ノーベル賞受賞者発表シーズンになると必ずニュースで名前があがる人がいます。
そう、あの村上春樹さんです。
「今年こそノーベル賞受賞か?」と騒がれ始めてもう何年になるでしょうね。
でも村上春樹作品ファンとしてはノーベル賞を受賞しようがしまいが彼の作品の魅力にはまったく関係ないんです。(そりゃー、もらったらうれしいですけれど)
村上春樹さんの作品の魅力はノーベル賞レベル以上であることがわかる本を紹介します。
『村上春樹語辞典』
【著者】ナカムラクニオ (著), 道前 宏子 (著)
【出版社】 誠文堂新光社
【発売日】2018/7
オールカラー
辞典といえども薄く軽い紙が使われているので、本としての重さは軽めの仕上がりになっています。
村上春樹にまつわる言葉「作品」「登場人物」「キーワード」「関連作家」などがあいうえお順で配列されています。
本の目次が辞典掲載言葉の一覧にもなっていますよ。
言葉のひとつひとつに関連する本や元々の掲載本が明記されているので作品に戻ってその言葉を探すことも可能です。
巻末には作中に登場する場所が紹介された「おさんぽマップ」がついています。
辞典とは別の特集がおもしろい
村上春樹ワールドのキーワード9つ
「謎の女」
「ドーナツの穴」
など、いろいろな村上春樹作品に共通して出てくるキーワードは村上春樹ワールドを楽しむのに欠かせないものです。
村上春樹クロニクル
①小説を書く彼の人生
②村上春樹作品の年表
横軸に“年代” 縦軸に“ファンタジーとリアル”を軸にして作品が並んでいるます
③作品の相関図
4つの系譜「リアリズム」「ファンタジー」「総合小説」「喪失と巡礼」に分かれた短編と長編の関りが書かれています
リアルであっても現実感のないような世界が広がる村上作品たち。
母から譲り受けたこの赤と緑の『ノルウェイの森』は表紙が印象的だった
コラムも読みごたえたっぷり
比喩
村上作品における魅力のひとつ「比喩表現」
作中にでてくるやけにおしゃれな比喩にうっとりすることもありますし、「なんじゃそれ!」とツッコミたくなることも。
この独特の比喩表現にどっぷりはまってしまう人も多いはず。
「寝不足のおかげで顔が安物のチーズケーキみたいにむくんでいた」
『世界のハードボイルド・ワンダーランド』より
ブックデザイン(装丁)
世界50か国以上に翻訳されている村上作品のブックデザイン(装丁)がまとめられています。
『ノルウェイの森』や『1Q84』『海辺のカフカ』などなど、各国のブックデザインを比較できるのはおもしろいですよ。
村上さんといえば佐々木マキさんのイラスト。
かわいくて好きという人多いですよね。
ざんねんながら日本のブックデザインはここに並んでいないのですが(辞典のなかで見ることはできます)、私はやっぱり日本のデザインが一番好きですね。
村上春樹図書館
☝初期の頃の村上春樹解読書
学生時代、村上ワールドが不明すぎてかなり真剣に読みました。
村上春樹研究書や解説書を集めて紹介しています。1980年代から続々と出版され雑誌を含めると100冊以上になるそうですよ。
☝最近の雑誌として発行された村上春樹づくし本
村上春樹さんの魅力が詰まった辞典だった
村上春樹さんの小説を初めて読んだ大学時代。あの時の衝撃は今でも記憶に残っています。
それまで正統派の小説しか読んだことのなかった私は特徴的な口語的な文体、どこかおしゃれな村上ワールドにどっぷりはまりました。
作品だけでなく、昭和に活躍した作家のイメージと違って健康的で、猫を愛していて、奥さまと仲良しで、文壇との関りを持たずにマイペースという村上春樹さんの生き方も憧れでした。
一見普通でリアルなのに、哲学的だったり夢のようだったり霊的だったり宗教的だったりと独特の村上ワールドの作品たち。その村上ワールドを一気にまとめて知ることができるこの本は私にとっては宝物のようです。
デビュー当時から今でも印象の変わらない村上春樹さん。
村上さん、今日もどこかでマラソンをして部屋でジャズを聴きながら作品を書いているのでしょうか?
ランチはパスタかな?
☝コラムやインタビューから等身大の村上春樹さんを知ることができます。
まとめ
いかがでしたか?
「村上春樹辞典」は、彼がノーベル賞を受賞しようがしまいが村上春樹の魅力があふれでる本です。
さらにこの本からあなたがまだ読んでいなかった村上春樹作品や、今まで気づいていなかった村上春樹の魅力を見つけることもできるかもしれませんよ。
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