茶箱
【新しい生活に踏み出す子どもたちへ贈る本】小学中・高学年におすすめ児童書13冊を紹介するわ
小学生の中・高学年向け、新生活を楽しくする秘訣が見つかる本を選んでみました。
茶箱
こどもたちの新生活が楽しくなりますように!
【新しい生活に踏み出す子ども向け】小学中・高学年におすすめ児童書
『飼育委員はアキラめない』
【著者】小松原宏子
【出版社】静山社
【出版年】2021年12月
困ったら誰かに相談しよう
主人公:小学校4年生の男の子「いきもの博士」のアキラ
4年生になって委員会活動が始まり、「いきもの博士」と呼ばれているアキラくんはみんなからの推薦をうけて飼育委員になります。
いきものの知識はたくさんあって、いきものについて語りだしたら周りの空気を読めなくなるくらい熱中してしまうアキラくんなのに、いきものを扱う飼育委員の仕事が上手にできません。
実はアキラくん、生きものを飼った経験がまったくないのです。
生きものと触れ合い、お世話をするのは、図鑑や本には載っていないハプニングがいっぱいです。
クラスメイト、先輩、先生などに助けられながら、生きものを世話するたいへんさに気づき、できない自分を正直にさらけ出せるようになるアキラくんの成長する物語です。
茶箱
自分ができないことを、正直にさらけ出せば助けてくれる人がきっと現れるわよ
自分も困っている友達に気づいたら助けてあげよう!
『おちゃめなふたご』
【著者】エニド ブライトン (著), 田村 セツコ (イラスト), 佐伯 紀美子 (翻訳)
【出版社】ポプラ社
【出版年】2015年1月
自分の行動や考え方を変えれば、周りの人たちの態度も変わる
主人公:寄宿学校に入学する双子の女の子パットとイザベル
双子のパットとイザベルは、親にすすめられてイヤイヤながら寄宿学校クレア学院に入学しました。
いままでの学校ではスター扱いの双子だったのに、新しい学校ではちょっと落ちこぼれ気味になってしまいます。
学校でおこる事件に巻き込まれ、クラスメイトたちとぶつかりあいながら、「前の学校では」が口癖だった双子がどんどん素直になっていきます。
そして素直になるほどに、双子の学校生活はどんどん愉しくなってきます。
双子は自分らしさをだして、自分が友達と親しくなろうとクラスに馴染もうと思えば、クラスのみんなの対応が変わることに気づくのです。
日本ではなじみの少ない、寄宿学校ならではの楽しみが読めるのもこの本の魅力です。
茶箱
双子のように「前の学校では、前のクラスでは」が口癖になるまえに、今の自分を見直すきっかけになる本よ
『窓』
【著者】小手鞠 るい
【出版社】小学館
【出版年】2020年2月
日本だけじゃなく世界へ目を向けよう
主人公:両親の離婚後、父と祖母と暮らしている窓香ちゃん
窓香ちゃんが幼いころに離婚し、アメリカで暮らしていた母(亡くなった)のノートが窓香の元に届きます。
そのノートには、母が何を目指し、どのように生きていたのか、どれほど窓香を愛しているかがつづられていました。
ジャーナリストを目指した母の生き方を知ることで、「世界への窓」をもつようになる少女の成長が書かれた物語です。
島国の日本で暮らしていると、世界の人たちの暮らしをリアルに見たり、体感することが少ないのですが、世界には自分の想像のつかない社会が存在します。
その気づきはきっと子どもを大きく成長させ、新生活にうるおいを与えてくれるはずです。
茶箱
大人の私は窓香ちゃんの母に対して「なんてワガママな母親なんだ!」と怒りを覚えましたが、まあ、物語ですからね(笑)
『ぼくのまつり縫い』
【著者】 神戸遥真
【出版社】偕成社
【出版年】2019年10月
ありのままの自分をさらけだす勇気をもとう
主人公:手芸好き男子の中学1年生、針宮優人
