茶箱
ある日思いがけず起こる「突然の変化についていけないとき」におすすめしたい本(小説)よ
だれしも突然、自分が考えてもいなかったこと、想像もしたこともないことが自分の人生にふりかかってくることがあります。
自分が今そんな状況にある人にはもちろん、そんな状況を考えてみようと思っている人にぜひぜひおすすめしたい本があります。
『透明な耳。』
【著者】村本大志
【出版社】双葉社
こんな悩みを持つ人におすすめ
● 突然自分に起こった変化についていけない
● 変化が起こった身近な人に、どう接していいかわからない
あらすじ・感想
高校2年生の由香は学校帰りの交通事故で聴力を失ってしまう。
突然のことで、由香自身はもちろん、家族、友達、彼氏みんながその現実を受け止められない日々が続く。
きらきらした毎日を過ごし、明るい未来がたっぷりあった少女が、事故を境に何もやる気が起きず、人にも会いたくない鬱状態になってしまう。
茶箱
物語と言えども、由香の大きな絶望感が簡単に想像できるわ
でも彼女はその絶望から抜け出していきます。
それは彼女が絶望と独りで闘ったわけではなく、母がいて、友がいて、彼氏がいて、父がいて、さらには理解ある医者や専門家がいたからです。
彼女はとっても恵まれていたんです。
自分が突然の変化におそわれたら、だれかに甘える勇気、知識を求め専門家に頼る勇気、弱い自分を認める勇気、さらには困っている自分をさらけだす勇気が必要になります。
だれかに頼ることで、自分一人じゃどうにもならないことも、よき方向への光りがきっと見えてくるはずです。
そんな人間関係に恵まれている彼女すら、絶望から立ち上がるには年単位で時間がかかります。
絶望はそんな甘いものではありません。
変化に対応するのは、だれしも時間がかかるものなんです。
茶箱
あせらずに!ある程度の時間にはゆとりを持たなくちゃいけないわね
そして、彼女の生きる力になったのは「好きなもの」です。
変わってしまった自分が今できる方法で「好きなもの」を楽しむ、挑戦することで、前向きに生きる元気がわいてきます。
茶箱
「好きなもの」ってすごい力をもっているのね
ただ、世の中には人の不幸を”えさ”にしている人もいるのが現実。
頼るのは信頼のおける人にしなくちゃいけません。
ふだんから、人を見る目は磨いておきたいですね。
茶箱
自分がだれかに頼りにされるような人でありたいとも思ったわ
おすすめの年代
● 中学生くらいから(本好き小学生から)
『透明な耳。』心に響いた言葉
▶▶手話教室の先生の言葉 「手話で話せれば娘さんとまた会話ができるようになります」と言った先生に対して父親が「きれいごとだ」と言い切った後
きれいごとじゃない世界はどんな世界なんでしょう。そんなに美しいのでしょうか?
(p.217)
▶▶由香の言葉 物語の最後にようやく行きついた想い
この先どんな未来が待っているのか、いないのか、決めるのはすべて自分次第だ。
(p.276)
茶箱
生きることはきれいなばかりじゃない
どうであれ、自分で生き方を決めなくちゃならないのよね
まとめ
『透明な耳。』は、「自分に起こった突然の変化についていけないとき」読んでほしい一冊。
事故で突然聴力を失ってしまった由香の人生を通して、変化に応じた生きるヒントがもらえます。
【自分に起こった突然の変化についていけないとき】、自分ではどうにもならない時こそ、由香のように自分をさらけだして助けてもらう勇気をもちたいです。
そして「好きなもの」を、変わった自分で楽しんでみてください。
茶箱
読んでみてね
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茶箱
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