茶箱
「自分らしく生きるために必要なのは何だろう?」と悩んでいる人におすすめしたい本(小説)よ
人とちょっと違った自分は、この社会の中で生きにくいなと思ったことありませんか?
ユニーク、個性的なことがもてはやされている一方で、特別なことがなくみんなと同じように生きるのが楽ちんなのは明らかなんですよね。
でも、「どうしても自分らしく生きたい」と思ったら、何が必要なのかヒントをくれる本を紹介します。
『息子のボーイフレンド』
【著者】秋吉理香子
【出版社】U-NEXT
こんな人におすすめ
● 社会のなかで生きにくいなと思っている
● 言いにくい悩みを抱えている
『息子のボーイフレンド』おすすめポイント
おすすめの年代
● 高校生くらいから大人向き
あなたに似た人はいるかな?主な登場人物
◆聖将
高校2年生
好きになった人が男だった
◆莉緒(母)・稲男(父)
聖将の両親
◆雄哉
20歳大学生
聖将の好きになった相手 非の打ち所がない好青年
◆優美
莉緒(母)の昔ながらの友達
心に響いた言葉
▶▶聖将 母にゲイであることを告発した後の言葉
理由があるんだったら、俺だって知りたいよ
(p.8)
茶箱
自分の告白を受け止められない、母の気持ちもわかる聖将
どうしようもないことが辛いわよね
▶▶雄哉の言葉
俺たちは日陰にいるんじゃない
木陰にいるんだ
(p.250)
茶箱
聖将と雄哉が、世間から好奇の日差しを浴び、中傷の嵐にうたれ、嫌悪の吹雪をうけても、二人を理解してくれている人たちが2人を守り休息させてくれる。
だれかが、少しでも日差しや嵐を防いでくれるのは幸せなことよね
どんな本?あらすじ・感想
ファミリーレストランで高校2年生の息子聖将から、突然ゲイであることを告白された母。
「え?この前まで、彼女がいたのに?」
大きくうろたえる母、莉緒から、聖将の生き方をめぐり周囲の人たちの動揺が始まります。
5編の連作短編集になっていて、主人公がバトン形式で変わっていく形式の物語です。
茶箱
息子のゲイ発言に対しての、それぞれの立場から、それぞれの意見や考え方がわかるのが面白いわよ
特にお父さんが、なかなか息子の気持ちを理解できないのは、なんだか切なくなってしまいました。
会社でLGBTについて学んだのに、同じ男なのに、どうしても息子が理解できない父。
凝り固まった考え方や、社会で生きるたいへんさを息子にあえて味あわせたくないという気持ち、世間体など、いろんな気持ちが入り乱れてしまう父の、あたふた加減には笑ってしまいましたが、気持ちはすごくよくわかります。
物語は、社会の中で生きにくいと思われるゲイの二人の辛い日々が描かれているわけではなりません。
どちらかというと、ゲイを告白された周囲の人たちのあたふた、オロオロ、今日と明日では違ったりとする考え方の迷いなどが、コミカルに書かれています。
といっても、きちんとゲイの息子に対してきちんと向かいあっている家族の姿は、心があたたかくなります。
そして何よりもこの本を読んで、自分らしく生きていこうと思ったら、ぜったいに味方が必要なんだなと思いました。
自分の秘密を告白するのは勇気がいるけれど、信頼できる人になら、本当の自分の姿を明らかにして、味方になってもらうのが、自分らしく生きていくのには不可欠だとわかりました。
専業主婦の杉山莉緒(りお)(40)は、高校2年生の一人息子・聖将(きよまさ)からのカミングアウトをファミレスで聞き、衝撃を受けた。交際相手を自宅のランチに招いたところ、20歳で一流大学2年生の藤本雄哉(ゆうや)は非の打ち所がない好青年。母親を早くに亡くし、家事は勿論、祖母の介護までしている苦学生で、何より聖将に勝るとも劣らないイケメンだった。ひとまず二人の交際を認めた莉緒だったが、夫・稲男(いねお)(45)にはなかなか切り出せない……。聖将&雄哉、盛夏の熱い恋の行方やいかに? 家族の絆があったかくしみる群像劇!
【引用:アマゾン『息子のボーイフレンド』より】
まとめ
『息子のボーイフレンド』は、「自分らしく生きるために必要なのは何?」と悩んでいる人におすすめの一冊です。
高校2年生の聖将から、「自分らしく生きる」ためには、どんどん自分の生き方を応援してくれる味方を増やしていくのが必要なんだなと教えてもらいました。
「自分らしく生きる」ためには、辛い状況であればあるほど、仲間や味方が必要です。
それは、信頼できる相手に自分自身をオープンにして、理解してもらわなくてはなりません。
勇気のいることだけど、一人でがむしゃらに生きていくよりは、断然生きやすくなるはずです。
『息子のボーイフレンド』は、「自分らしく生きたい」、でもどうしたらいいかわからないと思っている人にぜひぜひ読んでほしい本です。
あわせて読みたいおすすめ本
30年ほど前に出版され大きな話題になった、人気作家の江國香織さん、吉本ばななさんの名作をおすすめします。
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江國さんの文章が、二人の生き方をやさしく包んでくれています。
『キッチン』
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きっといろんなことがあっただろうが、まったく違和感ない二人。
孤独だったみかげは、そんな二人の優しさに接しながら、穏やかに毎日を過ごせるようになっていく。
みかげがちょっとずつ孤独・さみしさから抜け出し、現実と向き合っていく力を蓄えていく再生物語。
茶箱
30年前からあんまり人の意識は変わっていない気がするわね~
茶箱
読んでみてね