今日のおとうはん、ホンマにホンマにかっこよかったで。さすが昭和40年男や
(p.79)
▶▶三男(みつお)の次女千春のことば
『昭和40年男 オリンポスの家族』
【著者】佐川光晴
【出版社】集英社
あらすじ・感想
昭和40年生まれ、オリンピックを目指す体操選手だった山田三男は、大けがにより体操をやめ専業主夫になっていた。
走り幅跳びの元日本記録保持者であり、現在は大手スポーツメーカーに勤め家計を支える妻、新体操選手として活躍する長女、美人の姉にコンプレックスを抱く次女との4人家族。
子どもが成長するにつれ、三男は次々に家族の問題に巻き込まれていく。
● 自分が生かせる生き方とは?
● 専業主夫、三男の家族に真剣に向き合う姿勢がカッコいい
● 懐かしい昭和がよみがえる
家族の悩みに、三男は真剣に取り組む。
なんとなく話を聞いてごまかす、自分には関係ないとまったく関わらない、下手に大騒ぎして問題や悩みを悪化させるなんてことはありません。
家族同士に問題がおこれば、間に入って潤滑油になろうとするし、娘が学校の問題に巻き込まれれば率先して学校と娘の間に入って問題解決に挑みます。
三男の家族を想う気持ちはどんな問題が起ころうとも揺るがないし、妻や娘たちも三男がいれば大丈夫という安心感がある。
茶箱
世の中に、こんなに頼りがいのあるお父さんがどれくらいいるかしら?
昭和40年生まれの男の三男が、専業主夫の道を選ぶのは勇気のいることだっただろう。
でも三男は、子どもが生まれた時にきっぱりと家族を守るために専業主夫という道を選択した。
茶箱
自分なりの生き方を一生懸命に生きればいいじゃない
三男は自分の信念をもって、自分が一番役立てる生き方を選んだ。
なんだかんだ家族みんなはそんな三男を信頼をしている。
実は、三男だけではなく、三男の家族も、三男の妻の父と母も、三男の兄弟も、妻の兄も、主要な登場人物みんなが、自分を生かせる生き方を選んでいる。
それが、この物語がとってもさわやかに感じる要因だと思う。
もちろん、その生き方に悩むこともあるし、壁にぶつかることもあるけれど。
だれもが、決して自分が信念をもって決めた生き方に後悔はしない。
そんな彼らの生き方は、生き方に悩んだときの参考になります。
茶箱
懐かしい昭和文化が物語に登場するのもおもしろいのよ
じゃりン子チエ、星一徹、山口百恵
この3つが「あ~、なつかしい」と思ったら、ぜひぜひ読んでほしいです。
さらに、昭和を知らない10代の人たちにもおすすめ。
作者の佐川光晴さんの作品『駒音高く』や『大きくなる日』は、中学入試・高校入試で出題されています。
この『昭和40年男 オリンポスの家族』も、10代の人たちが楽しく読める物語になっています。
特に第一話「じゃりン子チエは神」の章は、中学2年生の次女の千春の物語なので、小中高生におすすめします。
茶箱
中学2年生の悩み多きナイーブな心のうちが描かれた物語よ
佐川光晴さんの『昭和40年男 オリンポスの家族』は、家族愛があふれた本です。
ぜひ読んでみてくださいね。
茶箱
三男の人生が続くかぎり家族の問題も勃発する
でも三男なら自分らしい方法で乗り越えていくだろうな
次に読みたいおすすめ本
『駒音高く』
佐川光晴さんが描く、将棋の世界の厳しさが読める物語をおすすめします。
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