窪美澄さんの本『タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース 』を読みました。「どんな本なのか」「中学・高校受験生におすすめか」を教えちゃいます。
また『タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース 』と合わせて読みたいおすすめ本、中学・高校受験で出題された本から、同じ作家の本や同じテーマの本も紹介しています。
茶箱
「生と死」は、つながっていることを教えてくれる本だったよ
『タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース 』
【著者】窪美澄
【出版社】筑摩書房
【出版年月】2022年12月
★アマゾンに試し読みあり
★中学受験・高校受験に出題されるとすると2024年以降では
『タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース 』のおすすめ度
1 おすすめ、ぜひ読んでみて
2022年『夜に星を放つ』で直木賞を受賞した作家、窪美澄さんの新境地作品と言われている本です。
主人公は、東京の古びた老人ばかり住んでいる「死」がつねにまとわりついているという団地に姉と二人で暮らしている病弱の妹、みかげちゃん。
彼女は夜間学校に通い初めて友達ができたり、団地の見守り隊に参加し始めることで、世間のいろんなことに気づき始めるのです。
物語は、15歳で高校1年生のみかげちゃんが「死が気になる日々」「未来が見えない日々」をこえて、生きる希望をもち終わります。
もちろんその結末は良かったのですが、「良かった!」と思うよりも、みかげちゃんが16歳まで将来が楽しみなんて思えない日々を過ごしていたなんてと思うと、悲しくなってしまいました。
「生きる」物語でありながら、対極にある「死」が常につきまとう、「生」と「死」はつながっていることを教えてくれる物語でした。
読書に慣れている子なら小学校高学年生から読めると思います。
『タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース 』を実際に読んでみた主観的な判断ですので、参考にしてください。
*おすすめ度は三段階になっています
①おすすめ、ぜひ読んでみて
②読んでみて
③時間があれば読んでみて
本のテーマ・主題
●「生」と「死」
●「家族」の在り方
●友情
●人とのつながり
主人公はどんな人?
◆夜間学校に通う高校1年生のみかげちゃん
本の内容
長編小説
気になった箇所
●姉の仕事(デリヘリ)の話しあり
●時間の経った死体の描写文章あり
とある団地で5歳上の姉・七海と暮らすみかげ。父とは死別し、母は数年前に出て行ったきり。家計を支える姉に心苦しさを覚えながらも、ぜんそく持ちで、かつ高校でいじめに遭い定時制高校に通っていることもあり、自分の無力さにうちひしがれて、未来に希望が持てず「死」に惹かれはじめる。そんな彼女の前に団地警備員を名のる奇妙な老人・ぜんじろうが現れ、みかげの日常が変わっていく――
読みやすさ
読みやすい
読める年代は?
読書に慣れた小学校高学年くらいから 中学生向け
心に響いた言葉・フレーズ
「将来のことを考えて、それが楽しみなんて思うのは、生まれて初めてのことだった」
【p.221 みかげちゃんの言葉】
「世の中に「うちは正しい家族です」なんて胸を張って言える人なんて何人いるんだろうな」
【p.175 みかげちゃんの言葉】
あわせて読みたいおすすめ本:同じ作家編
作家:窪美澄さん
2023年2月、海城中学校の入試で出題されたのは、窪美澄さんの『夜に星を放つ』に入っている短編「星の随に」でした。
2022年『夜に星を放つ』は直木賞を受賞しています。
『タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース 』と合わせて読むのを、おすすめします。
あわせて読みたいおすすめ本:同じテーマ編
藤岡陽子さんの『海とジイ』を紹介します。
2020年度の立教池袋中学校、横浜雙葉中学校の中学入試で出題された本です。
3つの短編が入った本ですが、「生」「死」について考えるなら1作目の「海神~わだつみ」がおすすめです。
また3つめの物語「波光~はこう」は、主人公は高校生、友情がテーマになっている作品なので、小中学生でも感情移入して読める短編になっています。
まとめ
窪美澄さんの『タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース 』は、「生」と「死」の表裏一体を教えてくれる本でした。
子どもも大人にも、ぜひぜひ読んでほしいです。
茶箱
気になったら、朝読書の時間に読んでみてね