「修道院のお菓子と手仕事」
【著者】早川茉莉 柊こずえ 著
【出版社】大和書房
「自分の知らない世界」をのぞくのって、ワクワクします。
「マツコの知らない世界」というテレビ番組が人気なのも、マツコさんの毒舌?や素直な意見もさることながら、自分とまったく関係のない新しい世界が、毎週繰り広げられることが、人気の秘密なんではないでしょうか。
今回は、私の知らない世界「修道院の世界」をのぞいてみたいと思います。
可愛い本だけど
優しいピンク色のかわいらしい表紙の本です。
ところで、表紙のおいしそうなクッキーやらあたたかそうなルームシューズは修道院とどんな関係が??あるのでしょう。
なんと、これらの素敵なクッキーや雑貨は修道院でつくられてるものなんです!!
表紙に写っている
クッキーは大分トラピスト修道院「トラピストクッキー」
ルームシューズは山口カルメル会修道院、
3体の陶器のお人形は伊万里の聖母トラピスチヌ修道院
でつくられています。
本のおすすめポイント
●それぞれの修道院でつくられるお菓子の魅力
●シスター手作りのルームシューズ、石鹸、伊万里の陶芸人形など雑貨のかわいらしさ
●日本各地の修道院を直接巡る旅
●修道院での生活の一部を知ることができる
●修道院のかわいいお菓子箱、紙もの、メッセージカードのコラム
●すべてオールカラー。
私の一番のおすすめポイントは、修道院でつくられるお菓子の紹介です。
素材が持っているおいしさ。
それは神様からいただいたもの。
上の言葉は、著者がシトー会伊万里の聖母トラピスチヌ修道院を訪れたときに聞いた、シスターのお菓子作りに対するお言葉だそうです。
私のように無宗教の人間にとってみると「神様?って」からスタートになってしまいますが、そこは気にせず天から自然からの贈り物なんだと解釈しました。
そう思うと、なにもかもが大事な素材に思えてきます。
感謝を忘れずにいただく気持ち大きくなりました。
それにしても、修道院でつくられているお菓子ってどれもこれも「かわいい」のに驚きます!!
修道院の世界とは?
宗教全般には、まったく無意識の私ですが、なぜか小さなころから教会やお寺に興味があります。
あの中では、どんな生活・暮らしがおこなわれているのだろうか??
私のイメージは質素なものを食べ物を食べていることぐらい(笑)でしたが、この本を読むことで、ほんの少しですが「修道院の世界」をのぞき見た気がします。
質素な食事のほかに、祈る時間が多いこと、お菓子をつくったり農作業をしたりと労働時間もあることを知りました!!
修道院の一日は七回の祈りを柱とし、全員が聖堂に集まって祈ります。この七回の祈りは、聖務日課と言われ、修道院の生活の骨格を成しています。
「そんなに祈るんだ~。」というのが私の素直な驚きの感想。
ちなみにこの本は、修道院に入りましょうとか勧誘の要素は一つもありませんよ(笑)
修道院のことを知ると、修道院ではこんなにかわいいお菓子や雑貨をつくって、販売しているんだという事実にビックリするはずです。
この愛に満ちたお菓子を食べてみたい気持ちになりますよ。
本で取り上げられたお菓子や雑貨は、それぞれの教会に買いに行くことができるようです。
本の中には、各修道院の場所や、修道院の売店を訪れる時の作法も書かれていますので参考にどうぞ。
まとめ
宗教に関係なく心に響く言葉があったので書いておきたいと思います。
「人が生きるのは、答をみつけるためでもないし、だれかと、なにかと、競争するためなどでは、けっしてありえない。ひたすらそれぞれが信じる方向にむけて、じぶんを充実させる、そのことを、私たちは根本のところで忘れて走ってきたのではないだろうか」
関川夏央さんの『砂のように眠る むかし という時代があった』(新潮文庫)の巻末に収録されていた須賀敦子さんの解説の一文
私は、普段は日々の生活のなかで「生きる」ことについて真剣に考えることはほとんどないのですが、こんな素敵な本を読んだ時ぐらい、自分の「生きる」ことについて考えてみたいなと思いました。