茶箱
本心を隠しながらトークをする大人同士の会話から、本当の気持ちを読み取るのは難しいな
伊予原新『月まで三キロ』
【著者】伊予原新
【出版社】新潮社
伊予原新さんの『月まで三キロ』に入っている短編「山を刻む」 が、2021年の難関私立中学校、聖光学院中学校の国語入試問題として出題されました。
あらすじ・読みどころ
『月まで三キロ』には6つの短編が入っています。
入試に出題されたのはそのうちのひとつ「山を刻む」
山を登ることで自分らしさを取り戻す、家族との意思疎通に悩む主婦”わたし”
彼女の、新しい生き方を決心をした、登山でのとある大学教授と学生との出会いが書かれています。
茶箱
最初は、家出したか、山で自殺しちゃうんじゃないかと思うくらい暗かった主婦の”わたし”が、どんどん元気になっていって安心したわ
● 家族との関係
● 人と人との信頼関係
● 生き方
2021年聖光学院中入試(国語)の入試問題を解いてみた
問題の文章量は、ふつうレベル(単子本では10ページ半くらいの量)
読みやすい文章です
茶箱
登場するのは、山登りが好きな専業主婦の”わたし”(50歳くらいかな?)と、山で偶然に出会った先生(40代)と学生(20代の大学院生)だよ
小学生からすると、大人の物語ね
出題された部分は、物語の最後の部分になります
茶箱
学生と先生の会話・態度をキッカケに、新しい生き方を決心する母親であり妻である専業主婦”わたし”の、気持ちの変化を読み取るのが主な問題になっているよ
先生の言葉の意図や、学生の気持ちを問う問題もあり
➡こちらの方が難しかった!
茶箱
登場する大人3人は出会ったばかり、自分の気持ちをべらべら話すタイプの人ではないので、言葉のはしばしから、それぞれの気持ちを読み取らなくちゃなのよ
本心をはっきり言わない大人同士の会話から、気持ちを読み取るのって難しい!
実際に2021年聖光学院中入試(国語)を大人の私が解いてみたところ、選択問題のひとつが難しかったわ
どれも当てはまりそうで当てはまりそうもない答えがあって、「絶対にコレ!」って決めるのにかなり悩んだのよね
逆に、記述式問題の方が答えやすく感じたわ
伊予原新『月まで三キロ』の「山を刻む」役立つちょこっとメモ
●主人公:専業主婦の”わたし”
●舞台:山
●フリガナなし
●本の長さ:212-252ページ(単行本)
●刊行年月:2018年12月刊行
●作者の伊予原さんは、1972年生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程(専門は地球惑星物理学)を修了。
『月まで三キロ』は、2019年第38回新田次郎文学賞、第3回 未来屋小説大賞、第8回 静岡書店大賞 小説部門を受賞している。
【参考:Wikipedia】
茶箱
伊予原新『月まで三キロ』は、生きることに行き詰った人たちが登場する6つの短編集
伊予原さんらしい理系的内容が含まれた物語は、大人も子ども見ごたえあるわよ
人生はいつも明るいわけではない
暗い闇に包まれたとき、誰かとの出会いがキッカケで闇に明るい陽が差し込むこともある
そんな人生の偶然の出会いが、6つの短編には書かれていたわ
特に、表題になっている短編「月まで三キロ」の中学生の息子さんを亡くしたタクシードライバーさんの語るストーリーにはぐっと胸がつまったわよ
短編「アンモナイトの探し方」は、中学受験生の12歳男の子が主人公
短編「エイリアンの食堂」は、不眠気味の小学3年生の女の子が主人公
どちらかというと、この3篇のほうが「山を刻む」より中学入試問題になりそうなストーリーなのよね(笑)
*読みどころなどは、あくまでも私個人の意見です。
続けて学ぶための本は?
『月まで三キロ』「山を刻む」で出てきた岩石を知ろう
▼▼本『地層のきほん』がおすすめ
イラストもついていて子どもも読みやすい本です