茶箱
中学1年生のクラスメイツ24人が主人公になっている連作短編集
どの生徒もクラスのなかで懸命に生きているよ
森絵都『クラスメイツ』前期・後期
【著者】森絵都
【出版社】KADOKAWA
2015年から、さまざまな中学の国語入試問題で出題されています。
茶箱
クラスメイツだれの話しが出題されるのかも気になるわね
あらすじ・読みどころ
中学1年A組、男女あわせて24人
ごくふつうの公立中学の中学生たちも、それぞれ自分の学校生活を満喫するため、無事に過ごすために必死なのだ。
学業よりも、友情、恋愛、自分のキャラ立ち、親からのプレッシャーなど中学生は悩みが多くてたいへんなのです。
生徒24人ひとりひとりが主人公になった短編のリレー形式で、4月のクラス替えからはじまり2年生に進級する前までの1年間が書かれています。
● ひとりひとりにスポットが当たるところ
● 同じ出来事でも、それぞれ見方や考え方がちがうところ
● 自分に似た子が登場する(はず)
24人のどの子の短編が出題されたのか調べてみた
森絵都さんの『クラスメイツ』前期・後期は、2015年からさまざまな中学校の入試で出題されています。
●2015年学習院中学 後期「ジョーカー、あるいは戦士 風雅」
●2015年学習院女子中学 前期「夏のぬけがら 陸」
●2015年日本女子中学 後期「プラタナスの葉が落ちるころ このちゃん」
●2015年高輪中学 前期「夏のぬけがら 陸」
●2015年田園調布中学 前期「鈍行列車はゆく 千鶴」
●2015年神奈川中学 後期「プラタナスの葉が落ちるころ このちゃん」
●2015年帝京中学 後期「伴奏者 心平」と「見いつけた 田町」
●2015年法政第ニ中学 後期「伴奏者 心平」
●2015年三ノ輪中学 後期「プラタナスの葉が落ちるころ このちゃん」
●2016年横浜共立中学 前期「鈍行列車はゆく 千鶴」
●2019年青山学院横浜英和中学 後期「秋の日は…… 久保由佳」
●2019年星野学園中学(理数選抜2回) 前期「光のなかの影 しおりん」
調べられた12中学校のなかで、出題人気があったのは後期「プラタナスの葉が落ちるころ このちゃん」、老人ホームにボランティア体験に行く物語でした。
茶箱
出題された物語は、わりと偏っている感じがするわね
*このほかにも『クラスメイツ』は多数の中学入試で出題されています。
2019年青山学院横浜英和中学の入試問題(国語)を解いてみた
出題されたのは『クラスメイツ』後期 「秋の日は…… 久保由佳」
お父さんからの「結果を出せ!」というプレッシャーを背負い、無謀とわかっているのに学級委員に立候補する由佳ちゃんの物語
● 文章問題量
➡多い! なんと短編1つが、まるまる出題されていたわ
● 記述式1問あり
● 無謀なクラス委員長に立候補して、意気込みを語る由佳ちゃんと、クラスメイツたちの温度差を感じよう
➡クラスメイツたちのドン引き具合もなかなか読み応えあり
● クラスメイツたちが自分をうとましく思っているのに気付いている由佳ちゃんの気持ちが、クラス委員長決戦の開票結果でちょっと勇気づけられ前向きに変わる気持ちの変化を読み解く
➡ちびまる子ちゃんの”丸尾君”の、気持ちの浮き沈みの様子を想像して!(笑)
茶箱
ちびまる子ちゃんに出てくる”丸尾くん”と””みぎわさん”のクラス委員コンビを想像しながら読んだわ
学期最初の難関、クラス委員長の選出、なつかしいわ
毎回決まらなくて、なかなか帰れなかったのを覚えているわよ
親のPTA役員の選出と同じよね(笑)
それにしても、中1という自意識過剰な世代の女の子が、学級委員に立候補するなんて勇気があるわよね
お父さんは結果よりも過程を尊重してあげてほしいと思ったわ
由佳ちゃんはクラスメイツとしてはちょっと近寄りがたいる子だけど、親としてはもっと認めてほめてあげてもいいんじゃないかしらね
2019年星野学園中学校の入試問題(国語)を解いてみた
出題されたのは『クラスメイツ』前期「光のなかの影 しおりん」
女友達3人組の関係に悩むしおりちゃんの物語
レイミ―ちゃんの不思議ちゃん発言に笑える一幕もあり
●文章問題量
➡短編の始めの方から最後まで出題されている、なかなか多めの文章量
●解答は記述式1問あり
● 女3人の友達関係にモワモワした気持ちをもち続けるしずくちゃんの気持ちを理解できれば、難しくはない問題だった
➡こういう気持ちって男子ももつのかな?女子の方が有利な問題かも
茶箱
私はこの短編の主人公しおりちゃんが「自分にいちばん近い!」と思ったわ
小中学時代しおりちゃんとおなじように、友達を独占したいと思ったことがあったから、彼女の気持ちが痛いほどよくわかるわ
女子ってなんでこんな風に考えちゃうのかしらね
森絵都『クラスメイツ』役立つちょこっとメモ
中学受験生へのおすすめ度
★★★(3点満点)
中学受験生だけでなく、中学生にもおすすめしたい本
悩んでいるのは自分だけじゃない、隣の席のあの子も、いいなと思っているあの子も、わけわかんない奴と思っているあの子も、悩んでいるのは自分ひとりじゃない!と元気になれる物語だから読んでみてほしい。
●主人公:【前期】【後期】あわせて中学1年生の男女24人
●舞台:学校
●フリガナ:難しい漢字はあり
●本の長さ:【前期】213ページ【後期】233ページ(単行本)
●初版:【前期】【後期】2014年
●作者の森絵都さんは1968年生まれ
2006年『風に舞いあがるビニールシート』で第135回直木賞を受賞している。
茶箱
森絵都『クラスメイツ』は、中学時代のモワモワした気持ちを上手く言葉にしてくれている物語だったわ
「私もあんな感じだったわ」
「そういえば、こんな子がいたな~」
「もしかしたら、あの子はこんな風に悩んでいたのかも」
と自分のとお~い中学時代を思い出しながら読んだわ
ちなみに私はあんな自意識過剰で疲れた中学時代には戻りたくないわね
今考えると、よくあんな世界でいきていたわと、自分自身の頑張りをほめてあげたいくらいよ
あの時にこの本を読んだら、もっと楽に中学生活が送れた気がするわ
*読みどころや試験問題の感想は、あくまでも私個人の意見です。
続けて学ぶための本は?
朝比奈あすか『君たちは今が世界』
小学校6年生が主役になったクラスメイツたちの連作短編集です。
「君たちは今が世界」朝比奈あすか
— 茶箱 (@pooh70inu) November 10, 2020
小6クラスが舞台の連作短編集
小6、当時楽しくもあったが、学校では、他人の目ばかり気になり自分を演じていた気がする
みんなもそうだったのかも
いつか自分らしく生きられる時がくるよ、と当時の自分やみんなに言ってあげたい#読了#読書の秋2020 pic.twitter.com/H8lyLpPImX