茶箱
自分の子どもの頃の思い出は、どんなものがあったかしら?
「なんで?」「なんで?」といつも思っていた、子どもの自分が懐かしいわ
梯久美子『好きになった人』
【著者】梯久美子
【出版社】ちくま文庫
2021年難関私立中学校、女子学院中の国語入試問題として出題されました。
茶箱
私は読んだことのない”お初”の作家さんだわ
小学生にも、あんまりなじみのない作家さんなんじゃないかな
あらすじ・読みどころ
1 うちの閣下 戦争を書く
➡著者の梯さんが取材で出会った忘れられない人々のエッセイ集
2 ミニチュアの虹 東京を生きる
➡梯さんの東京での生活 リリー・フランキーさんへのインタビュー、作家森瑤子さんのインタビューの思い出、吉本隆明さん(吉本ばななさんの父上)との思い出が書かれたエッセイ集
3 ごんぎつねと「ヘイ ジュード」 家族アルバム
➡最後は梯さん自身が家族との思い出を綴るエッセイ集
茶箱
前半のエッセイ集「うちの閣下」は、興味がない分野だったから読み進むのに苦労したわ
何度睡魔と闘ったことか
優秀な小学生でも、このエッセイを読むのはけっこう大変だと思うわ
後半は梯さんとご家族とのエッセイ
前半からは一転!読みやすかったわ
私と両親の関係がおなじように思えたり、梯さんの小さなころの思い出エッセイも自分のように懐かしく思えるような共感できる内容だったのよ
特にお父さんと旅行に行ったエッセイで、父と独身娘、母親と娘との関係性の違いを語っているのが面白かったわ
後半は小学生でもカンタンに理解できる内容よ
2021年女子学院中入試(国語)の入試問題を解いてみた
茶箱
出題された部分は後半の家族とのエッセイから「風船スケーターの不条理」の全文が問題文章として出題されたわ
著者の梯さんが、小学4年生の時の思い出が語られているエッセイよ
文章問題の量はそれほど多くない。
1972年2月札幌オリンピックの開会式に関わる50年ほど前の話しですが、現代っ子でもわかりやすく共感できる内容です。
”風船スケーター”とは札幌オリンピックの開会式で風船をもってアイスリンクを滑る子どもたちのこと。
大人の私が解いてみた!
● 子どもならではの不思議な疑問が問われる
● 大人の気持ちと子どもの気持ちの違いを読み解く力が必要
● 文章を読み取る問題は「説明しなさい」という記述問題がほとんど(字数指定なし)
茶箱
エッセイの内容がなぜ書かれているのか?なにが言いたかったのかがわかれば、解答をしやすい問題だったわ
ただ、私が大人だから解きやすい問題だったのかもしれないわね
子どもの頃の私だったらこの不条理に気づけていたかしら?
大人びた小学校6年生なら、もうこの世の中の不条理に気づいているかしら?
エッセイの内容が、子どもの時によく感じる理不尽さだったので、「あ~、そういうことあった、あった!」と大人の私は著者の梯さんに強く共感しちゃったわよ
梯さんのファンになったわ
梯久美子『好きになった人』「風船スケーターの不条理」 役立つちょこっとメモ
●主人公:小学校4年生の著者の梯さん
●舞台:学校
●フリガナなし
●本の長さ:250-252ページ(文庫本)
●初版:2007年『日経経済新聞』「プロムナード」
●作者の梯久美子さんは1961年生まれ
『散るぞ悲しき――硫黄島総指揮官・栗林忠道』(2005年)で、大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
『狂うひと――「死の棘」の妻・島尾ミホ』(2016年)で読売文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞、講談社ノンフィクション賞受賞している。
【参考:梯久美子 Wikipediaより】
茶箱
梯久美子『好きになった人』「風船スケーターの不条理」は、子どものころによく感じていた大人への疑問をバッシッと真正面からぶつけたエッセイだったわ
大人になれば、わかるようなことが子どもにはぜんぜん理解できないこともあったわよね
いつから自分は世の中の不条理が当たり前のように受け止められるようになったのかな~と、ちょっと寂しくも感じたわ
*読みどころや試験問題の感想は、あくまでも私個人の意見です。
続けて学ぶための本は?
家族を書いたエッセイでおすすめの本
▼▼さくらももこさんの『さるのこしかけ』
ちびまるこちゃんの作者さくらももこさんの初エッセイ本
ちびまるこちゃんのリアルな家族の姿にお腹を抱えて笑えます