2022年、公立高校入試で出題された小説はどんなものがあったのだろうか?
私立中学入試に出題された本を読むのが大好きな私。
中学受験で出題される本は大人が読んでも面白いものばかりなので、高校入試に出題された本もぜったいに面白いはずですよね。
期待をこめて、さっそく調べてみました。
結果。
期待通り、2022年公立高校入試で出題された小説は「読書が楽しくなる」ほど、面白いものばかりでした!
茶箱
小学生(高学年)から中学生、高校生でも楽しめる内容の本なので、朝読書にもおすすめよ
*本のリストを見たい方は、目次から一気に見られる「2022年公立高校入試で出題された小説8冊」を選んでくださいね。
- 兵庫県・広島県『櫓太鼓がきこえる』
- 神奈川県『水野瀬高校放送部の四つの声』
- 東京都『雪のなまえ』
- 埼玉県『お探し物は図書室まで』
- 群馬県ほか『ヨンケイ』
- 福島県『オリオンの上』
- 山梨県『あめつちのうた』
- 茨城県『エレジーは流れない』
- 【2022年公立高校入試で出題された小説】8冊のまとめ
兵庫県・広島県『櫓太鼓がきこえる』
【著者】鈴村ふみ
【出版社】集英社
【出版年】2021年2月
主人公:高校を中退した17歳の篤
高校を中退し、親との関係が悪化中の篤は、相撲ファンの叔父の勧めで相撲部屋に「呼出見習い」として入門することになる。
弱小の朝霧部屋で力士たちと暮らし、稽古と本場所を繰り返す日々が始まる。
部屋違いの呼出である直之さんといった頼りになる先輩もいるのだが、篤は本番で四股名を呼び間違える失態を演じるなど、しくじってばかり……。
この仕事がやりたかったわけじゃないし、自分に自信はもてないし、だれかに嫉妬したり、親を恨んだり、なにもかも中途半端な篤だったが。
だが篤は、同じ部屋の仲間たち(関取や親方)、また同じ「呼出」として活躍する先輩や仲間との触れ合いを通して、自分を見つめなおしどんどん成長をしていきます。
* 兵庫県・広島県の公立高校入試で出題されています。
★2022年兵庫県公立高校の入試問題で出題されました。
出題箇所
篤はやる気をだしたとたん「呼出」の仕事を失敗する。その夜、部屋に帰り親方から呼ばれるシーン
物語の半ばの部分です。
【参考ホームページ:】
★広島県公立高校の入試問題でも出題されています。
【参考ホームページ:】
茶箱
日本の国技「相撲」の世界がのぞけるのも、この本の魅力よ
大人の私が読んでもおもしろかったわ
▼過去の記事で2回にわたってこの本を紹介しています。
神奈川県『水野瀬高校放送部の四つの声』
【著者】青谷 真未(著)
【出版社】早川書房
【出版年】2021年7月
主人公:高校生の放送部員4人
短編集
衝動的に放送同好会を設立した高校三年生の巌泰司。
一人気ままに活動するはずだったのに、校放送コンテスト出場を目指す1年生の赤羽涼音と白瀬達彦、競馬実況女子の二年生・南条梓が加わり放送"部"として4人の活動が始まる。
友達、家族、将来、それぞれが悩みを抱えながらも、部活を通して青春する高校生たちの物語。
★2022年神奈川県公立高校の入試問題で出題されました。
出題箇所
白瀬達彦くんが主人公の短編
パン屋さんへのインタビューが引き起こしたトラブルから考えた、白瀬くんが「伝える」大切さを放送部員の仲間に説明するシーン
【参考ホームページ:】
茶箱
なんとなく始まった放送部の仲間たちが、お互いを通してどんどん成長していく姿は清々しいわ これぞ青春ね
東京都『雪のなまえ』
【著者】村上由佳
【出版社】徳間書店
主人公:小学5年生の雪乃ちゃん
いじめにあい学校に行けなくなった雪乃。
仕事をやめた父親とふたりで父の祖父母(雪乃の曾祖父母)が住む田舎に引っ越します。が、そこでもいじめがトラウマになり学校に通う勇気がでません。
そんな雪乃をやさしく見守る家族と友達たち。だけど学校に行けないのは”甘え”だという人もいる。
彼女なりにどう生きていけばいいのかを模索しつづける物語です。
★2022年東京都立高校の入試問題で出題されました。
出題箇所
*問題文章は著作権の関係で掲載されていなかったため未確認です。
【参考ホームページ】
茶箱
いじめにあう雪乃ちゃんだけでなく、生きるのに疲れている大人にも読んでほしい本よ
▼過去の記事でこの本を紹介しています。
埼玉県『お探し物は図書室まで』
【著者】青山美智子
【出版社】ポプラ社
【出版年】2020年11月
主人公:人生に行き詰まりを感じている男女5人
短編集
仕事や人生に行き詰まりを感じている5人が、小さな図書室で出会う不思議な図書館司書の小町さゆりさん
迫力満点な見た目で不愛想だけど、悩めるひとたちは、なぜか本の相談だけでなく気づくと自分の悩みをも司書の小町さんに話してしまう。
不思議な司書小町さんがおすすめする本と、本のおまけの羊毛フェルトが彼らの人生を変える!
