2021年7月3日更新
2018年大ブームになった「怖い絵展」を企画した中野京子さん
中野さんがヨーロッパの王家・王朝ごとに書いた本5冊を集めてみました。
(2021年プロイセン王家編が加わりました)
教科書でとぎれとぎれに学んだ世界史が国(王家)ごとに名画で学べます。
茶箱
同じような名前の王や女王もこれを読めばすっきり
絵画を通して歴史上人物の顔を見て学べるので、記憶にも残りやすく世界史の勉強にもおすすめの本です。
中野京子 名画で読み解くシリーズ4冊+1冊
日本人にとって苦手なヨーロッパの歴史が絵画をとおして学べる本です。
茶箱
中野京子さんのズバズバっとした語り口調で書かれているので楽しく読めますよ
『名画で読み解く ハプスブルグ家12の物語』
☝表紙は ヴィンターハルター《エリザベート皇后》
ハプスブルグ家といえばヨーロッパを長い間牛耳ってた名家中の名家。
でもどんな一家なんでしょう?
怖ろしくすばらしい家系図におどろきます。
この人もあの人も、とにかくどの時代のヨーロッパの王族にはハプスブルグ家が蔓延しています(笑)
ハプスブルグ家にお嫁に来た人・お婿に来た人、ハプスブルグ家からお嫁に行った人・お婿に行った人。
結婚によってヨーロッパじゅうにハプスブルグ家をどんどん広げていくのですが。
この血縁パワーこそがハプスブルグ家を栄えさせたわけですが、残念ながらこの血がハプスブルグ家滅亡への道へも導いてしまいます。
血筋を絶やさないようにするのって難しいんですね。
『名画で読み解く ブルボン王朝12の物語』
☝表紙は リゴー《ルイ14世》
私レベルの西洋史音痴さんは「ブルボン王朝てどこの国のはなし?」からのスタートになるのですが(笑)
現在でいうフランスのようです。
ハプスブルグ家とも大きく関連しています。
期待どおり?こちらの王朝(家)も、ハプスブルグ家と同じようにいやそれ以上のドロドロのドラマが繰り広げられます(笑)
お金があって名誉も力もある家や王朝となると、まあこれくらいのドロドロは当然のことなのかもしれません。
教科書でだれもが見たことのある名画がぞくぞく登場します。
この本で見られる名画
・太陽王と呼ばれたリゴー『ルイ14世』
・ルイ15世の寵姫カンタン・ド・ラ・トゥール『ポンパドゥール』
・ダヴィッド『ナポレオンの戴冠式』
・フランス革命後の『民衆を導く自由の女神』ドラクロア
レオナルド・ディカプリオ主演の映画『仮面の男』
原作は文豪アレクサンドル・デュマの「鉄仮面」
1662年フランスのパリ。
若き暴君ルイ14世の圧政下、地下牢に幽閉していた鉄仮面をつけられた双子の弟フィリップを救出しルイ14世と仮面の男の入れ換えに成功するというストーリ。
ブルボン王朝のドロドロを知ると映画の内容すら本当にありそうに思えてきますよ。
18世紀初頭、ブルボン家はハプスブルグ家からスペインの王冠を奪いフェリペ5世が登場。
スペイン・ブルボン家についても書かれています。
『名画で読み解く ロマノフ家12の物語』
☝表紙は コンスタンチン・フラヴィンツキー《皇女タラカーノヴァ》
日本人にとってロシアの歴史もヨーロッパ以上になじみのないものです。
日露戦争のあたりからのロシアしか知らないという人も多いかもしれませんね。(私はそんなレベル)
広大な領土をもっているというイメージがあるロシアの領土を飛躍的に拡大したのはロマノフ家のイワン雷帝の時代。
ロマノフ家は300年も続いた名家です。
ロマノフ王朝といえば、なんといっても二人の女帝の存在は大きいですよね。
この本で見られる名画
・カルル・ヴァン・ロー『エリザベヴェータ女帝』
・ウィギリウス・エリクセン『エカテリーナ二世肖像』
大学受験時に日本史を選択した人でも知っているニコライ二世。
ロマノフ王朝最後の皇帝
皇太子時代には来日中に大津事件で切りつけられてしまったことで有名ですね。
この本で見られる名画
・ボリス・クストーディエフ『皇帝ニコライ二世』
今まで読んできたハプスブルグ家、ブルボン家の名画に比べると、ちょっと田舎臭い垢抜けない(笑)名画たちなのですが。
絵画からは、ロシアの極寒さが伝わるような、どことなく闇のある秘密めいた雰囲気がかもしだされています。
見ているだけでひんやりするような作品が多いです。
『名画で読み解くイギリス王室12の物語』
☝表紙は ポール・ドラローシュ《レディ・ジェーン・グレイの処刑》
いままでの3冊と表紙の雰囲気が違っているのですが中野京子さんの名画で読み解くシリーズです。
舞台はヨーロッパの島国イギリスへ移ります。
イギリス王室は現代でも続いていますし、世界中の話題の的でもあるので日本人にもなじみがありますよね。
エリザベス女王、亡きダイアナ妃、ウィリアム王子、キャサリン妃、ハリー王子にメーガン妃。
日本のワイドショーでもよくお見かけする面々でもあります(笑)。
ただ有名な女王たちは知っていても王家がどんなふうに引き継がれてきたのかは、やっぱり知らないことも多いんです。
イギリス王室は王家あるあるでドロドロ事件が多発しながらも、テューダー家、スチュアート家、ハノヴァー家、サクス・コバーグ・ゴーダ家、ウィンザー家と家名は変わってもかすかな血を通して、王家を現在まで直系血脈でつなげています。
”王家を現在まで直系血脈でつなげている”
これが今まで見てきた3つの王室と大きく違う点、これを知っておくと、この本をさらに楽しめます。
『名画で読み解くプロイセン王家12の物語』
☝表紙は ヨーゼフ・クラッシ《王妃ルイーゼ》
舞台はプロイセン(現ドイツ)
三百もの「主権国家」群に分裂した群雄割拠時代を経て、とうとう19世紀にプロイセンのホーエンツォレルン家がドイツを統一します。
ホーエンツォレルン家って?
ハプスブルグ家やブルボン家に比べると、かなり知名度が低いです
統一まで長くかかったが、他の西洋の王朝と同じく第一次世界大戦により滅亡しています。(王朝存続は217年の短い期間だった)
プロイセンの王の名前は、他の西洋の国よりさらにかなり覚えにくいですが、9代の王の名前とあだ名を把握していると、王家の流れがわかりやすくなります。
例えば
初代:フリードリヒ1世(猫背のフリッツ)
4代:フリードリヒ・ヴィルヘルム2世(デブの女たらし)
(参考:『プロイセン王家12の物語』p.40)
この本で見られる名画
・アントン・グラフ『フリードリヒ大王』
70歳間近の大王フリードリヒ2世。同時代の人たちから、王の特徴をもっともよくつかんでいると認められた肖像
今まで見てきた西洋史王家に比べると、軍事色が強いのがプロイセン王家の特徴です。
中野京子の名画で読み解くシリーズは世界史(西洋史王家)を絵画で学べる
とにかく同じような名前の多いヨーロッパの王や女王たち。
名画を通して彼らの顔を知ると歴史もすっきりします。
ごちゃごちゃした世界史(西洋史)を学ぶのにおすすめの5冊です。
茶箱
どろどろ秘密めいた5つの西洋王室の歴史が、一気にまとめて学べますよ