハ
【出版社】徳間書店
最後の頼りは祖母だけなのに
麻生人生24歳 引きこもり生活中
そんななか唯一の家族母親が家出をしてしまった
これからどうやって暮らしていけばいいのか悩んだ人生は、別れた父親方の祖母が住む蓼科に向かう。
だが久しぶりに会った祖母は認知症のため、人生のことを忘れてしまっていた。
加えて祖母と暮らしていたのは、母と別れた父親の娘だった。
どうする?人生!
*おすすめ:小学高学年くらいから
茶箱
家族の問題だけでなく、ひとつの物語にたくさんの社会問題が詰め込まれた物語
いじめからの引きこもり、就職難、自意識の高さが邪魔する社会での生きにくさ、農業の担い手の少なさ、認知症への理解、孤独な老人や孤独な子どもの存在、片親家族の抜け出せない貧困など、読みごたえたっぷりの物語よ
『カーネーション』
母が子どもを愛せない家族
【著者】いとうみく
【出版社】くもん出版
無償の愛の難しさと尊さを知る
中学1年の日和は、小さなころから母親の愛情を感じたことがない。
というより、むしろ嫌われている、避けられているとしか思えない。
それは勘違いではなく、父親も母親自身も気づいていることだった。
わが子だから無償の愛を注げるわけではない、現実の残酷さに気づく親子。
日和の家族はどうなってしまうのだろうか?
*おすすめ:小学高学年くらいから
茶箱
お母さんに愛してもらえないことを悩む日和と同じく、お母さんも子どもを愛せないことを悩んでいるのよ
この厳しい現実にお父さんの対応力が読みどころよ
『昭和40年男 オリンポスの家族』
カッコいい主夫が中心の家族
【著者】佐川光晴
【出版社】集英社
お父さんがいれば安心
昭和40年生まれ、オリンピックを目指す体操選手だった山田三男は、大けがにより体操をやめ専業主夫になっていた。
走り幅跳びの元日本記録保持者であり、現在は大手スポーツメーカーに勤め家計を支える妻、新体操選手として活躍する長女、美人の姉にコンプレックスを抱く次女との4人家族。
子どもが成長するにつれ、三男は次々に家族の問題に巻き込まれていく。
*おすすめ:中学生くらいから
茶箱
主夫である三男父さんの家族を想う気持ちはどんな問題が起ころうとも揺るがない
妻や娘たちには、お父さんがいれば大丈夫という安心感がある
こんなお父さんうらやましい!
『with you ウィズ・ユー』
ヤングケアラー問題を抱えた家族
【著者】濱野京子
【出版社】ポプラ社
親に振り回される子どもたち
中学三年生の悠人は優秀な兄や、家を出ていった父親、直人にばかり大きな期待をかける母親、といった家族のなかで、自分の存在意義を見出せないでイライラしている。
ある日悠人は、夜のランニングの途中の公園で、どこか影のある表情の朱音に出会う。
朱音は、病気の母親の介護や幼い妹の世話、家事をひとりで背負う“ヤングケアラー”だった。
*ヤングケアラーとは、18歳未満で家族の世話や家事をしている子どものこと
*おすすめ:小学高学年くらいから
茶箱
外からは気づきにくい家族の問題
ヤングケアラー問題もそのひとつ
家族の問題って、相談できる人がいない場合多くて厄介なのよね
『ははのれんあい』
戸籍上の繋がりはないけれど家族
【著者】窪美澄
【出版社】角川書店
どこまでが家族なんだろうか?
由紀子は、長男の智晴(ちはる)を産んだ由紀子は、優しい夫と義理の両親、生まれた子ども智晴(ちはる)と幸せな家庭を築くはずだった。
しかし、双子の次男・三男が生まれ、夫の仕事が上手くいかなくなり、由紀子が外で働くようになると、だんだん家族にひずみが生まれてくる。
長男の智晴は両親の離婚後、母親と暮らしながらも、母と別れた父、祖父(父親方)の面倒、再婚した父の連れ子、父と新しい奥さんとの子どもとの関係を築いていく。
壊れた家族は、かたちを変えつつも、みんなが繋がりながら、新しい家族の形を作っていく。
*おすすめ:高校生くらいから
茶箱
両親の都合で、智晴は新しい家族の形に飲み込まれているような気がする
智晴はこれで幸せなのだろうか?と心配にもなったわ
『昨夜のカレー、明日のパン』
亡くなった男の父と嫁の不思議な二人家族
【著者】木皿泉
【出版社】河出書房新社
大事な人を失った共通の気持ちが生むあたたかさ
7年前、25才であっけなく亡くなった一樹。
一樹が亡くなった後も、夫に先立たれた嫁のテツコは、一樹の父・ギフと一緒に暮らし続けている。
二人には、血の繋がりはないがお互い大切な人を亡くした家族だ。
そんな二人が、まわりの人々とともに穏やかに一樹の死を受け入れていく日々が描かれた、なぜかユーモアある不思議な物語。
*おすすめ:高校生くらいから
茶箱
なんでもない毎日が、大切な一日一日になっていく