それぞれの年代や性別によって異なる、仕事の悩みに立ち向かう5人の主人公たち 。
彼らが本当に「探している物」「悩んでいること」は何だったのか?
明日から前向きに生きてみようと、元気になれる物語です。
*「2021年本屋大賞」第2位
★2022年埼玉県公立高校の入試問題で出題されました。
出題短編「浩弥 三十歳 ニート」
イラストレーターに憧れたが、なんとなく人生がうまくいかずニートになってしまったの浩弥の物語
*問題文章は著作権の関係で掲載されていなかったため未確認です。
【参考ホームページ】
茶箱
ここ数年、青山美智子さんは中学入試でも頻出作家さんになっています。今後も、中高の入試では多く出題されそうな気がするわ
▼過去の記事では「お探し物は図書室まで」ほか、青山美智子さんの本を紹介しています。
群馬県ほか『ヨンケイ』
【著者】天沢夏月
【出版社】ポプラ社
【出版年】2021年1月
主人公:離島・大島の渚台高校陸上部男子4人
短編集:陸上部のリレーメンバー男子4人が順番に主人公になる
東京都の離島にある高校の陸上部
久しぶりに4人の男子が揃い400メートルリレーに挑戦することになるのだが、メンバーそれぞれ問題を抱えリレーメンバーの意志の疎通ができず上手くいかない。
天才的な兄の存在から屈折してリレーをやりたがらない1走、自信がなくスランプを抱えたエースの2走、強豪校から逃げてきた転校生の3走、リレーへの思い入れが強いばかりに保守的で頭でっかちな部長の4走アンカー。
クセ、性格、その日の調子などお互いのことをちゃんとわかってこそ、リレーに不可欠な完璧なバトンパスができるようになるため、チームメイトを知ることがリレーには不可欠なのだが。
第一走から順番にリレーメンバー4人一人一人にスポットが当たりながら物語が進んでいく青春スポーツ物語です。
* 群馬県・栃木県の公立高校の入試問題で出題されました。
★2022年群馬県公立高校の入試問題で出題されました。
出題箇所
リレーで第一走:星哉の物語
偉大なる兄の存在に悩んでいる星哉が、悩みの種である兄と会話をするシーン
【参考ホームページ】
★2022年栃木県公立高校の入試問題で出題されました。
出題箇所
リレーで第四走:朝月くんの物語
やる気満々が空回りする頭でっかち陸上部の部長、朝月くんが弟と会話をするシーン
茶箱
だれもがいろんな悩みを抱えながら生きているのよ
悩みがある、苦しいと感じているのは自分だけじゃないんだと、他のひとを思いやる心を持てるくらいの心の余裕をもちたいわね
▼過去の記事でこの本を紹介しています。
福島県『オリオンの上』
【著者】 有島希音
【出版社】文研出版
【出版年】2021年6月
主人公:中学校1年生の麻由子
中学校1年生の麻由子は父親のことで悩んでいる。
幼なじみの朋也の母親と、麻由子の父親がただならぬ仲だというのだ。
それだけでもショックなのに、この不倫は周囲の人にも知られてしまっているようなのだ。
さらに母親からは「あんたができなかったら、結婚なんかしなかったのに」と。
学校に行っても、部活をしても、両親のことが気になって仕方ない彼女を助けてくれたのは、仲間や先生。
そして一番の救いになったのは、頼りないと思っていた父親の不倫相手の息子、幼なじみの朋也だった。
茶箱
大人の私が号泣した本よ!
