茶箱
まったく違う道を歩んできた、ふたりの男女の運命が交わる
人との繋がりって不思議ね
宮下奈都『ふたつのしるし』
【著者】宮下奈都
【出版社】幻冬舎
2017年城北中学、2019年星野学園中学の国語の入試問題として出題されました。
茶箱
宮下奈都さんの物語は読みやすいから、受験生はちょっと安心できるかな
あらすじ・読みどころ
自分の気になることから、目がはなせない温之(ハルユキ)
小学時代は問題児、高校時代に理解者だった母親が亡くなり、家を出る。
その後、拾われるようなかたちで女性と暮らしていたが、偶然自分の興味がもてる仕事に出会うことができた。
美人で優秀な遥名(ハルナ)
あえて目立たないように生きていた小中学生時代
大学進学のために上京し、立派な企業に入社、バリバリ仕事をしている
まったく人生を歩んでいる、異なる男女ふたりが出会うことはあるのだろうか?
● 違う境遇で生きてきた人、自分と似てないタイプの人、理解しにくいタイプの人との関わり合う難しさとおもしろさ
2017年城北中学入試(国語)を解いてみた
茶箱
問題文章は第一章
温之は小学校に入学するが、上手に学校生活になじめない
そんな温之の行動に手こずる女教師
その教師から「迷惑だ」と言われてしまう温之の母親
そしてマイペースな温之を「スゴイ!」と思うクラスメイト健太
が出てくる部分が出題されているわ
文章量はかなり長め。
もはや、テストをうけているんだか、読書をしているんだかわからなくなるくらいよ(笑)
● 女の先生、母親といった大人の女性の感情を読み解く必要がある
➡受験生である小学生の男の子には理解するのが難しいかも
● 温之とクラスメイトの健太くんの気持ちも問題になっている
➡クラスの問題児といわれる温之の気持ちは読み取りにくいかな?
2019年星野学園中学入試(国語)を解いてみた
茶箱
問題文章は第一章 温之の小学時代
マイペースな温之ばかりが、先生から怒られるのがわからないクラスメイトの健太の行動や気持ちが中心に書かれた部分が出題されているわ
文章量は短め
● 女教師の温之に対する感情を読み解く
● 温之の気持ちを読み解く
温之を想ってくれた健太くんへの気持ち、そして感情をあらわにして温之を怒った先生から感じた気持ちを読み解く
茶箱
第一章を読んで、温之の協調性のない行動は障害があってのものなのか?ただ性格的なものなのか?がよくわからなかったのよね
本を最後まで読んでも、はっきりとわからず。いまだに気になっているわ。
それによって、この物語自体も、読み方が変わる気がするのよ
宮下奈都『ふたつのしるし』役立つちょこっとメモ
中学受験生におすすめ度 ★★
(満点★3つ)
ふたつの中学で出題された第一章は、小学中学時代の話しなので読みやすい
当たり前だけど、主人公の二人の男女が大きくなるにつれて、中学受験生には、まだ理解が難しいストーリー展開になってきます。
不倫や女性との同棲など、子どもには不向きな部分もあり、最後まで読むべきかは親の判断も必要かな
*最終章は、逆に中学受験生に読んでほしい章です。
●主人公:ふたりのハル 温之(ハルユキ)と遥名(ハルナ)
●舞台:ふたりの小学時代から大人になるまで
●フリガナ:なし
●本の長さ:216ページ(文庫本)
●初版:2009年3月
●作者の宮下奈都さんは1967年生まれ。
彼女の作品が中学入試で頻出されることは有名。
茶箱
宮下奈都さん『ふたつのしるし』、ふたりの男女が生きてきた道を知っている読者が、ふたりの出会いやその後を見守り続けられる、おもしろい物語だったわ
最期は、自分がふたりのキューピットみたいにおもえてきたくらいよ
人と人との出会い、繋がりって不思議ね
やっぱり運命の人とは赤い糸でむすばれているのかしらと感じたわ
中学受験生には、全編を通して物語を読むのは難しいとおもうわ
きっと、この二人の気持ちがわかるようになるのはあと数年先ね
あっという間だから、それまで本棚でこの本を温めておいてもいいわね
*読みどころや試験問題の感想は、あくまでも私個人の意見です。
続けて学ぶための本は?
『サイド・トラック』がおすすめ
私は温之の行動は障害があってのものだと思うのよ
なので、注意欠陥多動性障害をもった男の子が陸上に挑戦する様子を描いた本をおすすめします。
「サイド・トラック」
— 茶箱 (@pooh70inu) August 16, 2020
注意欠陥障害を抱えたジョゼフ。クロスカントリーに挑戦🙌想定内外の問題が山積みの中でも友達や家族、先生の力をかりてやり遂げる、いやそれ以上の頑張りをみせる姿に感動
嫌なことから逃げてばかりではわからない、挑戦してこそ手に入るものもあるんだなと思う☺#読書 pic.twitter.com/RINPS2qGmK