2021年4月17日更新
古内一絵『マカン・マラン』シリーズ4冊
☝かわいい表紙も魅力
おかま、いえいえ身長180センチを超える美男子ドラァグクィーンのシャールさんが店長を勤める夜食カフェがマカン・マランです。
マカン・マランは昼はダンス衣装を販売するお店なのですが、夜になるとダンス衣装をつくるお針子さんの夜食を兼ねてカフェに変身するのです。
茶箱
「マカン・マラン」は、ほんとうにお店を必要とした人しかたどり着けない謎のお店ともといわれているのよ
なぜなら、悩める人々が迷いこんでやってきてしまう不思議な夜食カフェなの
『マカン・マラン』シリーズには計16人もの悩める人が登場するわ
16人のなかにはあなたと同じような悩みを持った人がいるかも
不思議な「マカン・マラン」の魅力をたっぷり紹介しますね
古内一絵『マカン・マラン』シリーズ4冊
作者は古内一絵さん
第一弾『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』
第二弾『女王さまの夜食カフェ マカン・マラン ふたたび』
第三弾『きまぐれな夜食カフェ マカン・マラン みたび』
第四弾『さよならの夜食カフェ マカン・マラン おしまい』
の4冊で完結しています。
『マカン・マラン』シリーズが初めて登場したのは2015年、昨年2018年に完結しました。
全巻を通して一話一話読み切りのスタイルで、第一弾は現在(2019年)6刷となっている人気シリーズ本です。
『マカン・マラン』シリーズは読みやすい文章で登場するおいしそうな料理や強烈キャラクターはストーリーを想像しやすいので、一気に私たちを「マカン・マラン」の世界に引き込んでしまいます。
本には難しい文字にルビがふってあるので中学生や高校生でも読めるレベルです。
学生さんではちょっとわかりにくいストーリーもあるかもしれませんが、中学生が登場するストーリーもありますので楽しんで読めますよ。
強烈なキャラクター
最初からほぼ毎回登場するキャラクターは3人
●50歳くらい身長180センチを超える美男子、ドラァグクィーンのシャールさん
●お店で刺し子として働く口が悪い元ヤンキーのジャダさんも同じくドラァグクィーン
●シャールさんの旧友高校教師でメタボ体形の柳田さん
マイペースなシャールさん、シャールさんを姉さんと尊敬しなついているジャダさん、そしてふたりの間で違和感たっぷりドラァグクィーンのシャールさんにいまいち慣れない、ジャダさんと口喧嘩の絶えない柳田さん、三人のやり取りが爆笑レベルで笑えます。
「マカン・マラン」の料理
マカン・マランで食べられる料理はシャールさんが作るお夜食。
夜遅くに食べても胃にやさしい野菜たっぷりの食事メニューになっています。
実は重い病気を抱えているシャールさんは、病気のために独学でハーブや雑穀の勉強をしていて、マクロビオティックを参考にした料理をつくります。
おやつや食事だけでなく、その人の体質や現状にあわせたお茶をサービスしてくれるのも見逃せません。
●皮つきハトムギとトウモロコシの髭のお茶
●バタフライピー(蝶豆)のお茶 ローズマリーとレモングラスをブレンド
●蕎麦茶によもぎとひえをブレンドしたお茶
●プーアルとミントの他に大麦ともちきびをブレンドしたお茶
など、本格的です。
茶箱
本の巻末には参考にした本がたくさん掲載されているので、「マカン・マラン」のメニューが気になった方は自分でも挑戦してみてはいかが
悩める登場人物は自分かも?