本当は手芸が大好きな針宮くん。でも男の子だし、中学の新しいお友達とも仲良くするためにもとサッカー部に入部しますが、サッカーにはまったく興味がわかず、怪我をしてしまいます。
ケガの功名?なのか、偶然、手芸部のお手伝いをしたのをきっかけに針宮くんは手芸部の活動に参加しはじめます。
でも、そのことをサッカー部の男友達カイト君には言えません。
みんなから外れたくない、みんなと同じでいたい。
小学校高学年や中学生くらいになると、目だったり、人と違う行動をすることに恐怖を感じるくらいな気持ちってわかります。
でも自分らしくないことをし続けるのは、もっと辛くて恐怖なのかもしれないし。
私はこの本を読んで、自分の友達を信じられるかどうかが、ありのままの自分をさらけだす勇気がでるポイントじゃないかなと。
あえて自分の秘密をさらけだす必要のない場合もあると思いますよ。
茶箱
針宮くんはよいお友達に恵まれているのが、とってもうらやましかったわ
『イカル荘へようこそ』
【著者】にしがきようこ
【出版社】PHP研究所
【出版年】2021年5月
両親だって完璧な人間じゃないことを知ろう
主人公:中学2年の真子ちゃん
喧嘩ばかり両親にうんざりし、家を飛び出した中学2年の真子ちゃんは、偶然出会った夏鈴さんの住む「イカル荘」でホームステイをさせてもらうことになります。
そこにはインドネシアからの留学生・デフィン(女子)がいて、3人の共同生活が始まる。
共同生活では料理や掃除などを当番制で行い、また他のふたりがどんなふうに家族と付き合っているのかを目にします。
その暮らしから、真子ちゃんは自分の辛さだけではなく、家族の気持ちを考えるようになります。
真子ちゃんの成長した姿は、彼女の両親よりも頼もしく思えます(笑)。
子どもの成長する姿の一方で、親だって完璧な人間じゃないし、家族をもつ・子育て初心者なんだよな~とも思ってしまう物語です。
茶箱
親だって完璧じゃないの!
子どもは親を超えるような気持ちでいなくちゃね
『跳べ、暁!』
【著者】藤岡陽子
【出版社】ポプラ社
【出版年】2020年7月
苦しい立場の自分を助けてくれる仲間をもとう
主人公:父親と二人暮らしの中学2年の暁(あかつき)ちゃん
母親を病で失い、気力を失くして会社を退職した父親と実家のある田舎へ越してきた14歳の春野暁(あかつき)ちゃんは、転校先の平川中で女子バスケット部を立ち上げます。
部活のメンバーは、中学受験に失敗しエリート志向の母親と離れて暮らす学年イチの秀才で運動神経ゼロの欣子、日本に不法滞在の身でほとんど学校に来ていないタンザニア人のプミリア、父親の居酒屋を毎日手伝う本田薫など。
暁ちゃんと同様に、それぞれの家庭の事情に苦しめられているメンバーたちなのです。
家に帰れば家族の問題を抱え、辛さや諦めを感じながらも、家庭での苦しさを忘れられるバスケットに夢中になる中学生の青春物語です。
友達の協力や優しさを支えに、それぞれが家族の問題を乗り越えていく彼女たちの強い姿には涙が出てきました。
茶箱
現状の困難にあきらめてしまう子どもたちの姿は、ほんとうに心が痛かったわ
『王妃の帰還』
【著者】柚木麻子
【出版社】実業之日本社
【出版年】2015年4月
クラスでの自分の立ち位置を知ろう
主人公:母親と二人暮らし、私立女子中の2年生範子ちゃん
舞台は私立の女子中学校。
中学2年のクラスには5つのグループがあり、範子はマイペースな仲間4人の地味グループにいて、平和に楽しくしていたのですが、ある事件をきっかけにクラスの姫グループにいた王妃滝沢さんが範子たちのグループに入ることになってしまいます。
滝沢さんの王妃ならではの傍若無人な行動に範子たちはタジタジに、グループ内の輪も乱れてしまいます。
困った範子たちはある行動にでるのです。
