茶箱
恋をするって楽しいだけじゃない
誰かを想う気持ちが痛くて苦しいこともあるんだよね
10代に読んでほしい本から大人向けまで【涙がとまらない切ない恋愛小説】16冊をえらんでみました。
- 『彼方の友へ』
- 『冷静と情熱のあいだ Rosso』
- 『9月9日9時9分』
- 『流浪の月』
- 『グレート・ギャツビー』
- 『錦繍』
- 『白夜行』
- 『まるまるの毬』
- 『エヴリデイ』
- 『神様の暇つぶし』
- 『青が散る』
- マンガ『超訳百人一首 うた恋い。』
- 『愛人ラマン』
- 『春の雪』
- 『落下する夕方』
- 『小野寺の弟、小野寺の姉』
『彼方の友へ』
【著者】伊吹有喜
【出版社】実業之日本社
● 10代向け(中学生から)
戦争は恋心さえも破壊する
戦前、戦中、戦後という激動の時代に、仲間たちとともに雑誌づくりに夢と情熱を抱いていた佐倉波津子の物語
10代の波津子は、ひょんなことから憧れの少女雑誌「乙女の友」で働き始める。そこには信念をもった熱い男「乙女の友」主筆の有賀や、乙女こころに理解のあるデザイナーの純司、編集部補佐の洗練された女子大生の佐藤史絵里、「乙女の友」読者の憧れのお姉さま翻訳詩人の霧島美蘭など、魅力的な人たちがそろっていた。
華やかに見える「乙女の友」編集社にも、言語統制や出兵、空襲とじわじわと戦争の波が訪れ、波津子の有賀への想いも、憧れや尊敬がほのかな恋ごころに変わっていくのだがそれを伝えられないままになってしまう。
数十年後、平成の老人施設でひとりまどろむ波津子に、最後に明かされる恋の行方は?
茶箱
戦争、その時代の雰囲気が人を想う気持ちを言葉にするのさえも妨げられてしまう
だれもが時代に翻弄され、密かな恋心を隠し通しながら、前向きな日々を生きる姿に涙したわ
『冷静と情熱のあいだ Rosso』
【著者】江國香織
【出版社】角川書店
● 大学生・大人向け
若い頃の恋には戻れないのだろうか
2000年5月25日ミラノのドゥオモで再会を約したかつての恋人たち。
あおいは、恋人と暮らす穏やかな静かで日々のなかで、10年前に手放してしまった大事な恋人、順正ばかりを思い出す。
若い日に熱い思いをぶつけあい、誰よりも理解しあった私と彼が、再会するのは正しいことなのか?若い頃の恋愛を懐かしんでいるだけなのか?
永遠に忘れられない恋を女性の視点から綴る物語。
辻仁成が同じ物語をそれぞれ男の視点で描いています。辻さんの結末に驚くので、必ずセットで読むのがおすすめです。
茶箱
昔の恋は美化してしまうのか?
