2021年4月21日更新
不思議な生き物だらけの絵本を描く人気作家のショーン・タン
彼の世界観がわかる本『ショーン・タンの世界』を紹介します。
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『ショーン・タンの世界』
ショーン・タンとは?
ショーン・タンは1974年生まれ、オーストリア(お父さんは中国人でお母さんがオーストラリア人)の作家です。
写真で見るショーンさんは、やさしい顔をした若々しい少年のようなおじさんです。
9年かけて映画化した『ロスト・シング』で2011年2月の第83回アカデミー賞短編アニメーション賞を受賞しています。
ショーンさんの代表作は本『アライバル』
2004~2006年に制作されたこの本は言語はなく鉛筆で細かく描かれた絵だけの絵本。
家族を守るために新天地に渡った男の物語を軸にした移民の姿が描かれています。
『ショーン・タンの世界』の内容
1章ごとに1作品を取り上げて、作品ごとの原画・スケッチ・絵コンテが紹介されています。
取り上げられている作品は『アライバル』『ロスト・シング』『遠い町から来た話』『夏のルール』『内なる町から来た話』です。
第5章では、絵本作品とは別にタンが訪れた世界各国の都心情景の油彩絵画が紹介されています。
絵本のタッチとは違った油彩絵画もタンらしく、不思議で大胆な色使い、筆遣いが楽しめます。
ショーン・タンへのインタビュー
本の特別収録として、ショーン・タンのインタビュー記事があります。
インタビューでは主にショーンさんが描いてきた今までの個々の作品についてあれこれを語っていて、最後は日本のファンへのメッセージ、特にアーティスト・アートを目指す人への応援で締められていました。
ショーンさんは子どものころから日本文化に触れていたそう。
茶箱
日本人としてショーンさんにとても親しみを感じます。
ショーンさんのやさしい人柄や、仕事への愛情・情熱が伝わるインタビュー内容です。
ショーン・タンの衝撃作品『セミ』
実は私つい最近までショーン・タンを知らなかったのですが、ほんの数か月前に本屋さんで大々的に販売されていたショーン・タンの絵本『セミ』の表紙を見て衝撃を受けました。
なぜかスーツを着たセミが大きな目でこちらをじっと見て立ち尽くしている、不気味すぎる表紙。
茶箱
夜にひとりでこの表紙をみたら「ひゃー」と声を上げて驚くかも。子どもなら怖くて泣いちゃうかもしれません。
おそるおそる本を手に取り読んでみると、絵の不気味さに加えて本のストーリーもかなり強烈。
本の途中では心が痛くなりまし、最後も気持ちわるい読了感が残りました。
茶箱
なのに、こわいもの見たさなのか?なぜかかまた読んでみたくなる不思議な本なんですよ
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セミの着ている“手が4本バージョンのスーツ”が笑えます。
不思議な生き物がたくさんショーン・タンの世界
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ふつうの人間や動物はどこにいるのかな?と探してしまうくらい、本に載っている原画、スケッチには不思議な生き物がうじゃうじゃいます。
どうしてこんなに面白い不思議な生き物を想像できるのだろうかと思うぐらいです。
数年前に日本でも話題になった<バベルの塔>を描いたブリューゲルの世界のようです。
日本でいうなら水木しげる先生が描く妖怪ワールドのような感じかな。
今後「ショーン・タンの不思議生き物図鑑」をぜひ出版してほしいです。
茶箱
「不思議な国へ迷いこんだ気分が味わえる本だったな」
『ショーン・タンの世界』は、タンさんの魅力がたっぷり味わえる本です。
タンさんを知らない人も、この本を読んでショーンさんの描く不思議な世界をのぞいてみませんか。