茶箱
”あいつらとは違う私”を毎日繰り返していた、自意識高さがこじれた学生時代
「過去の最低最悪、イヤな自分」の物語を読んでいる気分になったわ
村田 沙耶香『しろいろの街の、その骨の体温の 』
【著者】村田 沙耶香
【出版社】朝日新聞出版
難関私立中学校、2021年海陽中(特給)の国語入試問題として出題されました。
茶箱
村田沙耶香さんの小説か~
読みやすい文章の奥にひそむ闇が深そう、難しい気がするわ
あらすじ・読みどころ
主人公は心の奥底では自意識でいっぱいの女子、結佳ちゃんの物語
前編は小学生4年~5年生、後編は中学2年生になる
新興住宅に暮らす結佳ちゃん
自分が育った街が嫌い、学校が嫌いだという
学校では目立たないように本心を隠して毎日を過ごす彼女が、たった一人だけ本当の自分を見せられると感じた男の子がいた
茶箱
小学生、中学生の物語なんだけど、けっこう際どい内容を含んでいたわ
大人の私が読んでも、かなりドキドキしたわよ
特に中学時代の物語は衝撃!だったの
純真な心を持った小学生がこの本1冊丸ごと読むのは、危険な気がするわ
● 自意識が高め女子の生き方
● 友達との人間関係
● 小中学生の男子と女子の違い
小学生の時にジュール・ルナールの『にんじん』を読み、「最後まで絶望的であることにすごく救われ」、中学時代は同級生から「死ね」と言われ実際に死のうと思ったものの、小説を書いていて生への執着につながったと語る
【引用:「村田沙耶香」Wikipediaより】
茶箱
作者の村田さんの過去を知ると、この物語のリアル感が増したわ
2021年海陽中(特給)入試(国語)の入試問題を解いてみた
茶箱
出題された部分は物語の始め
結佳ちゃんは小学4年生
学校でのクラスの女友達との会話、放課後に通っている書道教室、その書道教室から同級生の男の子と帰宅するシーンよ
文章問題はすごく長め
まだまだ続くんだ!と驚くレベル
大人の私が解いてみた!
● 文章に書かれた細かな部分を読み取る問題がある
● 主人公の気持ちを読み取る問題は他の問いに比べると難しくないかな
● 「理由」「心情」「想像して」記述する問いがある
茶箱
問題物語の文章量もすごいけれど、問いの文章量も多かった(笑)
テンポよく問題をどんどん解いていかないとならないわ
問題物語自体は読みやすいんだけど、ふつうに物語を読んでいてもまったく気づかなかったことが問われていてびっくりしたわ
問題を解いたあとに、この小説をもう一度読んでみたくなったくらいよ
村田沙耶香『 しろいろの街の、その骨の体温の 』 役立つちょこっとメモ
●主人公:結佳ちゃん(小学4年から中学2年生)
●舞台:学校 書道教室 自宅のある新興住宅街
●フリガナなし
●本の長さ:271ページ(単行本)
●初版:2012年9月
●第26回三島由紀夫賞受賞作品
●作者の村田沙耶香さんは1979年生まれ
2016年『コンビニ人間』で第155回芥川龍之介賞受賞している
茶箱
村田沙耶香『 しろいろの街の、その骨の体温の 』は、恥ずかしくなるくらい自意識の高い小中学生の物語だったわ
物語だけど、妙にリアル感があるのよ
芥川賞作品の『コンビニ人間』でも社会を上手く生きられない女性の姿を書いていたし、村田さん自身が成長する過程で実際に感じてきたことなのかもと思ったわ
この雰囲気は実際に経験してないと出せないんじゃないかしら?
*読みどころや試験問題の感想は、あくまでも私個人の意見です。
続けて学ぶための本は?
村田沙耶香さんに関する本
▼▼ジュール・ルナールの『にんじん』
村田沙耶香さんが小学校の時に読んで、生きる価値を見出したという本
茶箱
ヴァロトンの挿絵版画がステキよ
でも、本の内容は衝撃なの
私は大人になって読んで、あまりにも母親の子ども”にんじん”に対する冷たさにびっくりしたわ
▼▼村田沙耶香さん芥川賞受賞作品『コンビニ人間』
「コンビニ人間」村田沙耶香 #読了
— 茶箱 (@pooh70inu) February 2, 2019
読むほど恵子に「変わってないよ。みんなそんなものだよ」と言ってあげたくなる。普通ってなんだかよくわからないし。迷惑をかけなければどんな生き方だっていいじゃないか。コンビニ人間、素敵な生き方のひとつ。
恵子と白羽の関係にはなんだか笑えた。#読書 pic.twitter.com/2WjfNMTZ4b