いや、やっぱりあの恋が自分一番の恋だったのかも
若くても運命の人に出会うことはあるのよね
『9月9日9時9分』
【著者】一木けい
【出版社】小学館
● 10代向け(中学生から)
家族中から反対される恋
高校1年生の漣はタイからの帰国子女
学校の廊下で見かけた先輩に一目ぼれする。漣は先輩との距離が縮まったとき、彼が好きになってはいけない人、家族中から交際を反対される人であることに気づく。
それでも先輩を想う気持ちを抑えることができない漣は、大好きな家族に嘘をつくようになるのだが。
茶箱
漣と先輩の想い合う心が、読んでいても伝わってきてこちらもキュンキュンしちゃうの
でも恋には大きな障害があり
自分が漣の立場だったら何を一番に選ぶだろうか考えちゃうわ
「9月9日9時9分」一木けい
— 茶箱 ℂℍ𝔸𝔹𝔸ℂ𝕆 本とお菓子を愛する (@pooh70inu) 2021年6月5日
高1の漣 好きになった人は姉のDV元夫の弟だった 家族から反対される恋の行方は悲しい でもその結末にだれが幸せになるのだろうか?と第三者的には思った 結局は当事者にしかわからない気持ちが辛い 表面から見えないこともたくさんあるのだから#読了#読書 pic.twitter.com/edJCYPnxY2
『流浪の月』
【著者】凪良 ゆう
【出版社】東京創元社
● 10代(高校生から)
常識が通用しない恋がある
更紗(さらさ)の人生は、九歳のときに一変した。
両親と別れ叔母の家で暮らすことになった更紗は、誘拐事件の被害者となる。犯人は十九歳の青年、佐伯文(ふみ)。
意外にも、文との生活は更紗にとっては心地よい生活だったのだが、その生活にも終わりがくる。
事件から15年、24歳になった更紗は偶然、文と再会してしまう。
常識的に許される関係でないのはわかっていて、愛でも恋でもないという。でも二人でいたい気持ちを止められない更紗と文。
二人の関係は何と呼べばいいのだろうか?
*2020年本屋大賞受賞
茶箱
恋でも愛でもない 常識なんてない だたその男のそばにいたい
その心の強さが痛い
でも、その気持ちこそが愛であり恋なんじゃないかなと思う
『グレート・ギャツビー』
【著者】スコット・フィッツジェラルド
【出版社】中央公論新社
● 大学生・大人向け
自分があの人を一番に愛しているのに
哀しくも美しいひと夏の物語
ニックの隣の家に住む男ギャツビー
彼が毎週末豪勢なパーティを開く理由は、昔の恋人デイジー(すでに別の男性と結婚している)と知り合うためなのです。
ニックを通じてデイジーと再会したギャツビーは、彼女を振り向かせるために一途に想いを伝えます。
二人の恋は再燃するのかと思いきや、あっけなくギャツビーとデイジーの恋は終わり、ギャツビーは悲しい最期をむかえます。
茶箱
かならず自分の元に帰ってきてくれると信じていたギャツビーの恋心と、デイジーの自分中心の恋心の違いが切ないのよ
『錦繍』
【著者】宮本輝
【出版社】新潮社
● 大学生・大人向け
相手を想うからこそ別れを選ぶ恋もある
別れた夫婦(有馬と亜紀)の十四通の往復書簡で綴られる物語。
衝撃的な事件(有馬とその幼馴染の由加子との心中事件)により離婚した二人は、偶然再会した後二人の間で書簡が交わされ始める。
そして、亜紀はようやく10年前の夫の心中事件の真相を知ることになる。
茶箱
一緒にいるときは気づけない相手を想う恋しい気持ちや、相手を想うからこそ別れを選ぶ恋
相手を想うからこその大人の恋愛って切ないのよね
『白夜行』
【著者】東野圭吾
【出版社】集英社
● 10代向け(高校生から)
善悪を超えて相手を守り抜く恋
事件の始まりは1973年、大阪の廃墟ビルでの殺人事件。
犯人は捕まらず事件は迷宮入りする。
事件に関りがあると思われる被害者の息子・桐原亮司と「容疑者」の娘・西本雪穂は、その後、全く別の道を歩んでいくのだが。
その後、繋がりのないと思われる二人の周囲では、いくつもの恐るべき事件が起こる。二人に関りがありそうだが、証拠は何もない。
19年にも及ぶ二人の切ない恋愛ストーリーが繰り広げられる
茶箱
誰かを守る恋が恐るべき犯罪を引き起こす
恋愛って恐ろしいものなのよ
『まるまるの毬』
【著者】西條奈加
【出版社】講談社
● 10代向け(中学生から)
大きな秘密につぶされる小さな恋
時は江戸、12代将軍家慶の時代、江戸の麹町にある小さな和菓子屋「南星屋」が舞台
治兵衛(60歳)は、娘のお永(34歳くらい)、孫のお君(16歳)とともに、親子三代で仲良く「南星屋」を切り盛りしています。
ごくごく普通の商人の暮らしをする治兵衛ですが、実は治兵衛の出生に重大な秘密があり、そのせいで小さな和菓子屋「南星屋」に、いろんな事件が起こります。
茶箱
治兵衛の出生のため、だれも悪くないのに、小さな普通の恋がつぶされるなんて切ないわ
時代背景もあるけれど、やりきれないわよ
『エヴリデイ』
【著者】デイヴィッド・レヴィサン
【出版社】小峰書店
● 10代向け(中学生から)
説明不可!想像を絶する恋に落ちる
「朝起きると違う人になっている」
「違う人」に精神だけが憑依してしまうという主人公A。
物体としての人間はいない、精神のみが存在するという不思議なAの物語。
好きな人が誰の姿になっているかわからない
好きな人が今日はどこに存在しているのかもわからない
好きな人が男になっているのか、女になっているもわからない
精神しか存在しない主人公Aが恋をしてしまうが、想いは通じ合えるのか?
