原宏一さんの『間借り鮨まさよ』を読みました。
茶箱
「自分はどんな人なのか」をいま一度考えてみたい人、自分を見つめなおしてみたい人におすすめ本だったよ
また『間借り鮨まさよ』と合わせて読みたいおすすめ本も紹介しています。
『間借り鮨まさよ』
【著者】原宏一
【出版社】双葉社
【出版年月】2023年1月
「のほほんと笑って生きること」「必要以上に儲けなくて良い」
雅代さんの生き方は、上を上を目指して、おカネをどんどん儲けようという生き方ではありません
自分の仕事で誰かが喜んでくれるのを嬉しく思い、そのために働いている雅代さん
そんな雅代さんの気持ちが本からあふれでているから、読んでいても気持ちよい
だれもが雅代さん自身、雅代さんの鮨のとりこになってしまいます
ぽっちゃりしたおばちゃん、雅代さん
江戸前鮨を握ったら、グルメもうなる職人さんに大変身
人情に厚く、人を喜ばせることが大好き
「雅代さん最高です!」
悩める人たちが訪れる飲食店の物語は多くありますが、『間借り鮨まさよ』は逆パターン。
悩める飲食店経営者の元に寿司職人の雅代さんが現れます。
雅代さんの働き方、生き方を知った悩める経営者たちは、最初は怪しんでいた雅代さんにポロリと悩みを話してしまうのです。
雅代さんと1回2回会うだけでなく、何日も顔を合わせて、話をして、お互いにどんな人かをきちんと知ったうえでの雅代さんの言葉は、悩める人たちの心をうちます。
「のほほんと生きること」「必要以上に儲けなくて良い」
雅代さんのアドバイスは「ああした方がいい、こうした方がいい」と直接的にアドバイスをくれるわけではありません。
その人の働き方を見て、人柄を知って、周りの人たちを見て、雅代さんは自身の経験を踏まえたアドバイスを会話の中に添えてくれます。
雅代さんのアドバイスは親しみやすく、ときには厳しく、でも愛がある。そして悩める人たちのためにそっと行動してくれる。
雅代さんの言葉は、悩める人が自分で自分自身を振り返り、知ったうえで、自分はどうしたらいいのかを気づかせてくれるのです。
鮨だけでなく、スペイン料理やお菓子、食堂料理も楽しめちゃう”おいしい本”でもありますよ。
茶箱
「まさよ」シリーズ化してほしいな
本の内容
3編の連作中編小説
中編なので1編ごと読みごたえがあります。
いつもニコニコほっこりさせる笑顔の普通のおばさんなのに、鮨を握らせた銀座の一流職人も顔負けの腕前。自分の店は持たず、間借りで鮨屋を開く雅代。そんな彼女のところには悩める若者や困りごとが舞い込んでくる――。鮨だけではなく、人の心と胃袋も握る雅代さんの魅力あふれるハートウォーミング鮨小説。
心に響いた言葉・フレーズ
「のほほんと笑いながら生きるには数多の葛藤を乗り越えて自立しなければならない。何をすべきか、何をすべきでないか、常に人の気持ちを察しながら関わっていかなければならない」
【p.290より引用】
あわせて読みたいおすすめ本:間借り繋がり本
標野凪さんの『占い日本茶カフェ迷い猫』をおすすめします。
如月たんぽぽは、全国あちこちにでむき、小さなスペースを間借りして出張日本茶カフェ「迷い猫」を営む。そこで緑茶を出し、なんと占いもしちゃうのです。
たんぽぽさんは、訪れた先で占いがてらお客さまの悩みを聞いていきます。
そしてお茶を飲みご当地のお菓子を食べながら、そっとお客様の悩みに寄り添ってあげるのです。
地元の湧き水をつかって丁寧に淹れたお茶と、お茶に合わせたご当地のおいしそうなお菓子、ご当地の焼き物から選んだ器(茶器)、そしてたんぽぽさんのお茶の知識が悩める人たちに何かを気づかせてくれます。
福岡、仙台、東京、米子、奈良、静岡と日本各地を巡ります。
こちらも、自分自身を見失っている人におすすめの本です。
*連作短編集
紹介した本のまとめ
茶箱
気になったら読んでみてね
●間借り鮨小説
●間借り日本茶カフェ小説
▼2023年中学受験で出題された本をまとめた記事も合わせて読んでみてくださいね