範子ちゃんたちをみると、地味だろうがクラスカーストの下であろうと、どんなグループにいようとも、自分らしくいられる仲間といるのが一番なんだなと思うはずです。
新しい世界に入ると、気の合う友達ができるかが一番の心配ごとです。
人にどう思われようとも、自分が居心地のよい仲間をみつけられるといいですね。
茶箱
いい仲間に知り合う時間や機会が多いことは、学生時代の特権よ
『月と珊瑚』
【著者】上條 さなえ
【出版社】講談社
【出版年】2019年7月
自分の知らない土地に住む同じ子どもの暮らしを知ろう
主人公:沖縄で祖母と二人で暮らす、小6女子の珊瑚ちゃん
勉強ができないことを恥ずかしいと感じ始めた珊瑚ちゃんは、日記を書き始めます。
珊瑚ちゃんの日記に描かれるのは、エイサーを見に行ったこと、辺野古への抗議をする友達のひいおばあちゃんのこと、戦闘機の音を聞き分けられるクラスの男の子のこと、戦闘機の音が怖くて仕方ないクラスの女の子のこと、東京から引っ越してきた月(ルナ)ちゃんのことなど。
でも、彼女の日記からは、子どもの貧困、東京からきた子どもとの学力の差、沖縄文化の継承、そして米軍基地問題など、沖縄の子どもたちが、目にして、感じて、体験していることが浮かび上がってきます。
美しい海をもつ観光地として話題にはなるけれど、そこで暮らす人たちの生活はなかなか見えてこない沖縄の現状をガツンと突きつけられる物語です。
茶箱
沖縄の人たちの生の声が物語になっているような気がしたわ
知らない土地の同じ子どもたちの現状を知るのは、自分自身を見直すのに役立つはずよ
『はじめまして、茶道部』
【著者】服部千春 (著), 小倉マユコ (イラスト)
【出版社】出版ワークス
【出版年】2019年11月
興味のないことでも体験してみよう
主人公:小学5年生の男の子陽介くん
幼なじみのナツメちゃんに誘われて仕方なく入部した茶道部だったけれど、顧問の先生は美人だし、毎回お菓子は食べられるし、意外にもけっこう楽しい!
しかも陽介くんは、茶道をとおして、今までまったく気にならなかったことに気づくようになります。
お菓子の由来から茶道の作法はもちろん、「おもてなし」「茶道で大事なことは」といった心構えなどは、毎日の生活にも役立つのです。
それにしても、意外なきっかけで体験したことが、案外おもしろくて興味がわいてくる偶然の出会いがあります。
人生っておもしろいですよね。
茶箱
チャンスがあれば「やってみる」精神をもつのをおすすめするわ
『サステナブル・ビーチ』
【著者】小手鞠るい (著), カシワイ (イラスト)
【出版社】さ・え・ら書房
【出版年】2021年4月
頭で考えるだけでなく行動してみよう
主人公:見た目がみんなと違う小学6年生の男の子、七海くん
日本人の父とアメリカ人の母を両親にもつ小学6年生の男の子七海(ななみ)は、見た目がみんなと違うことに生きにくさを感じています。
夏休み、お母さんとハワイへ出かけた時に知り合った人たちから、海の環境問題について教えてもらったことをきっかけに、この問題に対して自分なりに行動をおこそうと考えます。
問題を知った後、どう克服していくか考え、実践するまでの一連が、環境問題を考えることなんですね。
この本をきっかけに、問題にぶちあたったら、自分にできることは何かを考えて行動してみましょう。
茶箱
問題を知っている、頭で考えているだけじゃ、問題を解決するには至らないのよ
『貸出禁止の本をすくえ』
【著者】アラン グラッツ (著), ないとう ふみこ (翻訳)
【出版社】ほるぷ社
【出版年】2019年7月
「おかしい」と思ったことには声をあげよう
主人公:内気な性格の小学校4年生のエイミー・アン
学校図書室のお気に入りの本「クローディアの秘密」が消えた!