茶箱
不思議な恋、想像を絶する恋なのに、繰り広げられるふたりの恋に違和感なく胸キュン
恋は説明できないものなのよ
『神様の暇つぶし』
【著者】千早茜
【出版社】ダイヤモンド社
● 大学生・大人向け
愛って何なんだろう
父が亡くなり独りぼっちになった引きこもり気味の20歳の藤子
そんな藤子に愛を教えてくれたは死んだ父より年の離れた、自信たっぷりで強引だけど時折見せるやさしさをもつ写真家の男だった。
年上の彼とのひと夏の生活は、藤子を恋という迷路に引きこんでしまった。
「神様の暇つぶし」
— 茶箱 ℂℍ𝔸𝔹𝔸ℂ𝕆 本とお菓子を愛する (@pooh70inu) March 18, 2020
千早茜
ひきこもり気味20歳、藤子の恋の話
相手は亡くなった父よりも年上の男性。
ウーン、なんとも言えない。
二人の関係はさみしさが生み出した関係なのか、純愛なのか、家族のようなモノだったのか。
自分がだったらこの男性のことを一生涯ひきずってしまうだろう。#読了 pic.twitter.com/KoIGZTjBug
茶箱
年上男性の色気ある魅力が本からあふれているわ
愛されているのか、愛しているのかわからない愛ってあるのね
『青が散る』
【著者】宮本輝
【出版社】文芸春秋社
● 10代(高校生・大学生向け)
青春と恋を一気に味わう
舞台は昭和時代(1980年代)の新設大学のテニス部
主人公は新入生の燎平、物語はテニスにうちこむ燎平の大学4年間の青春の日々が描かれています。
青春には恋愛は欠かせません
燎平は入学手続きの日に大手洋菓子店の令嬢夏子に一目惚れするのだが、そこから4年間、二人の微妙な関係が始まる。
夏子のためにイヤなことも引き受ける燎平、それでもどうしようもなく夏子を好きな燎平のやるせない恋心。
最後まで燎平の恋心が報われそうで報われない状況が続くのだ。
茶箱
第三者的にはバカらしい行動でも、恋をすると「わかるわ~」と思えるのよね
青春時代にありがちな?女に振り回される男のやるせない恋心を思うと切ないのよ
マンガ『超訳百人一首 うた恋い。』
【著者】杉田圭
【出版社】メディアファクトリー
● 10代(小学生から)
愛する人の生き方を尊重する愛
第2巻に描かれる、良岑宗貞(僧正遍照)と幼馴染の吉子の恋が一番のおすすめ
あまつ風 雲のかよひ路 ふきとぢよ をとめの姿 しばしとどめぬ
《僧正遍照》
マンガは4巻あり
百人一首におさめられた恋愛の和歌がマンガになっています。どれも胸キュンものなのですが、特におすすめは第2巻です。(どの巻から読んでも大丈夫です)
茶箱
自分の恋心を抑えて好きな人を応援する男と、恋を諦めてでも自分の夢をかなえようとする女
ふたりの人生の決断に涙が止まらなかったわ
『愛人ラマン』
【著者】マルグリット・デュラス
【出版社】河出書房新社
● 大学生・大人向け
それは本気の恋だった
舞台は1929年フランスの植民地インドシア。
メコン河の渡し船の上での出会いから始まる、15歳のフランス人の女の子と17歳年上の華僑の男性(中国人)の物語。
