2022年2月6日更新
前向きに明るくなれるのは、アッコちゃんの”喝”と、5日レッスンと、おいしい食事のおかげ。
【柚木麻子】アッコちゃんシリーズ は、こてこてのビジネス本ではないのに、読むと仕事に前向きに取り組みたくなる不思議なお仕事小説です。
本に出てくるちょっとちょっとのセリフやアドバイス、行動、発想はすぐに仕事や生き方に役立つことばかり。
アッコちゃんシリーズを読むと、明日から仕事への向き合い方が変わるはずですよ。
3冊とも、おいしいお仕事小説です。
『ランチのアッコちゃん』
一作目はランチ編。
伝説(笑)のコンビ、アッコさんと三智子は同じ仕事場で、部長と派遣社員として知り合います。
真面目に仕事に取り組んでいるいい人なんだけれど、覇気を感じない三智子
自分に自信の持てない三智子
なんだかうじうじしちゃう三智子
はっきり自分の意見が言えなくて後から後悔しちゃう三智子
あれ?これって私のこと?って思う人も多いはず。
そんな三智子がどんどんアッコパワーによって変わっていきます。もともと本当はもっていた三智子自身の魅力が上手に発揮できるようになるんです。
突然変異のようにスーパーウーマンになるわけではないのが、小説といえどもリアル感があって好感が持てます。自分も三智子のようになれそうって思えるんです。
だって、いきなり自分がヒラリー・クリントンやナンシー・オバマのようになれるわけではないじゃない(笑)
4つの短編集
● アッコちゃん&三智子の作品が2編
● 残り2編にも、作中にアッコちゃんらしき影はみえかくれする
『3時のアッコちゃん』
2作目は3時なのでおやつ編。
派遣社員だった三智子がなんと一流商社の契約社員になっています。
三智子がアッコちゃんのアドバイスに従って、イギリスのティーサービスの風習を会社の会議に持ち込んで、仕事の行き詰った問題に立ち向かうストーリー。
日本ではなかなか理解しずらい状況ですが。
おいしいお茶とおやつで会議が潤滑にすすむのは、おやつ大好き人間としては大納得しました。
ティーサービスまでいかないまでも、仕事中にコミュニケーションツールとしてお菓子を使っている人も多いはず。
私もちょっと苦手な人にはお菓子をおすそ分けすることで、話しかけるようにしていますし、お菓子をくれる人に悪い人はいないはずと思っています(笑)。
4つの短編集
● アッコちゃん&三智子の話が1編
● アッコちゃん&ブラック企業にお勤めの明海の話が1編(三智子も登場)
● 他2編は働く女子の話(またまたアッコちゃんらしき姿がちらちら
『幹事のアッコちゃん』
とうとう三作目
アッコちゃん&三智子は元気なのかしら?
『幹事のアッコちゃん』はついに、”オールアッコちゃん”になった短編集になっています。
アッコちゃんの風邪をひいて弱った姿もあり、アッコちゃんの完璧ではない人間として弱い部分も見える「アンチ・アッコちゃん」
さらに、お稽古をしているんだけれどもちっとも上手くならないアッコちゃんのかわいい一面もみえる「ケイコのアッコちゃん」
今までの強くてすごいアッコちゃんではない部分が見える作品で、読みごたえあります。
三智子も正社員に昇格していて、後輩・部下との仕事に悩むようような立場になっています。
まだまだアッコちゃんの”喝”と5日レッスンが必要かな?と思いきや、最後には大きく成長した姿をみせてくれます。
なんとなくアッコちゃんシリーズの終焉を予測させるような内容で本は終わってしまいます。
でも、またいつかアッコちゃんもどってきてほしい。
短編集
● すべてアッコちゃんの話
【柚木麻子】アッコちゃんシリーズの魅力は?
茶箱
元気がないとき、仕事にいきづまったとき、自分に自信がもてなくなったときに、弱った自分に「喝」をいれてくれるアッコちゃん。
大人になると叱ってくれたり、アドバイスをくれる人が少なくなって自分で悩みを解決しなくてはならなくなる。
そんな大人にありがたい本です。
くいしんぼさんにはうれしいことにアッコちゃんの「喝」はおいしい食事つき。
おいしいものを美味しく食べてこそ、悩みに前向きに立ち向かえる元気がでるんですよね。