角野栄子さんの本『イコ トラベリング 1948-』を読みました。「どんな本なのか」「子どもに読んでほしい本か」教えちゃいます。
『イコ トラベリング 1948-』は、角野栄子さんの自叙伝小説になっています。
また『イコ トラベリング 1948-』と合わせて読みたいおすすめ本、中学受験で出題された本から、同じ作家の本、同じテーマの本も紹介しています。
茶箱
興味をもったら一歩踏み出そうと教えてくれる本だったよ
『イコ トラベリング 1948-』
【著者】角野栄子
【出版社】KADOKAWA
【出版年月】2022年9月
『イコ トラベリング 1948-』のおすすめ度
1 おすすめ、ぜひ読んでみて
あの大人気小説『魔女の宅急便』の作者、角野栄子の自叙伝的小説です。
時代は戦後の1948年から、高度経済成長期の1970年代頃の物語になります。
英語や海外といった新しいものに興味しんしん、新しい世界に憧れる主人公のイコちゃん(角野栄子さん)。
でもイコちゃん、新しい世界はちょっと怖くてビビっちゃう。
でもでも、勇気をだして一歩踏み出すと、おもしろくて、どんどんはまっちゃう。
どの時代にも、だれもが感じたり経験したことのありますよね~。
興味をもったことには、勇気をだして一歩踏み出そうと教えてくれる本です。
イコちゃんは、周り友達、先輩などの人たちにもとても恵まれています。
いい人だけじゃない、イコちゃんの興味を引き出してくれたり、刺激を与えてくれたりします。
また家族(父親)はイコちゃんに、たっぷりの愛を与えてくれます。
自分を愛してくれている人がいるという存在は、イコちゃんの大きな支えとなり、80代後半になってもチャーミングなイコちゃん(角野栄子さん)の「元」なんではないかなと思います。
ひとりの女性の生き方を知るだけでなく、人と人とのつながりの大切さを感じる本でもありました。
『イコ トラベリング 1948-』を実際に読んでみた主観的な判断ですので、参考にしてください。
*おすすめ度は三段階になっています
①おすすめ、ぜひ読んでみて
②読んでみて
③時間があれば読んでみて
本のテーマ・主題
●興味をもちつづける大切さ
●一歩踏み出す勇気をもつ
●思春期の気持ち
●人と人とのつながり
主人公はどんな人?
◆イコちゃん(角野栄子さん)
中学2年生から社会人になるまで
本の内容
連作短編小説(章ごとに時代(イコちゃんの年齢)が変わる)
角野栄子さんの自叙伝的小説
1948年、終戦後の日本。中学2年になったイコの周囲には、やけどを負った同級生や傷痍軍人の物乞いなど、今だ戦争の傷跡が多く残されていた。母を早くに亡くしいつも心のどこかに不安を抱えるイコだったが、英語の授業で習った【~ing=現在進行形】にがぜん夢中になる。「現在進行形、今を進むという事!」急展開で変わっていく価値観に戸惑いながら、イコは必死に時代をつかもうとする。そして「いつかどこかへ行きたい。私ひとりで」そう強く願うようになる。でもまだ、日本からの海外渡航が許されない時代。手段も理由も見つからないまま大学を卒業したイコに、ある日大きなチャンスが巡ってくる……。
「魔女の宅急便」の著者・世界的児童文学作家、角野栄子の『トンネルの森 1945』に続く自伝的物語。
戦後の日本を舞台に、懸命に自分の路を探す少女の成長をエスプリとユーモア溢れるタッチで描く著者の原点ともいうべき作品。87歳、角野栄子は今も現在進行形だ!
読みやすさ
読みやすい
読める年代は?
小学校高学年くらいから中学生向け
心に響いた言葉・フレーズ
「自由にしたらいい。自由、自由だよ。これからは君たちが世界の中心になるんだぞ。」
【p.138 高校時代の先生の言葉】
「勝手でいいんだよ。何事も自分から出発しないと変わるものも変わらないよ」
【p.288 職場の先輩の言葉】
あわせて読みたいおすすめ本:同じ作家編
作家:角野栄子さん
2016年、難関中学校の筑波大学附属駒場中学校で出題されたのは、角野栄子さん自叙伝的小説の1作目『トンネルの森 1945』です。
太平洋戦争さなか、小学4年生のイコちゃんが生まれたばかりの弟と三人で千葉の小さな村に疎開することになる物語です。
【アマゾンに試し読みあります】
『イコ トラベリング 1948-』と合わせて読むのを、おすすめします。
あわせて読みたいおすすめ本:同じテーマ編
自叙伝的小説、実在した人の本を紹介します。
まずは、中学受験にチョコチョコ出題される井上靖さんの自叙伝的小説『しろばんば』をおすすめします。
舞台は大正初期の伊豆湯ヶ島。作者のともいえる洪作少年と、おぬい婆さんとの暮らしが物語になっています。
中学入試に出題された確認はできていない本ですが、おすすめしたい2冊があります。
まずは、柚木麻子さん作、恵泉女学園の創始者、河井道の生涯を書いた物語『らんたん』(出版社:小学館)です。
かなりの長編小説ですが、大正時代から昭和初期、戦中の時代などの日本女性教育のあれこれを知れちゃう本です。
豪華な登場人物、津田梅子、野口英世、伊藤博文なども登場しますよ。
もう一冊は、2023年春のNHK朝ドラマ「らんまん」の主人公になる、日本植物学の父、牧野富太郎の人生を描いた物語、朝井まかてさんの『ボタニカ』(出版社:祥伝社)です。
こちらもかなり長編小説ですが、おすすめです。
植物オタクの牧野さんの生き方は、お金にも女にもちょっと緩くないかしら?と思ってしまうほどですが、なにかを成し遂げる人の熱意はこれくらいが当たり前なんですよね(笑)
ちなみに牧野博士は造り酒屋のお坊ちゃまで、若い頃はイケメンだったそうですよ
私的には『らんたん』も『ボタニカ』も中学入試に出題されそうな予感があります。
まとめ
角野栄子の自叙伝的小説『イコ トラベリング 1948-』は、中学時代から社会人になるまでの人生のなかで、いろいろな岐路にたったとき、彼女が何をもってその道を選んできたかを教えてくれる本でした。
弱気になっても、自信がなくても、一番に大事にしていたのは「興味」があること。
いつの時代、世代でも、「興味のあること」を選択しながら生きていける人生をおくりたいなと思える本でした。
子どもも大人にも、ぜひぜひ読んでほしいです。
茶箱
気になったら、読んでみてね