茶箱
同じクラスの仲間だってみんな同じじゃない
14歳の彼らにはたくさんの悩みがある
『十四歳日和』水野瑠見
【著者】水野瑠見
【出版社】講談社
2020年の名門私立中学校、慶應湘南中等部の入試で出題されました。
▼作者の水野さんは「ビックリした!」というツイートしてます。
慶應湘南中等部と福島県公立高校の入試に『十四歳日和』が出題されてたと知り、めっちゃびっくり…‼️
— 水野瑠見 (@mizuno716) March 5, 2020
中高生時代の自分にこのこと教えたら、果たして信じてくれるだろうか😂
あらすじ・読みどころ
田んぼと海と山陰ばかりの田舎の中学2年のとあるクラスの生徒たち一人一人を登場人物にした4つの物語がつむぐ連作短編集
同じクラスメイトでも、彼らの悩みはそれぞれ
友人との微妙な距離に悩んだり、恋に悩んだり、SNSにふれまわされて自分自身に悩んだり、どうしてもテストで1位を取れなくて悩んだり
そこには現代のリアルな中学生たちが登場する
だれかをうとましく思ったり、だれかと自分を比べてしまったり、本当の自分を出せなかったり、自分が今までの自分ではない気がしたり
だれもが一度はぶち当たる悩みに、物語の主人公たち中2の男女はどう対応するのでしょうか?
茶箱
中学2年生の14歳って、中学生活に慣れた一方で高校受験にも余裕があるからかしら、妙に悩み多き年ごろよね
今までどーでもよかったことが気になって仕方なくなるのよ
顔にニキビができるのと同じように、体から脳から悩みも吹き出てくるのよ
それが青春なのよ!
● 悩めるお年頃14歳のナイーブでありさわやかな青春
● クラスメイトであっても、みんな違う人間
● だれが正しいわけではない、自分はどうなの?
本の世界に入って想像力を鍛える
本の世界に入りこんで、自分が本の登場人物になったらどうするかを考えてみました。
自分の悩みは自分ではどうにもならないと思ったことなる?
茶箱
中2の彼らたちはいろんなことに悩んでいるけれど、彼らの悩みとは一線を画した悩みをもった少年が登場するのよ
彼は自分の現状が自分ではどうにもならないことを知っている
彼はクラスメイト達を客観的に見て、自分のクラスでの立ち位置を考え、勉強は現状からの脱却手段と考えている
同じ年齢の子たちが、恋や友情だと悩んでいるのに、彼はたくましく生きることと孤独と闘っていた
彼は自分を不幸だと思ったこともきっとあるだろうけれど、それに負けていない
不幸だと思った時点で終わりなんだとわかっているの
彼には、ぜひともSHOWROOMの代表取締役社長前田裕二さんのようになってほしい!
恵まれたとはいえない家庭環境から成長し、女優と付き合い(ウワサ?)、事業に成功した実業家となり、華やかな舞台に立つような男になってほしいわ
自分の価値観をおしつけていない?
茶箱
自分の考えが正しい、みんな自分の考えと同じだろうと思うことってある
大人だってそうよ
(コロナ禍のなかマスク警察や、自粛警察など出てきて大騒ぎしているじゃない)
でもふと立ち止まって考えてみれば、みんなそれぞれ違う人間だもの、それぞれの考え方があるのよね
自分なりの考えや価値観をもつことは大事だけど、それをだれかに強要したり、その基準が絶対的なものとは思わないほうがいいわよね
それぞれの主人公たちの意識の変化は?
茶箱
親や先生が”絶対的な”存在では無く、ひとりの人間として見られるようになる年ごろの彼らたち
困ったとき悩んだときに、親や先生が絶対に助けてくれるわけではないことにも気づいているわ
それぞれの物語の主人公の中2男女は、自分なりの考えのもと、それぞれ新しい第一歩を踏み出すのよ
そんな彼らがたくましく感じられたわ
『十四歳日和』水野瑠見 役立つちょこっとメモ
●主人公たち:中学2年生のクラスメイト
●舞台:学校
●難しい漢字にフリガナあり
●本の長さ:239ページ(単行本)
●4つの物語の連作短編集
●初版:2019年8月
●作者の水野さんは1990年生まれ。『十四歳日和』で第59回講談社児童文学新人賞受賞している。
茶箱
中学2年の一見さわやかに見える彼らがもつ、もぞもぞしたすっきりしない気持ちが書かれた作品よ
大人の私が読んで一番心に残った少年は、そんな甘酸っぱい青春時代の悩みとは別格の悩みをもった男の子よ
彼の現状に対する考え方や行動は、読んでいて号泣ものだったわ
私だって「悩み多き人生だわ」と思ってきたけれど、なんだかんだ言っても自分がどんなに恵まれた生き方をしてきたかをガツンと思い知らされたわ
*読みどころや想像の世界は、あくまでも私個人の意見です。
続けて学ぶための本は?
自分が生きている世界が当たり前ではないことを知りたいなら
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