茶箱
「NHK朝の連ドラと市原悦子さんの『家政婦は見た!』が好きな」人におすすめしたい本(小説)よ
『ミシンの見る夢』
【著者】ビアンカ・ピッツォルノ
【出版社】河出書房新社
この本のおすすめポイント
● 100年前のイタリア社会に生きるお金持ちの秘密がのぞける
● 一人の女性の人生物語
● いろんな事件が起きるので退屈しない
● 手芸ネタがたくさんの物語
あらすじ・感想
あれ?あのドラマみたい!
と物語を読み始めると多くの人は感じるはずです。
女性たちが大好きなドラマ『家政婦は見た!』を彷彿とさせる物語なんです。
茶箱
お金持ちのお宅拝見が好きな人、お金持ちの考え方興味のある人にぜひぜひ読んでほしいわ(笑)
舞台は19世紀末から20世紀初頭のイタリア
男尊女卑の考え方が今よりもずっと大きくて、階級差も激しかったので自由恋愛が難しかった時代です。
今では想像もつかないような考え方や、生活様式に驚きながらも楽しんで読めました。
ストーリーが面白いだけでなく、当時のイタリア社会が体感できるのもこの本の魅力です。
主人公は貧しいお針子さん。
仕事のためお金持ちの家に通うため、そこでいろんな事件や出来事に遭遇します。
茶箱
ココが、市原悦子さんの『家政婦は見た!』ぽいあたりよ
もう一つの物語の主となっているのは、彼女の成長物語です。
事件が起きたり、恋をしたり、人の恋を応援したり、困った友達を助けたり。
楽しいことばかりじゃない、どちらかというと大変なことばかりだけど、彼女は必死に前を向いて進んでいきます。
いつの間にか主人公を応援しながら、あすはどうなるんだろうか?この先にはどんなことが待ち受けているんだろうかとハラハラわくわくしてしまいます。
茶箱
ひとりの女性の生き方が物語になっていて、この辺りは朝のNHKドラマのよう
自分が成長(体が大きくなるだけではない)し、仕事もできるようになればなるほど、おのずと望むものも大きくなります。
望みを手に入れるためには、さらに自分がその望みに見合うようにと自分を成長させていく彼女の姿は前向きですがすがしく感じます。
成長した彼女には素敵な恋の予感も訪れるのですが、そこにもいろいろな問題が勃発してしまいます。
ああ、一人で頑張ってきた彼女に幸せが訪れるといいわねと、この時点で彼女のことが好きになっていた私はもう祈るばかりでした。
お針子という仕事は決して裕福になれるものではないけれど、その生き方は手に職をもちそれを誇りとして生きていく現代女性たちの参考にもなるものです。
茶箱
手に職をもつ女性もドラマになりやすいネタよね
さらには、洋服づくりや、刺繡、布についての細かな描写もあり、手作り・手作業好きさんには特に楽しめる物語です。
茶箱
刺し子と刺繡が好きな私にはぴったりの物語だったわ
心に響いた言葉
▶▶おばあちゃんが貧しい家に生まれた主人公のお針子にかけた言葉
手に入れられるはずのないものを望むのもよくない
(p.25)
茶箱
おばあちゃんは意地悪なわけじゃないの
人生の先輩のおばあちゃんは世の中は甘いことよりも辛いことの方が多いことを知っていたのよね
この言葉は、物語を最後まで読んだときに心に響いてきます。
本当に今の自分に必要なものは意外にするりと手に入ってくるのですが、逆に頑張って必死に手に入れたものがさらりと手からこぼれおちてしまったり、頑張ってもまったく手に入らないことがあります。
おばあちゃんの一言を思い出すと、手からこぼれおちたもの、手に入らなかったものは、今の自分に必要ないもの・見合わないものだったのかもと思える気がしました。
作者は?
作者ビアンカ・ピッツォルノさんは、イタリアの国民的作家です。
『あたしのクオレ』『ポリッセーナの冒険』『ラビーニアとおかしな魔法のお話』などたくさんの児童小説を書いている児童小説家でもあります。
茶箱
『ラビーニアとおかしな魔法のお話』は、「妖精からもらった魔法の指輪は、なんと、ものをウンチにかえることができる」というぶっとんだお話しよ
まとめ
『ミシンの見る夢』は、【NHK朝の連ドラと『家政婦は見た!』が好きな人】におすすめの一冊です。
NHKの朝ドラを見るように、ひとりの女性の生き方・成長を見守りながら、さらに『家政婦は見た!』のようにお金持ちの秘密をのぞく楽しみが加わった、とにかく面白い物語です。
茶箱
NHK朝の連ドラと、『家政婦は見た!』を同時に楽しめるおもしろさを体験してみてね
あわせて読みたいおすすめ本
『ミラーワールド』
【著者】椰月美智子
【出版社】KADOKAWA
『ミシンの見る夢』で100年ほど前のイタリアの男尊女卑の社会の姿を読んだ後に、ぜひ読んでみてほしい本を紹介します。
舞台は現代の日本です。
が、そこは男女が逆転したミラーワールドなんです!
女が外で稼いで、男は家を守る。
それが当たり前の男女反転世界。
そんなミラーワールドでも「男のくせに」「女のくせに」「男なら」「女なら」というセリフが飛び交うのです。
茶箱
男尊女卑ってひと昔前の言葉と言えるのか、やっぱり現代にも通じる言葉なのか
男とか女とかって、結局はなんなんだろうか?と思っちゃうわ
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