茶箱
おじいちゃんのことが、わからなくなるような、わかるようになるような
おじいちゃんの認知症に向かい合うたすく君、頼もしいよ
まはら三桃『奮闘するたすく』
【著者】まはら三桃
【出版社】講談社
2018年栄光学園中学の国語入試問題として出題されました。
茶箱
まはら三桃さんの作品は、読んでいて明るくなれるのがいいわよね
あらすじ・読みどころ
主人公は小学生5年生の佑(たすく)
学校の先生の提案(ほぼ指示)により、たすくは祖父が通うことになったデイサービス(通所介護施設)の体験レポートを友達の一平と二人で書くことになる。
たすくは、認知症がすすむ祖父を目の当たりにする現実の辛さとともに、子どもに逆戻りしたような老人たちと接する楽しさなど、デイサービスでいろんなことを経験していく。
介護、認知症について考えるきっかけにピッタリの本です。
● 介護の現実
● 認知症への理解
● 家族が病気になったときに自分にできることは?
2018年栄光学園中学入試(国語)の入試問題を解いてみた
茶箱
出題された部分は
①デイサービスに行くのを拒んだおじいちゃんの気持ちを聞きに、デイサービスに勤務する林さんがわざわざ家に来てくれたシーン
②その後、たすく君とお姉ちゃんがおじいちゃんについて会話するシーン
が出題されていたわ
文章問題量は普通
解答は記述式
認知症がどんな病気なのかわからないと、物語を理解するのは難しい
大人の私が解いてみた!
● 認知症になったおじいちゃんの気持ちを、たすくと同じように感じられるかがポイント
● 認知症という病気の”何が辛いのか”を理解する必要がある
茶箱
出題された文章では、おじいちゃん自身が認知症になってしまったことを辛く思っていることが伝わってきて、私もたすく君と同じように、胸がギュっとしたわ
わたしも祖母が同じように認知症になったけれど、こんな風に気持ちを聞くような会話もできなかったし、当時は祖母の気持ちをまったくわかってあげられなかった
だから、たすく君がとっても立派に思えたわ
まはら三桃『奮闘するたすく』役立つちょこっとメモ
中学受験生へのおすすめ度
★★★(3点満点)
中学受験生だけでなく、中学生、高校生、大学生、社会人たくさんの人に読んでほしい
特に介護経験のない人、お年寄りと接する機会が少ない人におすすめ
●主人公:小学5年生の佑
●舞台:家庭 介護センター
●フリガナあり
●本の長さ:239ページ(単行本)
●初版:2017年6月
●『奮闘するたすく』は、2018年の青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選定された
●作者のまはら三桃さんは1966年生まれ
2011年に『おとうさんの手』(講談社)が、2016年には『白をつなぐ』(小学館)が読書感想画中央コンクール指定図書に選定
『鉄のしぶきがはねる』(講談社)で2012年坪田譲治文学賞、2013年にJBBY賞を受賞している。
茶箱
まはら三桃『奮闘するたすく』は、これからの超高齢化社会に向けて必読の本よ
この本をきっかけに、家族で介護について考えたり、会話したりできるといいわね
孫のたすく君は、しっかり者だったおじいちゃんが変わっていく姿を、寂しい目だけでなく、楽しさを交えて、真正面からきちんと接している
大人の私は、おじいちゃんを理解したいと思っているたすく君の姿に頼もしさをも感じたわ
「認知が衰えることが絶望だけではない」と思える本だったわ
*読みどころや試験問題の感想は、あくまでも私個人の意見です。
続けて学ぶための本は?
森絵都『クラスメイト 後期』
12編の短編集
中学1年生の男女5人の生徒が老人ホームへボランティア体験にいく短編があります。
カータン『健康以下、介護未満 親のトリセツ 』
母親の介護に奮闘するカータン(50代のおばさん)
涙と笑いで包まれるカータン家の介護生活がマンガで読めます。
中学受験生にも介護する側、介護される側の気持ちがよりわかりやすいのでおすすめ
というよりも、受験生の親世代に強くおすすめかな