茶箱
大人の女性の心を読み解く
2018年開成中の問題は、中学受験男子には難しい問題だったんじゃないかな?
『木曜日にはココアを』青山美智子
【著者】青山美智子
【出版社】宝島社
2018年開成中学の入試問題(国語)で出題されました。
あらすじ・読みどころ
喫茶店が舞台になっていて、お客様が主人公になった12編の短編集
必ず木曜日に来て、同じ席でココアを頼み、エアメールを書く女性
厳しい先輩のいる幼稚園で働く若い女の先生
自分の好きな絵を描き続ける女の子
などが登場する
ドラマティックな毎日じゃないけれど、頑張っている人たち温かい物語が集まった本です。
● 喫茶店を利用する人たちの人生いろいろ
● 精一杯生きているごく普通の人たちの心を温めてくれる
● 自分を認められる主人公たちの明るさ
2018年開成中学の入試問題(国語)を解いてみた
出題された短編は「きまじめな卵焼き」
ほぼ丸ごと1篇が出題されています
バリバリ働く朝美
幼稚園生の一人息子がいるが、普段は主夫の輝也が家事から育児の中心をこなしている。
輝也が泊りがけの外出をしたときに、朝美は輝也の代わりにやったことがまったく上手くできず、自分のふがいなさにがっかりしてしまう。
さらにその夜、玉子焼きすら焼けない自分は、家族に必要な存在なんだろうかと泣きだしてしまうのだった。
茶箱
開成中を受ける男子のイメージは、「逃げるは恥だが役に立つ(TBS)」の 津崎平匡さんなので、眼鏡をさわりながら「卵焼きの焼き方はグーグルに相談すればいいのでは」と思うんじゃないかと思ってしまったわ(笑)
● 文章問題量は多い
➡よみやすい物語だが、男子の中学受験生が読んでも面白くはないのでは?
● 全問記述式
● 仕事には自信があるのに、自分のテリトリーではない場所でうろたえる女性の気持ち、夫へのやっかみ、自分の家族内での存在価値に悩むなど、きれいごとではすまない女性の気持ちを読み取る
➡ピュアな男子中学受験生に、女の隠された意地悪な本音を読み取らせるなんて。女不信になっちゃいそう(笑)
● 物語はよみやすい文章だけど、大人の女のイライラする気持ちを男子児童が読み解くのは難しいのでは
➡イライラしているときのママを想像してみる?(笑)
● とにかく多い”語注”の量に笑えてくる
茶箱
入試に出題されたときに「あの開成中学で主夫の物語が出題された!」とかなり話題になった作品よ
話題になること自体、まだまだ特異な家族形態なのよね
家族の形はどんどん自由になっていってほしいと思うわ
ぜひ一歩踏み込んで入試問題では、今どきの男子中学受験生が家族のかたちについてどう思っているのかの感想を聞いてほしかったわ
青山美智子『木曜日にはココアを』役立つちょこっとメモ
中学受験生へのおすすめ度
★★(3点満点中)
中学受験生でも読めるが、文章の奥底にある気持ちまでを読むのは難しいと思う
大人が疲れた時に、ふと心を温めるココアのように読んでほしい本だった
●短編12編
●フリガナなし
●本の長さ:211ページ(文庫本)
●初版:2017年8月
●青山美智子さんは1970年生まれ。
『木曜日にはココアを』(宝島社)で小説家デビューした。
茶箱
青山美智子さんの『木曜日にはココアを』は、疲れた心、自信がなくなった心をココアのようにほっこり温めてくれるやさしい短編がそろった本だったわ
それにしても大人の女性を癒してくれる物語が中学受験に使われるなんて、おどろきだったわ
*読みどころや試験問題の感想は、あくまでも私個人の意見です。
続けて学ぶための本は?
青山美智子『ただいま神様当番』
笑って、もっともっと元気になれる!青山美智子さんの小説がおすすめ
中学受験生と同じくらいの子どもも登場するので読みやすいですよ