生け花は引き算
余分な葉っぱは、容赦なくパチンと切り落とします。
もったいない、そう思ってもパチンパチン。
その先に、凛々しい姿が現れる。
もし、心が一本の枝だとしたら。このモヤモヤは、その葉っぱだとしたら。生け花みたいに、本当に大事なモノだけを残すことができたなら。
わたしは何を残したい?
(p.155~156)
▶▶自分の気持ちがわからなくなったときの主人公綿野あみちゃん言葉
『ハジメテヒラク』
【著者】こまつあやこ
【出版社】講談社
2019年度中学入試最多出題作『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』の作者こまつあやこさんの待望の2作目。
生け花を経験した人ならわかると思うけれど、生け花ってスッキリした花をどれだけ美しく見せるかが勝負なんです。
でも、一度切ってしまった葉は戻らないし、長さを決めて切ってしまった枝は元には戻らない。
なので、生け花は度胸がいる芸術です。
その分、スッキリした無駄のない美しさが表現できるのです。
その生け花の精神を、自分の心に照らし合わせてみると。
モヤモヤした心にあるものを、葉を切るように捨てていくと、心に残るのは何でしょうか?
自分のやりたいことや目指すモノがスッキリと現れてくるのではないでしょうか。
茶箱
生け花の考え方って、人間の生き方にも通じるものがあるのね
あらすじ
中学一年生の綿野あみ。
ひそかな趣味は脳内実況!
小学生の頃に経験した仲間外れがトラウマで、自分の考えていること思っていることを口にだして言うのが怖いのだ。
あみちゃんは縁あって、ユニークな面々がそろった生け花部に入部します。
生け花の楽しさに気づき、部活の面々と親交も深まったなか迎える文化祭で「生け花ショー」を行うことになり、あみちゃんは今まで脳内実況していたことを、口にだして、生け花の実況することになります。
さあ、あみちゃんはどんな言葉を発するのでしょうか?
茶箱
生け花部がとっても楽しそうなのよ
日本文化にも触れられる物語よ
こまつあやこ『ハジメテヒラク』で悩み解決
こまつあやこ『ハジメテヒラク』は、自分自身がよくわからない子どもにおすすめの本です。
過去の失敗から自分の本当の姿を見せるのが怖い、思っている言葉を発するのが怖い、人がどう思うのか、だれかを傷つけるのではないかと思ってしまう。
だから本当の自分を隠そうとすればするほど、自分でも本当の自分がわからなくなってしまいます。
この本を読めば、生け花精神を元に考えれば、余分なモノを捨てて本当の自分を輝かせることを、中学生のあみちゃんが教えてくれます。
茶箱
自分に自信をもてるようにもなれるわ
次に読みたいおすすめ本
『いい人ランキング』
【著者】吉野万里子
【出版社】あすなろ書房
2020年、2021年、中学入試問題(国語)で出題されました。
主人公は中学校2年生の桃
母が再婚して裕福な男性と再婚したばかり。
桃はのんびりマイペースな女の子で、人を疑うことをしない、天然といわれるほど”いい人”と思われている。
そんな桃はクラスで行われた「いい人ランキング」で一位に選ばれたのだが、それから桃を取り巻く環境は、露骨ではなくひっそりと、でも確実に変わっていく。
いじめられていると気づいた桃はどうするのか?
いじめを相談した同じ年の男子、尾島圭機のアドバイスとは?
茶箱
いい人ってどんな人なのかな?
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