人生を大切に生きようと思える、心あたたまる物語だったわ
『サードキッチン』
明かされない家族のかたち
【著者】白尾悠
【出版社】河出書房新社
時間が離れていた家族を引き寄せる
1998年、幼い頃父が亡くなり母親と二人暮らしの尚美は、遠縁の老婦人からの支援によってアメリカに留学をする。
支援にあたって、毎月一回老婦人に留学先の状況を手紙で報告する約束だ。(児童文学『あしながおじさん』と同じイメージ)
手紙のなかでは楽しい留学生活を満喫している尚美だが、実は英語でコミュニケーションがとれず、日本人であることに悩み、なにもかもネガティブ志向になっているが、現実は、だれにも苦しみを打ち明けられず、ただただ必死に留学生活をこなしているのだった。
尚美の留学生活が物語の主であるが、意外な家族構成が明らかになるのに驚く物語。
*おすすめ:中学生くらいから
茶箱
自分のアイデンティティを考えるきっかけになる物語
家族と仲たがいしていても、時間が家族を引き寄せることもある
アイデンティティの元でもある家族の絆って切れないものなのよね
『そしてバトンは渡された』
ややこしい家族
【著者】瀬尾 まいこ
【出版社】文藝春秋社
他人家族に愛がないわけではない
優子は幼い頃に母親を亡くし、その後、父の再婚相手と父と3人で暮らしていた。
が、父の海外赴任をきっかけに父と別れ、継母と暮らすことを選んだ。
(ここまででも、なかなかハードな家族構成)
その後も大人の都合に振り回され、血の繋がらない親の間をリレーされ、四回も名字が変わった森宮優子は十七歳。
高校生の今は二十歳しか離れていない“父”と暮らしている。
不思議な家族をもち、出逢ってきた家族みんなに愛情をいっぱい注がれてきた優子の物語
*おすすめ:高校生くらいから
茶箱
いわば他人同士の家族だけど、そこには愛情があるのよ
家族ってなんだかよくわからないわね
『わたしの良い子』
親ではない子どもではない二人が暮らす家族
【著者】寺地はるな
【出版社】中央公論社
子どもを育てるって大変
子どもを実家において、新しい男と家をでた妹のかわりに、妹の子ども・朔と暮らすことになった椿。(朔は自分の置かれた状況を把握している)
結婚もしていないし子育て経験ももちろんない、会社勤めの椿は、子育てにてんやわんやになる。
しかも朔は、勉強が苦手で内にこもりがちで自分の感情を外にださない《育てやすく》はない子どもなのだ。
お互いに気をつかいながら、ときにはぶつかり合いながら椿と朔は家族になっていく。
*おすすめ:高校生くらいから
茶箱
母親と暮らせないことに傷ついているだろう朔が不憫に何度も思ったわ
けれど、自分を大事に思ってくれている家族がいることを知っている朔は幸せだとも思うのよ
『9月9日9時9分』
心に傷を負った家族と暮らす
【著者】一木けい
【出版社】小学館
家族全員が元気いっぱいじゃない時もある
バンコクからの帰国子女である高校1年生の漣
父と母と、離婚して心に傷を負っている姉の4人家族だ。
漣は、高校入学後、廊下で出会った先輩朋温(ともはる)に一目ぼれするが、彼はぜったいに好きになってはいけない人だった。
恋をとるのか、家族を守りぬくのか、漣は究極の選択を迫られる。
*おすすめ:中学生くらいから
茶箱
家族を負担に感じたことはない?
家族と自分はどちらに優先順位がある?と考えてしまう物語だったわ
『星の子』
宗教が中心にある家族
【著者】今村夏子
【出版社】朝日新聞出版
家族だろうと信じる心は強要できない
林ちひろは中学3年生。
ちひろが小さなころから、家族そろって「あやしい宗教」に入信している。
家族から逃げてしまった姉や必死に宗教から足を払うよう説得する親戚をよそに、ちひろの両親は宗教に人生を捧げていた。
ちひろは家族(両親)は好きだけど、でも自分の将来を考えるとこのままでいいのか悩みだす。
*おすすめ:中学生くらいから
茶箱
宗教の問題は、家族同士でも難しいわよね
家族でも信じる心は共有できないこともあると思うわ
『ヤングアダルト パパ』
俺、中学生。息子の母親がいなくなった
【著者】山本幸久
【出版社】ホーム社
ショッキングな家族のかたち
静男は中学2年。新学期が間近に迫った夏休み、暮れていた。
なぜなら、生後5ヶ月の優作を置いて、母親の花音さんが失踪してしまったのだ。
静男にとって、今唯一の家族、息子の優作をなんとしても守らなくては
だが、父親として赤ちゃんを守ろうと必死で奔走する少年の前に現実の壁が立ちはだかる。
*おすすめ:中学生くらいから
茶箱
中学2年生で子持ち!にまずビックリ
でも必死にわが子を守ろうとする静男の姿は父親そのもの
どうにかしてあげてよと助けてあげたくなったわ
*おすすめの年代はあくまでも参考程度にお願いします。