上ばっか見てないで、たまには下見てみればいいじゃん
自分が歩いてきた道。ずっと上見て追いかけて、どれだけ差が縮んだのかに目がくらんでるから、自分自身の成長が目に入らないんだよ
(p.52)
▶▶思い通りにならない成績に悩む第一走者、受川星哉に同級生の酒井さんがかける言葉
『ヨンケイ!!』
【著者】天沢夏月
【出版社】ポプラ社
リレーで第一走の星哉は、偉大なる兄の存在に悩んでいた。
兄に近づきたいと思えば思うほど兄との差は縮まらずイライラする一方。
加えて周りの人たちから、出来る兄と出来ない自分が常に比べられているように感じて仕方ない。
そんな星哉に同級生の女子酒井さんは、もっと自分の成長を認めてもいいんではと言う。
星哉は星哉なりに精いっぱいの努力をしてきたし、星哉は星哉で兄ではないのだから。
酒井さんが言うように、兄と比べることよりも大事なのは、自分自身と向き合うことなんじゃないかな。
茶箱
だれかと比べたって意味がないのに、いつも比べたがる人間の性って悲しいわよね
さらに酒井さんは「自分だけが苦悩してるみたいに思うんじゃねえよ」とつぶやく。
苦しい時は自分だけと思いがちだけど、苦しいのは自分だけじゃないんだと思える余裕がもてるようになりたい。
あらすじ・感想
東京都の離島にある高校の陸上部
久しぶりに4人の男子が揃い400メートルリレーに挑戦することになる
が、メンバーそれぞれ問題を抱えリレーメンバーの意志の疎通ができず上手くいかない。
クセ、性格、その日の調子などお互いのことをちゃんとわかってこそ初めて完璧なバトンパスができるようになる。
バトンをつなぐチームメイトを知ることがリレーには不可欠なのだ。
第一走から順番にリレーメンバー4人一人一人にスポットが当たりながら物語が進んでいく。
茶箱
400メートルリレーには、1走者から4走者までそれぞれに役割があるのね
知らなかったわ
天沢夏月『ヨンケイ!!』で悩み解決
天沢夏月さんの『ヨンケイ!!』は、自分とだれかを比べてしまいがちな人におすすめの本です。
だれかと比べる前に、自分自身と向き合ってみたら、ダメだと思っていた自分をほめてあげたくなるかもしれない。
悩みがある、苦しいと感じているのは自分だけじゃないんだと、他のひとを思いやる心を持てるくらいの心の余裕をもちたいと思わせてくれます。
次に読みたいおすすめ本
『白をつなぐ』
「全国都道府県対抗男子駅伝」を描いた駅伝物語。
中学生から社会人の福岡県を代表するランナーが集まった駅伝チーム。
年齢も練習環境も違う、ほぼ初対面の選手たちが、それぞれの悩みを抱えながらも勝つことを目標に襷をつないでいく。
駅伝選手ひとりひとりが主人公になっている連作短編集。
茶箱
いろいろな想いを抱えた人たちが襷を繋いでいくのよ
苦しいのは悩みがあるのは自分だけじゃないの