茶箱
映画にもなった森下典子さんの本『日日是好日』に加えて、映画の後に出た続編2作、合わせて3冊セットで紹介します
なぜ人が「お茶」に惹きつけられるのか?がわかる『日日是好日』シリーズ
実は、『日日是好日』を含めた3冊の本は「お茶」「茶道」とは関係なく人生に悩んだ時に読むのもおすすめ。
それは、「お茶」はただ美しいお道具でお茶を飲み楽しむだけではなく、人の生き方を指南してくれるからなんです。
3冊セットで手元に置いて、いつでも読みたい本を詳しく紹介します。
日日是好日(にちにちこれこうにち、にちにちこれこうじつ)は、禅語のひとつ。表面上の文字通りには「毎日毎日が素晴らしい」という意味である。
【参考:Wikipedia「日日是好日」】
1作目『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ― 』
日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)
【著者】森下典子
【出版社】新潮文庫
「お茶」のお稽古に通っている人は必読、「お茶」のお稽古に興味がある人にはおすすめの一冊です。
樹木希林さんが茶道の先生役を演じた有名な映画「日日是好日」のモデルになった本です。
作者の森下さんが20歳のときから通い始め26年目を描いた「お茶」のお稽古の日々をつづっています。
茶箱
映画を見たけれど本は読んでない人には、ぜひぜひ読んでほしいわ
週に一回、気がつけばもう25年お稽古に通っている間には、就職につまずき仕事への不安、大きな失恋、大事な父の死をも経験した森下さん。
そんな森下さんが苦しい時も「お茶」とともに乗りこえた、感動の成長エッセイです。
茶箱
私も辛い日々でも通い続けたお稽古の日々を思い出すわね~
どんなに辛いことがあってもお稽古の時間はなぜか忘れられたのよ
有難かったわ
私がこの本を読んだのはお稽古を始めて2年目ほどの20代の頃。
森下さんに共感できる部分もありましたが、まだまだ私には見えてこなかった「お茶」の世界を教えてもらったことを思い出しました。
茶箱
私もお茶を習っているから、このお稽古の雰囲気はわかるわ~
「お茶」のお稽古の空間は、現実の世界でありながらもどこか別世界のような気がするのよ
がんじがらめの決まりごとの向こうに、やがて見えてきた自由。
世の中には「すぐにわかるもの」と「すぐにはわからないもの」の二種類がある。
(中略)
すぐにわからないものは(中略)後になって少しずつじわじわとわかりだし「別のもの」に変わっていく。そしてわかるたびに、自分が見ていたのは全体の中の本の断片にすぎなかったことに気づく。
「お茶」って、そういうものなのだ。
(まえがきより)
自分に自信がなく、不安な日々を過ごす森下さんが、お茶のお稽古をコツコツと続けることで「ここにいるだけでよい」という心の安息を感じられるようになっていくのです。
森下さんの「お茶」のお稽古を通じて、季節のうつりかわりや、季節ごとの美しさを味わう感動が伝わってくる本でした。
そしてその感動は生きることの楽しさも味わせてくれます。
2作目『好日日記―季節のように生きる』
【著者】森下典子
【出版社】PARCO出版
お茶室で繰り広げられる「お茶」のお稽古のシーンそのまんま本になっているので、「お茶」のお稽古をのぞき見られるとっておきの1冊です。
映画化された累計26万部のロングセラー『日日是好日』待望の続編!
森下さんは「お茶」のお稽古を始めて早40年になっています。
ひとつひとつのエッセイタイトルは「二十四節気」になっていて、季節ごとのお稽古の様子が書かれています。
森下さんの「お茶」を通して自分の心と向き合うスタイルは変わっていません。
▶▶お茶仲間との会話 お茶室に飾られた掛け軸に書かれた禅語『緑柳花紅』の話しになって
柳は花になれないし、花も柳にはなれない。花はあくまで赤く咲けばいいし、柳はあくまで緑に茂ればいいのよね。
(p.71)
▶▶3つのお菓子を順番に取っていくとき お茶の先生のアドバイス
「真ん中にお菓子が一つ残るように、他のをお取りなさい。真ん中が残れば、最期のお客様のところにお菓子が回った時、『残り物』っいう感じがしないでしょ」
(p.63)
茶箱
これ、「お茶」のお稽古あるある!です
今まで考えたことのなかった、人への気遣いをお稽古の中でそっと教えてもらえることに「なるほど~」とよく納得したことを思い出したわ
前作と大きく違うことは、作者の森下さんの描く茶道具や和菓子のイラストがついたことです。
これがとってもステキなんです。(もちろんカラーで楽しめます)
さらに、お茶室のお稽古の様子が手に取るように伝わります。
茶箱
私も現時点でお稽古を始めて20年近くなり、森下さんに共感できる部分や、理解できることが多くなったよ
3作目『好日絵巻 季節のめぐり、茶室のいろどり』
【著者】森下典子
【出版社】PARCO出版
「お茶」のもつ、だれもを虜にする不思議な美の魅力を教えてくれる一冊です。
季節の茶花、お道具、和菓子のイラストが中心になったエッセイ本です。
イラスト数は73点と盛りだくさんです。
茶室にいるだけで感じられる、あふれるばかりの美しい日本の季節を楽しめます。
今回のエッセイタイトルは季節の言葉。
年のはじまりの「風花」、春の「薄氷」、夏の「潮騒」、秋の「清風万里」、冬の「埋み火」など味わい深い言葉が並びます。
茶箱
春の言葉「不苦者有知(ふくわうち)」に感動したわ
お茶になじみのない人は、お茶のお道具の美しさだけでなく、美しさに隠れたネタ・秘密などのおもしろさを知ることができて、ビックリしちゃうはず。
外側から見ると黒だったり、無地だったり地味なお道具の蓋を開けると、その蓋の裏側には美しい絵が描かれているお道具。
蒸しあがった後にわざわざ薄皮を剝いで、ぼそぼそに毛羽たたせ、春霞の夜空に浮かぶおぼろ月に見立てる「おぼろ饅頭」。
などなど、「お茶」にまつわる驚きのネタにたくさん触れることができます。
「お茶」のお稽古をしている人、したことのある人なら、イラストを見るだけで、あの「お茶」のお稽古の雰囲気が伝わるはずです。
ひとつひとつのエッセイタイトルは、季節を感じる言葉になっていて、1,2作目に比べるとイラスト多めで文章少なめです。
茶箱
季節ごとにまったく異なるお道具や、茶花、和菓子にうっとりするわ
まとめ
茶道経験ありの人にも、無い人にも「お茶」のお稽古の雰囲気が伝わる『日日是好日』続編を含めて3冊を紹介しました。
なぜ人が「お茶」に惹きつけられるのか?がわかると思います。
それは、「お茶」はただ美しいお道具でお茶を飲み楽しむだけではなく、人の生き方を指南してくれるからなんです。
なので『日日是好日』続編を含めて3冊は、「お茶」に関係なく人生に悩んだ時に読むのもおすすめ。
3冊セットで手元に置いて、いつでも読みたい本です。
茶箱
読んでいると心がおちつくのよね