スキあらば本を読む!
ゴールデンウィークに泣きながら読んだ本があります。
教師になりたい人にぜひ読んでほしい、恵まれない小学生の現状を小説にした『空にピース』を紹介します。
一時は教師を目指し、教員免許をとり、教育実習にもいった私にとっては心が痛くなる小説でした。
『空にピース』
【著者】 藤岡陽子
【出版社】幻冬舎
『空にピース』をおすすめする人
- 教師を目指している人
- 大人が気づけない子ども世界を知りたい人
- これから親になる人
- 思いこみの激しい人
『空にピース』心にのこったフレーズからわかること・学んだこと
小説の舞台は東京の中でも貧しいと言われている地区にあり、学力も低いという小学校の6年生のクラスです。
このクラスには、教室から突然いなくなる、自分の感情をコントロールできない、日本語が理解できていないよう、家庭の貧困から夢をもてない、給食を食べに学校に来るなど、問題を抱えた子が複数います。
小説なのでフィクションなんですが、日本のどこかのクラスを見ているような気分になり、のめり込んで一気読みしてしまいました。
小説を読んで、わかること・学んだことはたくさんありました。
①教師という職業の楽しさと難しさ
教師はなんて怖い仕事なのだろう。
教師はなんて幸せな仕事なのだろう。
【p.348 6年生を見送った5年目の教師ひかりの思い】
②困ったら専門家に相談するべき
③社会的に不遇な子どもの過酷な生活
見ようとしなければ見えないものがこの世にはある。
【p.200 5年目の教師ひかりの思い】
④大人からは見えにくい・大人の価値観で判断できない子どもだけの連帯がある
自分が持つ常識だけで子どもたちを見てはいけない。
【p.86 5年目の教師ひかりの思い】
⑤子どもの育て方・接し方がわからない親がいる
⑥子どもが欲しているのは「愛」
子どもに限らず大人でも心から信じられる誰かがいるのは強い。その誰かはたくさんでなくていいの。たった一人でいい。
【p.173 保健室登校の子を見てきた養護教諭の言葉】
⑦自分の正義を振りかざしていないか?と自問した
善意の押し売りはやめてください。
【p.107 先輩教師より】
『空にピース』を読んで思ったこと
問題児といわれる子どもには、問題を起こしてしまう原因が必ずあるならば、原因を見つけて、問題のある子どもたちを助ける方法はあるのだろうか?
具体的な解決策はわかりませんが、子どもは愛を欲していると思うのです。
養護教諭が言っていたように、みんなに愛されていなくても、たったひとりでも、心から信じられる人がいればいいんだと。
先生でも、親でも、祖父母でも、大切な子どもに目をむけて、子どもが信じられる大人がいてあげれば、問題を抱えた子どもを助けてあげられることは格段に増えるはずです。
小説では、教師になって5年目の若い女性先生(ひかり)がクラスの子どもたちを助けようと奮闘し、ある程度の成果をみせます。
子どもに信じてもらえる大人になることが、子どもを助ける第一歩なんでしょうね。
『空にピース』あらすじ
●出版社による本のあらすじ
公立小学校教諭のひかりは、都内の赴任先で衝撃を受ける。立ち歩き、暴力、通じない日本語……。強くならなければ、子どもたちは守れない。
公立小学校の教師になって五年目のひかりは、都内の赴任先で出会った人々に衝撃を受けていた。日本語が話せないベトナム国籍のグエン・ティ・ロン、授業中に教室を出て行く今田真亜紅、不登校気味で給食だけ食べに来る佐内大河、クラス分けに抗議をしにくる児童の母親…。
ひかりの前任者は鬱で休職中。さらに同僚からは「この学校ではなにもしないことです。多くのことを見ないようにしてください」と釘をさされてしまう。
持ち前の負けん気に火がついたひかりは、前向きな性格と行動力で、ひとりひとりの児童に向き合おうとするが……。
虐待、貧困、性暴力――。過酷な環境で生き延びる子らに、悩みながら寄り添うひかりが最後に見た希望とは。
『空にピース』は、子どもと真剣に向き合う若い教師ひかり先生の物語と思いきや、なんと”ミステリー要素”も加わった物語なんです。
ひかり先生の勤務する小学校の元副校長が殺されてしまう事件が起きます!
これだけ読みごたえある本『空にピース』は、ぜったいに読むしかありませんよね。
『空にピース』まとめ
『空にピース』は、子どもたちのピュアな心にほっこりしながらも、子どもにはどうにもならない辛い現実をつきつけられる、読みごたえある小説でした。
感動というよりも、子どもたちのおかれた状況の悲しさに涙してしまいます。
教師になりたい人には、ぜひ読んでほしい一冊です。
教師という職業だからこそ味わる幸せ、そしてその裏にある虚しさ、怖さがわかります。
▼紹介した本
『空にピース』次に読みたい本
『空にピース』の参考図書にあった『ケーキの切れない非行少年たち』 (新潮新書)です。