二人の間には死ぬほどの欲情と悦楽がある一方で、人種、年齢、家庭環境などの問題が大きく横たわっている。
15歳という若い女の子の細い肩におおいかぶさる重荷が、二人の本当の気持ちを押しつぶしてしまう。
茶箱
どうしようもない思いがどんよりと漂う苦しい物語なんですが、ラストシーンに涙がとまらなくなるわ
二人の愛は、そこに確かにあったのよ
『春の雪』
【著者】三島由紀夫
【出版社】新潮社
● 10代向け(高校生から)
素直になれない恋こころが人生を破壊させる
ただ「好き」っていえばいいだけなのに
大正初期、まだ日本に華族や爵位の残る時代の物語
幼馴染の侯爵家の一人息子・松枝清顕と伯爵家の一人娘・綾倉聡子は、お互いを想いながらも二人の自意識の高さ、プライドの高さが二人の恋を邪魔してしまいます。
そんな中、聡子はあともどりできない皇族の男性との結婚が決まってしまいます。
結ばれないとわかったら大胆な行動をする若いふたり。ゲーム感覚の駆け引きなのか?それが若さゆえの恋愛なのか?
平成・令和時代の自由恋愛が当たり前の社会では、ちょっと理解できないようなこともありますが、それがまた現代の私たちの心を魅了します。
茶箱
素直になれないのは”若さ”ゆえなのかしら
大人になったらイラっとくる二人の恋も、10代でこの本を読んだときは、なんて美しい恋なんだろうと心をときめかせましたから(笑)
『落下する夕方』
【著者】江國香織
【出版社】角川書店
● 10代向け(高校生から)
落下し続ける恋の重み
長年つきあっていた健吾から「好きな人ができた」と突然別れを告げられた梨果
その状況についていけないのに、なんと健吾が好きになった女性華子と同居することになる
梨果の健吾への想い、健吾の華子への想いは空回りし続ける
だれもが華子の気持ちがつかみきれないまま迎えるラストは衝撃的だった。
茶箱
恋をして幸せになるとは限らない
不幸がまっている恋とわかっていても、恋をすることはやめられない
恋の重みに耐えられるか?
『小野寺の弟、小野寺の姉』
【著者】西田征史
【出版社】幻冬舎
● 10代向け(中学生から)
自分優先の恋をしたっていいじゃない
小野寺姉弟は40代姉と30代弟の独身姉弟の二人暮らし
すごく仲がいいわけではないが、ふたりで買い物に行ったり、一緒にご飯を食べたり家族としては上手に仲良く暮らしている。
でも小さなころから支えあって生きてきた姉弟は、心の奥底にある気持ち、恋愛に対する考え方やトラウマ、お互いを(家族として)想いあう気持ちの強さを、上手に表現できない。
不器用な小野寺姉と弟が、お互い以外のだれかに心をよせて暮らせる日々はやってくるのだろうか?
茶箱
すごく笑えるのに、なぜか切ない小野寺姉弟
お互いを想う優しい気持ちから、新しい恋に踏み出せないのはもったいないと思うわ
【涙がとまらない切ない恋愛】おすすめ本16冊を紹介しました。
茶箱
誰かを想う切ない気持ちを味わってね
*おすすめの年代はあくまでも参考程度にお願いします。