麻由子の自分ではどうしようもない悩みは、彼女から”生きる意味”すら奪ってしまう……シーンは、涙なく読めないわよ
でもね、悲しみのなかにも、朋也のカッコよさにグッときたり、吹奏楽部の顧問のサヒメ先生のユニークな魅力も味わえる本なのよ
▼過去の記事でこの本を紹介しています。
山梨県『あめつちのうた』
【著者】朝倉 宏景
【出版社】講談社
【出版年】2020年6月
主人公:高校を卒業した社会人1年目の雨宮大地
運動神経ゼロの自分とは正反対の弟、運動神経なしの大地など相手にしない父へのモヤモヤした気持ちから逃げるように大地は、実家を離れ、東京から大阪の甲子園のグラウンド整備を請け負う阪神園芸へと入社する。
負け犬精神のある大地は、成長し日本最高のグラウンドをつくりだすグラウンドキーパーになれるのか?
家族とは理解しあえるのか?
大地と一緒に働く仲間や高校時代のチームメイトなど、彼らの悩み多き生き方も重なり合い、読みごたえのある物語になっています。
華やかな表舞台で活躍している人だけでなく、そこに行きつくまでの人や、その裏で懸命に働いている人たちの、それぞれの人生ドラマ。
野球のもつ熱気、本音のぶつかり合い、誰かを想う気持ち。
あちこちに熱い心がほとばしり、物語にぐいぐいと引き込まれてしまいます。
★2022年山梨県公立高校の入試問題で出題されました。
出題箇所
弟の試合の前に甲子園のグランドに兄の大地が放水をするシーン
【参考ホームページ】
茶箱
ちなみに弟はすっごくいい子なのよ!
大人の私は、お父さんと息子(兄の大地)のすれ違いつづける心に涙したわ
▼過去の記事でこの本を紹介しています。
茨城県『エレジーは流れない』
【著者】三浦しをん
【出版社】双葉社
【出版年】2021年4月
主人公:高校2年生の穂積怜(男)
海と山に囲まれた餅湯温泉。
のどかでさびれた町に暮らす高校2年生の怜は、お土産やの一人息子で母親と二人暮らしだ。
学校では友達3人と語り合い、ふざけ合う。
ごくごく普通の高校生の物語と思いきや。
怜の複雑な家庭の事情、迫りくる進路選択、悩み多き日々が明らかになっていく。
そして悩みを抱えるのは、怜だけではないのだ。
茶箱
人気作家の三浦しおんさんの作品が出題されたわ
青春時代だれもが抱く友達や家族、自分自身にモヤモヤした気持ち、普通の高校生たちの青春を楽しめる物語よ
【2022年公立高校入試で出題された小説】8冊のまとめ
【2022年公立高校入試で出題された小説本】はいかがでしたか?
主人公は10代ならではの純粋な心をもつ若者たちで、彼らのみずみずしい青春を楽しめる物語ばかりです。
高校受験を控えた中学生だけでなく、私立の中学受験を控えた小学高学年生でも読める本です。
(実は公立高校の入試問題で出題される小説と、私立中学入試で出題される小説はかぶっていることが多いのです)
また受験対策だけでなく、読書の楽しさを教えてくれるような本たちですよ。
気になったらぜひ手に取って読んでみてくださいね。
● 兵庫県ほか『櫓太鼓がきこえる』
高校を中退して相撲の「呼出」になった篤の成長物語
● 神奈川県ほか『水野瀬高校放送部の四つの声』
高校生放送部4人の青春物語(短編集)
● 東京都『雪のなまえ』
いじめで不登校になり田舎に引っ越してきた小学5年生雪乃の物語
● 埼玉県『お探し物は図書室まで』
悩みを抱える人たち5人が、司書の小町さんがおすすめする本で前向きになる物語(短編集)
● 群馬県ほか『ヨンケイ』
離島の高校陸上部でリレーメンバーになった4人の青春物語(短編集)
● 福島県『オリオンの上』
自分では解決できない大きな悩みを抱える中学生麻由子の物語
● 山梨県『あめつちのうた』
父親と上手くいかず、自分に自信がもてない大地の成長物語
● 茨城県『エレジーは流れない』
人気作家三浦しおんさんが描く普通の高校男子の青春物語
茶箱
受験のためだけではなく、本を読む楽しさを感じてね