『マカン・マラン』シリーズは4冊で全16話。
『マカン・マラン』シリーズを読んでいると「あれ?これって自分のこと?」と思うほど自分に似た登場人物に出会えます。
茶箱
登場人物は身近にいそうな普通の人たち
「自分も次に登場しちゃうんじゃないかしら!」と思ってしまうわ
しかもおもしろいことに登場人物は巻をまたいでシリーズ内で登場します。
読んでいると「あ~、この人知ってる!」「この人久しぶりに登場だ。」「あの人、あの後も頑張っているんだな~」とキャラクターに感情移入できますし、一度登場したキャラのその後を知ることができるのもこの本の魅力になっています。
茶箱
唯一周りにいないかもと思うのは「マカン・マラン」の店長シャールさんとジャダさん
とっても残念
私の家の近くに「マカン・マラン」があればいいのに
心に響きやさしさ
『マカン・マラン』シリーズは、どのストーリーを読んでも、自分とはまったく関係ないストーリーであっても、なぜか泣けてきてしまう不思議な本なんです。
ストーリーからその人の悩みの苦しさが伝わってきて、それをそっと支えてくれるシャールさんのやさしさがぎゅっと心にしみます。
そのうえ体に優しいものを食べて、その食べたものを活力にして元気になって、明日からまた一歩一歩自分なりに進んでみようと思う登場人物と自分を重ね合わせて、自分も頑張ろうと勇気をもらえます。
茶箱
シャールさんのやさしさは難しい言葉でもなく説教じみてもいない
なのに心に響く、自分を信じて大事にしてあげたくなる
「マカン・マカラン」を訪れると自分を大事にすることの一歩が、おいしいもの体にいいものを食べることなんだと気づくはずよ
夜食カフェ「マカン・マラン」のメニュー
『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』
①メニュー:キャセロール
悩める人:20年勤めた会社で早期退職者募集の対象となった塔子
②メニュー:お米パン
悩める人:突然母親のつくる料理を食べなくなった中学1年生の璃久と、璃久の学校の先生でもありシャールさんの旧友でもある柳田先生
③メニュー:サラダ
悩める人:仕事にもこれからの人生にも悩む、新しい一歩を踏み出したい気持ちはあるさくら
④メニュー:アドベントスープ
悩める人:シャールさんを姉と慕いシャールのお店でお針子として働くジャダ マカン・マランの危機に立ち向かう
『女王様の夜食カフェ マカン・マランふたたび』
①メニュー:蒸しケーキのトライフル
悩める人:職場の人間関係に悩む派遣社員の真奈
②メニュー:竜田揚げ
悩める人:実家を継ぐべきか自分の夢を追うべきが悩む裕紀
③メニュー:トルコライス(トンカツ手作りソースつき)
悩める人:完璧主義のがんばりや、子育てに悩む未央
④メニュー:七草うどん
悩める人:娘と意見が合わない、親子関係に悩む高校教師柳田(シャールさんの旧友)
『きまぐれな夜食カフェ マカン・マランみたび』
①メニュー:苺シロップ
悩める人:「けなす」だけのブログを書くのは自分が不幸だから仕方ないと思っている綾
②メニュー:ジュンサイ冷や麦
悩める人:幼いころから夢みた仕事に就くことができず引きこもり気味の省吾
③メニュー:スープカレー
悩める人:高層マンションに住む仮面夫婦を演じている美魔女の燿子
④メニュー:タルトタタン
悩める人:マカン・マランを含めた一帯の地主、終活を始めようとしている独居老人の比佐子
『さよならの夜食 マカン・マランおしまい』
①メニュー:さくらんぼのティラミス
悩める人:自分の家庭環境の異なる人が集まる名門女子高で友達関係に悩む希実
②メニュー:キャロットケーキ
悩める人:料理界で成功した庸介、あることをきっかけに仕事がうまくいかなくなってしまう。
③メニュー:たまごスープ
悩める人:だれもがうらやむような結婚をしたはずなのに、自分に自信のない「トロフィーワイフ」更紗
④メニュー:ガレット・デ・ロウ
マカン・マランの店長シャールさんと今までの登場人物がそろう
まとめ
『マカン・マラン』シリーズはいかがでしたか?
ひとりひとりの悩みに合わせた優しいメニューを調べてみました。
おいしいお料理とシェールさんのあたたかなやさしさが、心にキュンと響く小説でした。
茶箱
ストーリーのおもしろさ、登場人物の強烈な個性
NHKあたりがドラマ化しそうだわ