「子どもにふさわしくない」本だからという一部の保護者の意見だけで。
いつもは妹のワガママにも文句も言えないほど内気な少女エイミーは、お気に入りの本のため立ち上がるのです。
家族や、学校司書、友達を巻き込み声をあげるエイミー。
いつもは「おかしいな?」と思っても、だまってそれに従ってしまうエイミーが声を出し行動する姿には感動します。
また自分はエイミーとは逆の立場になっていないか、つまり自分だけの価値観をだれかに勝手におしつけていないかを考えるきっかけにもなります。
茶箱
自分と同じ考えの仲間をつくるのはいいわ
自分の気持ちを言葉で言うのは難しいけれど、仲間がいると心強いわよ
『卵と小麦粉それとマドレーヌ』
【著者】石井睦美
【出版社】ポプラ社
【出版年】2015年1月
仲良し親子であってもお互いの生き方は別々だと知ろう
主人公:中学校1年生の奈穂ちゃん
菜穂ちゃんの13歳の誕生日に、とつぜん母親がフランスに料理留学をすると言いだした。
ごくふつうに父と母と娘3人で仲良く暮らしていた一家には大事件。
菜穂ちゃんにとっても、ママにとっても、パパにとっても新しい世界へ踏み出すことになるのですから大変です。
ママがいなくなっても(半年だけど)大丈夫なのか心配、でもママを応援したい気持ちもある菜穂ちゃんの物語です。
たんたんと書かれた文章なのに、菜穂ちゃんの若さがキラキラし、思春期のみずみずしさやフレッシュ感、若さがもつエネルギーがあふれでています。
茶箱
母親がいなくても、自分でできることは何かな?と考えてみると面白いわよ
『君たちは今が世界』
【著者】朝比奈あすか
【出版社】KADOKAWA
【出版年】2019年6月
クラスメイトにはそれぞれの考え方があるのを知ろう
主人公:小学6年3組のクラスメイト4人
小学6年生は子どもでも大人でもない。
ピュアな心だけをもっているわけじゃないけれど、ちょっとしたことで心を痛めるナイーブな心をもっている。
天使と悪魔が混在する、彼らの心や行動が書かれた物語です。
4つの連作短編になっていて、クラスのなかでの立ち位置が異なる6年3組のクラスメイト4人がリレー方式に主人公になっていきます。
クラスの中で、彼らはそれぞれ彼らなりの生き方をし、自分自身を守っているのです。
子どもたちはもちろん、むかしは子どもだった大人たちも、共感し、心のどこかが痛くなったり、むずかゆくなったりするはずでが読んで損はありません。
小学6年生のその時しかない感性を感じ取れる本です。
茶箱
小学6年生のころって、自分のことも人のことも気になるし、自意識過剰もハンパない生きにくいお年頃よね(笑)
まとめ
2022年春 小学生の中高学年におすすめの本13冊【新しい世界に向けて踏み出す子どもたちへ贈る本】はいかがでしたか?
紹介した本から読み解ける、新しい生活を楽しむ新生活を楽しむ秘訣をまとめてみました。
●『飼育委員はアキラめない』
秘訣:困ったら誰かに相談しよう
●『おちゃめなふたご』
秘訣:自分の行動や考え方を変えれば周りも変わるよ
●『窓』
秘訣:日本だけじゃなく世界へ目を向けよう
●『ぼくのまつり縫い』
秘訣:ありのままの自分をだす勇気をもとう
●『イカル荘へようこそ』
秘訣:親だって完璧な人間じゃないよ
●『跳べ暁!』
秘訣:困っている友達を助けたいと思う気持ちを大事にしよう
●『王妃の帰還』
秘訣:クラスでの自分の立ち位置を知ろう
●『月と珊瑚』
秘訣:知らない土地に住む子どもたちの現状や困難を知ろう
●『はじめまして茶道部』
秘訣:体験してこそわかることがある
●『サステナブル・ビーチ』
秘訣:行動してみよう
●『貸出禁止の本をすくえ』
秘訣:黙っているだけじゃ何も起こらない
●『卵と小麦粉それとマドレーヌ』
秘訣:親子お互いの自立を目指そう
●『君たちは今が世界』
秘訣:友達は自分とは違う目、違う考えをもっているよ
茶箱
新しい生活が楽しいものになりますように!
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